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解体新書 vol.17 TANNOY Autograph 進工社エンクロージャー篇 解説近藤賢二・音迷人・佐竹裕行、写真撮影佐竹裕行 構成:2ウェイ・1スピーカー エンクロージュア:フロントショートホーン付バックローディングホーン・フロア型(コーナータイプ) 使用ユニット:TANNOY HPD385A インピーダンス:8Ω 最大入力:85W 外形寸法:(W×H×D:107.0×152.5×67.0(cm) 備考:エンクロージュアは国内製造(タンノイ社の正式承認済)、受注生産品 |
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裏側です。とても箱の状態がいいです。上のところに手をかけるための切り抜きが付いています。(佐竹) 箱の背中が90度に尖っているコーナー型で、部屋の隅に置くように作られている。ヨーロッパの家は石壁や漆喰で出来ていて天井も高い。壁がホーンの開口部の延長にあって低い音までホーン効果が現れる。家を使っちゃうんだ。頭いい!低い音は波長が長いから、高音や中音のようにホーンの精度はさほど要らない。だから折りたたんでも酷い音にならないようだ。(音迷人) |
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スピーカー端子まわりです。(佐竹) |
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てっぺんのところにある刻印とシールです。思いっきり「MADE IN JAPAN」と書いてありますが、オートグラフは日本の箱がオリジナルです。(佐竹) 佐竹君のコメントと写真を見る限り、すごく綺麗に保存されている。国産チーク材使用の純正エンクロージャーとのこと。国産製であるから狂いもなく、日本の風土にも溶け合って、ここまで維持できたのではないかとも考えられる。できればオリジナルと比べて見たいものだ。(近藤) |
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底にはコロが3つ付いているので、移動は一人でも出来ます。(佐竹) |
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まず前のネットを外します。ネットは下側がネジで止まっているのでエンクロージャーを寝かせて作業します。(佐竹) |
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上側はダボで引っかけているだけなので、ネジが外れればネットは外れます。(佐竹) |
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ネットを外したところです。 ホーンのフチ等にフェルトの様な物が張られています。(佐竹) |
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フェルトの部分にあるネジでホーン型のバッフル盤が外れます。(佐竹) |
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ホーンはユニットと一緒に固定されているので、写真の小さい六角のネジを4つ外すと外れます。たまにこのネジを外すとユニットも外れるものが有るので注意が必要です。(佐竹) |
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外れたホーンです。(佐竹) フロントホーンはちょっと微妙だが恐らく300Hzから1KHz位でのホーン効果を狙っているな。(音迷人) |
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裏はこんな感じになっています。 ホーンの面は曲線ではなく平面の組合せになっています。(佐竹) |
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ホーンが外れたところです。(佐竹) |
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ユニットはHPD385が入っていました。 上下左右の4カ所のネジを外すとユニットが外れ、バックロードの穴が見えます。(佐竹) |
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ユニットを外しました。 ケーブルが見えます。タンノイ独特の端子でユニットに付いていました。この端子も壊れやすいので優しく抜かなければいけません。(佐竹) |
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バックロードの縦穴です。丁度背骨のところに有ります。 底面は斜めになっていて音を前向きに反射させる構造になっています。ここで一度前に持っていって左右に分けて両サイドから出す仕組みになっています。(佐竹) この仕掛けで凄い先輩が蓄音機で、あの「クレデンザ」が代表格。蓄音機の大型高級品は音道を芸術的に按配して箱に収めてある。溝の振動からすぐダイアフラムを振動させる。それがすぐ空気を揺らし音道を経て耳に届く。仕掛けは簡潔で電気など使わなかった。溝から耳までが直接的なので、いろいろ欠点はあるが「素材のよさ」が伝わる。中高音も考えた「クレデンザ」ほど複雑ではないが、オートグラフは同じ考え方である。(音迷人) |
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サイドのネットを外すには外側に有るネジと内側のフェルトの裏に隠れたネジで固定されています。(佐竹) |
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右のネットを外すとネットワークが出てきます。(佐竹) |
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左側には何も入っていません。(佐竹) |
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ホーンを外すとシールが貼ってあります。 「HPD/385/8」と書いてあります。(佐竹) |
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フロントのサランネットです。サランネットも状態がいいです。ネットの付け方もしっかりしています。(佐竹) |
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フロントネット上部のダボです。(佐竹) |
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ネットに付いているプレートです。もともとは金色だったようですが、錆びてます。(佐竹) |
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サイドのネットです。 丁寧な仕事がしてあります。(佐竹) |
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今回のオートグラフは国産の純正エンクロージャーでした。 日本製のため日本の気候に合っていたのか非常に状態が良かったです。そしてサランネットの裏側の処理など細部まで手を抜いていない作りで、職人さんのがんばりが伝わってきます。相当な苦労があったと思います。それこそプロジェクトXで取り上げられてもいいくらいだったのだろうと思います。 今回撮影したものはユニットに難があったため鳴らすことは出来きなかったのが残念です。出来ることならTANNOYで作っていた頃の箱とこの国産箱を比べてみたいです。(佐竹) こうして解体してみると、このスピーカーを作る営みにもなんだか人間臭くて暖かいものを感じる。昔のオーディオはなそんな世界にあった。それだけにこのスピーカは暖かくて堂々たる音を再生するし、重いから出てくる低音もしっかりしている。(音迷人) オーディオにのめり込み、その音楽が好きになったのはクラシックであった。最初に買ったLPレコードは忘れもしない、アルトゥール・トスカニーニ指揮「白鳥の湖」モノラル盤であった。それ以来、フルトベングラー、ブルーノ・ワルター指揮のヴェートベン、モーツアルト、チャイコフスキー全集等々数多く収集していた。今はジャズ!だが、なぜか当時クラシック音楽に嵌っていた。その頃オーディオ仲間から聞いていたのは「オーディオスピーカーでクラシックにはTANNOYがいい、ジャズにはJBLかALTECが向いている」ということだった。TANNOYオートグラフに初めて出会ったのは個人でオーディオ店を営まれていた店主宅に伺ったときのことである。それほど広くない部屋に、あのどでかいオートグラフがデーンと居座っていた。(余計に大きく見え圧巻だった)「デカくて美しいスピーカーだなァ・・」と見惚れた。TEACの10インチオープンテープデッキ、(2トラック・サンパチ)管球式セパレートアンプでプレイバックしてもらった。その時の音の感想は「こんなにも美しく再現するスピーカーがあるんだな」と、感心しきりだった。オペラ、シンフォニー等クラシック音楽を愛されるリスナーに、ぜひ優秀な管球アンプで聴いてもらいたい逸品である。(近藤) |
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