レコマ君のジャズレコード独り言 PART-2 第34回目「後期のブルーノートのこと」 2008年8月22日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
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「BLUE NOTE」の後期のことについて述べる。 |
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音楽の世界と映画の世界は表裏一体のものと考えられる。 「ミュージック・レーベル」を見てみるとアメリカでは「コロンビア映画」、「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー:MGM」、「パラマウント・ピクチャー」、「ワーナーブラザース」、「20世紀フォックス」等々の「音楽部門」と考えてよいものが結構ある。 これら音楽部門にアメリカの「ジャズ」の「マイナー・レーベル」も時代の流れとともにのみこまれていくのだ。 これらは時代の変遷とともに統合、分離し、版権も次々に変遷していく。現在の「ユニバーサル・クラシック&ジャズ」や「コンコード・ミュージック」(現在は「ファンタジー」の所有レーベルも含む)等が知られているところ。 |
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ノーマン・グランツの「VERVE」が「MGM」に、「IMPULSE」は「ABC・パラマウント」の配下になるように、「BLUE NOTE」も「LIBERTY」から「UNITED ARTISTS」に、そして「EMI/キャピトル」のグループに移行する。 この時期の「BLUE NOTE」に関して述べているのだが、「アメリカだから…」だけでなく変動期特有の「ややこしさ!」がある。 |
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ここでは、4つの「ファクター」でこの時期の「ディスク」を見てみよう。 1)は「センター・ラベル」のこと。デザイン、アドレス、等々。 2)は「スタンパー」の文字。「ブルーノート」ではレコードNO.の文字の大小、字体、等。 3)ルディー・バン・ゲルダ−の刻印の有無、形体、等々。 4)「ディスク」の形状。重さ、硬さ、溝の状態、などの違い。 これらのものと実際に「音出し」をして合わせて判断、推測することになる。 |
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これらを4枚の「SOMRTHIN' ELSE / CANNONBALL ADDERLEY」(BLP 1595)から検証してみる。 このアルバムのオリジナル(47West 63rd)は1958年3月のレコーディングで同年後半に発売され、その後もかなりの再発がされている。元々キャノンボール・アダレーに人気があったこともあり、かなりのセールスをしたものと考えられる。 |
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「STEREO」時代に入っていた頃で、このアルバムも当時「STEREO」でも発売されている。今回紹介するアルバムのジャケットも同じだが、「STEREO」盤のジャケットには、「金色のSTEREO・ステッカー」が貼られていた。オリジナルは、コーティング・ジャケットだが下記の物はコーティングはされていない。この「MONO」ジャケットは裏の「レコード・NO.」も4桁になっている。「STEREO NO.」の「8」は付いていない。 最初のものは「NY」アドレスのラベル。「STEREO」盤だがジャケットは「MONO」のジャケットになっている。金色の「STEREO」ラベルが貼られていたが、剥がしたものと考えられる。 |
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次の「LIBERTY」ラベルのもの。これはジャケットも「LIBERTY」のジャケット表紙に「STEREO」がクレジットされたデザインになっている。また、裏ライナーでレコードNO.のデザインも変わっている。 |
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これは「UNITED ARTIRTS」ラベル。ジャケットは上記「LIBERTY」盤と同じジャケット。表紙のデザインも裏の文字も同じだが、ディスクのラベルだけが「UNITED ARTIRTS」になっている。 「スタンパー」は上記2枚と同じ文字になっている。 |
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「スタンパー」だが上記の3枚とも同一の物になっている。「RVG STEREO」(刻印)&「BN ST 81595」(手書き)が刻まれている。 |
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この3枚は視聴したところサウンド的には大きな違いが無いように感じる。このことは同じディスクに3種類のラベルが貼られていることになる。 後述の4枚目のディスクの存在から考えて、これが「プレス」された時期は「LIBERTY」時代と考えてよいだろう。そして、残っていた「NY」ラベルを使用したもの。また「UNITED ARTIRTS」時代になり、残っていた「盤」に「UNITED ARTIRTS」のラベルを貼って発売したと推測してよいだろう。 「LIBERTY」時代に「NY」アドレスのラベルを使用したと推測されるのは「やはりアメリカだから…」なのだ。または「変動期」の特殊な状況を反映したものか?! |
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4枚目の「ディスク」だが、このジャケットは先に紹介した「MONO」のジャケットに入っていた。「STEREO」の金色シールは剥がされているものだが、ディスクのスタンパーと盤質は「UNITED ARTIRTS」時代のものと判別できるものだ。 このディスクには「RVG STEREO」の刻印が入っていないのと、スタンパーの文字が上記3枚と異なっている。 だがラベルは「LIBERTY」になっている。これは「UNITED ARTIRTS」時代に残っていた「LIBERTY」のラベルを使用したのだろう。 |
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「UNITED ARTIRTS」時代のプレス用の金型(スタンパー)の形状はセンター部の無音部の幅が狭いことに特徴がある。 これも「UNITED ARTIRTS」時代に上記ジャケットが残っていて使用したものか、市場に出てから差し替えられたものか、判断は難しいが、結構、前者の可能性は高いだろう。 |
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コレクターにとっては、「NY」アドレス・ラベルのものは高いステイタスを持って迎えられるが、「音的な面」から考えれば、「UNITED ARTIRTS」ラベルでも、「スタンパー」、「盤質」に問題なければ、価値的には変わらないものと判断してよい考える。 |
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次回は他のこのようなアルバムと、「MONO」盤でも同様なことがあり、それらを紹介する。 |
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♪今週の推奨盤♪ 上記4枚の「SOMRTHIN' ELSE / CANNONBALL ADDERLEY」 4枚目の「LIBERTY」のバンゲルダーの刻印の無いものも結構良いサウンドが聴ける。 やはり「BLUE NOTE」のアルバムだ! |
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