Cappuccinoのちょっとおすすめ第12弾 澤野工房 澤野由明氏 2006.3.4.(土) 今回ご紹介するのは大阪新世界の履物屋の4代目であり、澤野工房の社長である澤野由明氏です。ジャズ好きが高じてCDの制作販売を開始したのが1998年。今では全国シェアを網羅した「澤野工房」。CDショップの店頭にも並べられるようになるまで26年の長い道のりを経た。 兄弟揃ってジャズ好き。とうとう弟さんがフランスまでレコード(当時)を探す旅に出た。なんとフランス人のお嫁さんまでもらっちゃった。澤野氏がヨーロッパと日本の橋渡しをしたのが1980年。これが「澤野工房」の原点。 当初、弟さんの地道な努力により形成されたヨーロッパ・ネット・ワークのお蔭で今では仕事がスムーズに運ぶようになったそうです。 |
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澤野氏はアメリカジャズを少年のころから聴きアメリカジャズの良さを十分理解している。しかし弟さんの関連もありヨーロピアンジャズの普及を始められた。その訳を尋ねると、「何よりも手を伸ばせばすぐそこにあったし、またアメリカのジャズが生まれ育った血とか汗とかが必然の土壌とは違って、同じ種子ながらクラッシック音楽の土壌で育った分だけ、無色透明で親しみやすく、ジャズを聴いてもらうには最適と考えたからです。」 う〜ん、確かにアメリカジャズを聴くにはバック・グラウンドも認識せなあかんでと思っているビギナーcappuccino。このあたりのことは、とても活字で表現するのが難しい点があり、正しくニュアンスが伝わることを願う。。。 眉間に皺を寄せて聴くジャズではなくて、聞く側の生活や気持ちに合うジャズ。もっと気楽に聴ける雰囲気・空間を埋めるためのジャズがあってもいいのではないかと考える。 |
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ジャズに対する思いは人其々違いが有って当たり前。十人十色。10人いれば10通りの思いがあり正解は無いのでは。しかし、「ええもんはやっぱりええ!」とおっしゃる。ジャズはこうあるべきだと主張する人もいるかもしれないが何も入り口を一つにする事はない。沢山の入り口があり誰もが自由にできる「どこでもドア」があってもいいというのが澤野氏の考え。例えば、澤野工房で販売されるCDには評論家のレビューがない。兎に角、音楽を聴いて欲しいのだ。どう感じるかはその人の感性。今ではCDショップの試聴器に並べて頂けるまでになった澤野工房の作品。あとはお客様が選択するだけ。ポンと肩を押してあげる役目を果たしたい。と遠慮気味におっしゃるが内に秘めた信念を垣間見た。自称万年ジャズ・ビギナーのcappuccinoには共感する点もある。 |
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穏やかなお顔をされている。趣味が高じて始めてから26年。遠回りではあったが先方から足を運んで頂けるまでに成長した。今、上映中の「Always,三丁目の夕日」に出てくる様な心地よい雰囲気の町中にある履物屋の一角を拠点として80歳代のご両親・夫人・お嬢さん・フランス在住の弟さん家族や心強いスタッフが協力し合い操業している楽しみは家内工業といった感じ。 とは言っても、ジャケット一つ決めるのにも皆真剣だ。白熱した議論になかなか決定できない時もあるそうだ。来週読者プレゼント予定のCDジャケットも確かに質の高いデザインだと思う。芸術品といっても過言ではない。ミュージシャン探しから販売まで一貫した作業をするのは想像を絶する苦労があると思うが、ある意味素敵な仕事だなと思った。まさしく商標になっている「hand-made JAZZ」。 |
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毎日仕事に追われる澤野氏のささやかな自分へのご褒美が、閉店7時以降におもいっきりジャズを聴くこと。何を隠そう澤野氏はオーディオファンで音源としてジャズを選択したのだ。ひょっとしたら隠れアナログファンかもしれない。皆さんは音源が放つ音が頬や手を撫でるような経験ってありますか?澤野氏曰く、あまりにも気持ちが良くて1曲ぐらいは眠ってしまい聴いてないかもしれないとおっしゃる。自分が気持ち良いと思うジャズを制作販売することへ繋がるのだろう。う〜ん、残念ながらこの体感はCDをヘッドホーンでちまちまと聴いている私には理解できないが。 埋もれていた名盤の復刻から始まり、新進気鋭のジャズアーティストを発掘しプロデュースするなど、どんどん発展している澤野工房ですがここまで辿り着くには苦い経験も沢山ある。 高い広告料を出してもお客さんはこちらを見てくれない、CDショップに製品を置いてくださいとお願いしても扱ってもらえない。こっち向いてよと思えば思うほど空回り。自分の思いとは裏腹に氷河期が長く続いたがここで諦めずに粘り強く意志を貫いた事や時代の波に乗り、やっと光が差し込めたのがここ数年。日本のバブル崩壊以降だ。消費者が外に向けていた目を内に向けるようになったことが要因か。 趣味が仕事になると何かと難しい面も多々あると思う。先日閉幕したトリノオリンピック女子フィギュアースケートで金メダルを獲得した荒川選手が「無」で競技したことが結果に繋がったとコメントされた。澤野氏もまったくその通りだと共鳴したという。長い歳月が走馬灯のように駆け巡ったことだろう。 澤野氏にこれからの夢は何かと尋ねると 「澤野工房は大阪の私、フランス在住の弟、東京の営業担当者と三人が軸になり、情熱を持った優秀なスタッフたちとの団体が、作り手であり、売り手であるという一貫したポリシーを持ち日々邁進している。 私個人の夢はジャズ喫茶でジャズを気軽に楽しんで欲しいし、時にはライヴを開催できる空間を設けたい」ということです。お話を伺ってる間に「これは言わんとってな。」と×××サインが何回も出ました。社長さんではあるが気さくな「履物屋のおっちゃん」という一面も。これからも新しい夢を実現するため尚いっそう頑張って頂きたいと思いました。 |
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澤野工房は毎年一回、ファンの皆様、ミュージシャンや関係者の方々への感謝の意を籠めたコンサート「アトリエ澤野コンサート」を開催しています。何ヶ月も準備に費やすのですが、終えた後の数分間だけは達成感を味わう至福の時だとおっしゃる。 昨年12月に立ち見席も出たというなんばHatchでのコンサートに出演されたジョバンニ・ミラバッシ・トリオの"PRIMA O POI+1" 。なかなかドラマチックでゴージャスな演奏。こだわりのジャケットもおすすめ。 来週の「コン&カプのおすすめCD」でご紹介します。どうぞお楽しみに(^^) 澤野工房HP http://www.jazz-sawano.com. ※写真は以前コン&カプのおすすめCDで紹介したDVDジョバンニ・ミラバッシ・トリオ「Live at SUNSIDE」です。「魔法のように優雅なメロディーが飛び出す指先に目があるのかと思ってしまうぐらいピアノと一体化してるミラバッシ」とカプさんが紹介しました。 |
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私ごとで恐縮ですが、大阪日本橋で生まれ育った私にとって新世界は懐かしい場所。不景気とはいえまだまだ頑張って存続しているお店が立ち並ぶ。「いさみのかまぼこ屋」でてんぷらをお土産に買いました。甘みのある味は美味。 新世界「澤野工房」を訪れた帰りに一度お立ちよりください。 新世界HP http://www.shinsekai.ne.jp/index.html |
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