以前、ご紹介しました大阪は道頓堀にありますJazz Clubセント・ジェームスのオーナーでありジャズ・ピアニストの重鎮、田中武久氏のトリオによるアルバム紹介です。ジョージ・シアリングに魅せられこの世界に入ったという田中氏は大阪難波界隈にある道頓堀の「松竹座」でルイ・アームストロングの生ステージを鑑賞されたそうです。すごく羨ましいというか歴史の重みを感じます。世界のジャズ・ジャイアント・ドラマーであるエルビン・ジョーンズとの交流もあり共作アルバムもあります。初めてお会いしたのが、3月の大坂昌彦3daysの時でした。会場前に少しお話をお伺いした時の感想は、こんな事を書くとお叱りが飛ぶやもしれませんが、とても伊達男ともうしましょうか。しかし、ウェルカム精神旺盛の気さくな自由人のようでもありました。CDにサインを求めますと、黒いライナーノーツに白のマーカーでゆっくり、丁寧にお書きになりました。亡エルビン・ジョーンズから引き継ぐあるメッセージを書かれます。どうぞ、ゲットしてお確かめください。 Jazz Club St. James HP http://www7.ocn.ne.jp/ ̄st-james/
今回のおすすめCDは私が疲れた時に聴きたくなるアルバムの一枚です。とても力みがない演奏に癒されていつしかリラックスしています。田中氏と共演したドラマーの大坂昌彦氏にインタビューしたとき「洒脱した、達観した演奏を学びたい」と田中氏のことを話されました。なるほど〜。判るような気がします。聴いていて楽しいのです。歌心と表現するのか、間・節まわしとでもいうのか、さりげなく粋な表現。Liveの様子を見ていても兎に角、田中氏が楽しそうなのがバンド・メンバーに限らず観客にも良い影響を与えています。「スイングしなけりゃ意味ないね」のごとく、「楽しくなけりゃJazzでない」。大坂氏が「音符が踊る」とコメントされた田中氏の演奏を是非体感してください。タイトル曲である田中氏作"Morning Moon"。明け方まで残っている月のこと。寄り添う東原のブラシュ・ワーク、調和をもたらす神田のベース・ソロ。儚く味わい深い感傷に浸る。"Bitter Sweet"小粋なピアノとトリオのスケールの大きさ、繊細さ、センスを堪能。躍動感あるドラムスが素晴らしい。"I've Grown Accustomed To Her Face"珠を転がすような甘く奏でるピアノタッチで聴き手を自然とスイングさせます。お茶目な遊び心のある作品。男の色気が格好良い"Money Will Come And Go"は私のお気に入り。CDプレゼントにご応募お待ちしています。(^^)
ミルバは1939年イタリア・ゴーロ地方生まれで、本名はイルバ・マリア・ビオルカティ(Ilva maria Biolcati)といいます。60年のデビュー以来、イタリアを代表する歌手として活躍しています。カンツォーネの賞を何度も受賞しており、カンツォーネ界の女王の一人とされてます。何度も日本で公演しているようです。今年も「ミルバ with ジョン・健・ヌッツォ」という公演が9月に関東で行われるそうです。 紹介するCDはピアソラとの共演ライヴ(84年)、ブレヒトの作品、良く耳にする主要レパートリーを収録したベスト盤です。僕が一番にお勧めするのは3曲目の「マリー・Aの思い出」です。ピアノと歌だけのシンプルな曲の一つですが、それ故に耳を傾けている僕にいろんな風景を見せてくれます。14曲目「愛の讃歌」、15曲目「私の神様」、最後の16曲目「ミロール」までは日本での公演収録のようです。彼女は最後の曲でこのようにつぶやいています。「ミナサン、イッショニ・・・」そして聴衆は一緒に口ずさみます。この「繋がり」もお勧めです。ただ、僕が見たCMで流れていた「Canzone」<1968年第18回イタリア・サンレモ音楽祭3位受賞>という曲が入っていないことだけが残念です。