レコマ君のジャズレコード独り言 PART-2 第26回目「モノラル・カートリッジのこと」 2008年6月27日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
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今回は「モノラル・カートリッジ」について述べます。 |
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最近、「モノラル・レコード」と「モノラル・カートリッジ」に関しての問合せが数件寄せられたこともあり、「ジャズ・レコード」には欠かせないアイテムなので少し述べます。 「モノラル」の語源は、「ステレオ」の2チャンネルの音に対し、1チャンネルの音の正確な呼び方を「モノフォニック」と呼ぶ。これを通称「モノーラル」また「モノラル」と呼んでいるわけだ。 |
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「LP・レコード」が最初に発売されたのは1948年になる。 アメリカ人のピーター・ゴールドマークが開発し「コロンビア」から発売されたモノだ。 それまでは「SP・レコード」時代で片面3分ほどの録音時間のものだった。 その後、10インチ盤が生まれ、'48年の12インチの「LP・レコード」の発売につながる。この「LP」に刻まれる「音溝」は「SP」時代と異なり「溝=グルーブ」が細くなり長時間の収録ができるようになった。この「溝」を「マイクログルーブ」と呼ぶ。「LPラベル」に表記されているものがこのことだ。 |
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「マイクログルーブ」が表記されているラベル。 |
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この初期の「LP・レコード」は全て「モノラル」盤。1958年頃から「ステレオ・レコード」が発売されるが、普及するまでの'60年代までの主流は「モノフォニック=モノラル」だった。「ステレオ」は当時「新技術」で新しい「セールス」商品だった。価格も少し高値で販売された。 「カートリッジ」はこの「レコード」の発展とシンクロしていくわけだ。以前「IMPULSE」レーベルのところで述べたように、「ステレオ」を「売り」にするレーベルも出てくるのだが、1945年頃から1960年過ぎまで「JAZZ」が最も「熱かった」時代はやはり「モノラル・レコード」の時代になる。 |
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当時マイナーな音楽だった「JAZZ」に、そのレコーディング・コストに多くのものが与えられなかったことは十分考えられる。レコーディングのマイクにしても当時のフイルムや写真から見られるように、1本のマイクに数人が向かっていることでも判る。 特に「ジャズ・レコード」のフアンに「モノラル・指向」があるのは一般に知られている。ただ、世代によっては「ステレオ・指向」もあって、このあたりはかなり「拘り」の世界になっている。 |
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今回はこの「モノラル・レコード」の再生に欠かせない「モノラル・カートリッジ」について述べる。 海外製品のものから、国内のものを紹介するが、今回は誠に独断と偏見に満ちたものになると思うがご容赦を! |
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まず、国内製品だが最もよく知られているのが「DENON」の「DL-102」の「モノラル・カートリッジ」。このカートリッジは放送局用に生産されていたものとの説が有る。取り扱い書によると「ステレオ・レコード」にも使用可能と書かれている。 ステレオ盤の溝と、モノラル盤の溝では針の振幅方向が異なるので、通常はステレオ盤にモノラル・カートリッジは使用不可とされたのだが、この「DL-102」はこの両方の振幅をトレースできる訳だ。ただ、「モノラル・レコード」はやはり「モノラル」の音で、「ステレオ」にはならない。 写真のように取り出しの「端子」は2本になっている。 サウンド的には、「ナチュナル」なサウンドだ。「MC」タイプで高出力(3mV)なのでトランスは昇圧比が低くても問題なく使用できる。 針圧も3gで針飛びのし難いタイプで、大変使いやすい「カートリッジ」だ。 |
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「DENON」の「DL-102」の「モノラル・カートリッジ」 |
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次に「AUDIO-TECHNICA=オーディオ・テクニカ」からの発売の「AT-MONO3/LP」。 「オーディオ・テクニカ」から「ステレオ・カートリッジ」は多種類発売されているが「モノラル・カートリッジ」は上記の「AT-MONO3/LP」とその前身の「AT-MONO」のみと考えられる。 |
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「AT-MONO3/LP」 規格は、MC 型 再生周波数帯域:20〜20,000Hz 出力 1.2mV 適正針圧:2.0g(標準) インピ−ダンス 40オ−ム 丸針 0.6ミル 1988年の発売。 |
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「AT-MONO3/LP」の元箱と仕様書 HIFI堂「過去情報データ-ベース」から引用 |
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「AT-MONO」 規格は、MC 型 出力 0.25mV 適正針圧2.0〜2.5g インピ−ダンス 3オ−ム 自重 6.8g 1984年の発売。 HIFI堂「過去情報データ-ベース」から引用 |
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ただ近年、2007年に「AT33MONO」なる新製品が発売されているようだ。 規格は、MC 型 出力 0.35mV 適正針圧 2.5g インピ−ダンス 10オ−ム 丸針 ただこれの現物はまだ入手していない。 「AT-MONO3/LP」のサウンドの特徴は多少「ハイ上がり」気味の音。立ち上がりはよく出来ており、抜けもよい。「中」「低」域も平均的によく出来ている。 |
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次に「GRACE」のカートリッジ。 国内のカートリッジ・メーカーとして定評のあった「品川無線」のブランド名がこの「GRACE=グレース」。 同社では「ステレオ・カートリッジ」の「F−8」、「F−9」等がよく知られているが、「モノラル・レコード」専用の「LEVEL−II M ML」=「モノラル・カートリッジ」がある。このカートリッジはステレオ音を電気的に合成するものでなく、「モラル・レコード」のラテラル方向にのみ感度を持つ設計の2端子出力構造(カタログより)で、「音」的には「中域」にボリュームのある「ジャズ」向きのカートリッジだ。 この「GRACE」のカートリッジは「品川無線」の技術者の並々ならぬ「拘り」で開発、製作されたもので、'90年前後「モノラル」の「オリジナル盤」をこれでよく聴いたものだ。低域もよく出ており「ジャズ」向きの「モノラル・カートリッジ」だ。 |
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上記がシルバーのベースのもの。 |
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資料のように、ベースに「銀色」と「金色」のものが有り、「音数的」には「金色」ガ上位かと思うが、「ジャズ」的には「銀色」の方だ。元箱の「金色の小さいシール」が貼ってあるケースに入っていたものが「金色・ベース」のものになる。「後期品」と推測される。 |
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同品の規格は MM型 出力 4.0mV 針圧 1.0g〜2.5g インピ−ダンス 50オ−ム 周波数帯域:20〜20,000Hz 針先 1.0ミル丸針 (1987年改定規格より) |
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替え針のセット。ここにも同社のこの分野に対する姿勢を感じさせるモノがある。 |
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今回はここまでで、次回は他の国内ものから、「ORTOFON」等海外品について述べます。 |
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♪今週の推奨盤♪ 今回はレコードではないですが、「AT-MONO3/LP」の「モノラル・カートリッジ」です。 手軽で結構「モノラル」盤の良さを引き出してくれます。 メールはこちら。 mailto:mifumi@tb3.so-net.ne.jp レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |