「ロマンティック」 ピアノトリオ 今週のおすすめはCD2枚です。ご応募いただいた皆様から抽選で各1枚ずつプレゼントします。お名前、送り先、ご希望のCD(「王様と私」か「BARRY HARRIS IN SPAIN」)を明記の上、下記メールアドレスまでご応募ください。 mailto:merumaga@hifido.co.jp 締め切り日時は4/5(木)21:00です。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。 |
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コンのおすすめCD テッド・ローゼンタール・トリオ 組曲「王様と私」 テッド・ローゼンタール(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、ルイス・ナッシュ(ds) 2006年3月NYで録音 ヴィーナスレコード TKCV-35378 2006/9/20 発売 曲目 (1) 君主と先生 (2) 踊りましょうか? (3) 夢を見た (4) 楽しい口笛を吹こう (5) 暗闇でのキス (6) 知り合うことは (7) 何か素晴らしいこと (8) シャムの子供たちのマーチ (9) ハロー、若い恋人たち |
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ジャズ・ピアノでは普段あまり聴いたことのない、何と厚く深い響きのピアノであろうか。ロマンティックな歌心がある。聴いたとたん感激し、そう感じた。現在まであのボーカリスト、ヘレン・メリルでのピアノを担当していたのがテッド・ローゼンタールだった。ヴィーナスレコードから彼のピアノ・トリオでのデビュー作である。 「いやーぁ・・実によくスイングしている」 心地よい躍動感を伴ってスムーズに奏でられる各メロディにジャズが持つ何ともいえないような哀愁さえも漂わせ、ピアノは厚く鍵盤上を流れていく。ベースは朗々と骨太な感触、ドラムスは鮮明で、より透明感が増してくる印象だ。シンバルの繊細な響きにも魅せられる。これは見事なものだと感じ期待も高まる。 ミュージカル「王様と私」のナンバーをロマンティックにテッド・ローゼンタールのピアノが紡いでいく。(1)「君主と先生」では最初から出足快調で優雅で軽やかなピアノ・ソロで始まり、ジョージ・ムラーツのベースがこれまた図太く心地よい。ドラムスは言わずと知れた名手ルイス・ナッシュだ。ドラム捌きとコンビネーションの良さ、シンバル&スネアの透明感は実にテッド・ローゼンタールというピアニストを、十二分に知りつくしての共演であろうと思うくらい、気合が入り好演している。(2)「踊りましょうか?」でもミュージカルらしい愛いっぱいの美しくスイング感タップリの楽しいサウンドである。また(3)「夢を見た」では一変、がらりとリズムはかわり軽いタッチのボサノバテンポで奏でいく。センスの良さが一段と輝いて聴こえる。力強く繊細なピアノ、図太く押し出しのあるベースの胴鳴り、さらにシンバルの弾け飛ぶすばらしいドラムスは、5年ぶりに聴くこのトリオの底力を改めて感じさせられるものであった。また(4)「楽しい口笛を吹こう」でも、スローバラードで奏でられる途轍もない骨太で分厚いピアノ・ソロで始まり、そのピアノの後を追うようにベースの深く切れ込む。何とも心地よい低域の贅沢な響きにしばしシビレさせてもらった。(6)「知り合うことは」では、名手ルイス・ナッシュのドラム・ソロがボリューム感タップリに弾ける演奏が見事である。(8)「シャムの子供たちのマーチ」では、その名のごとく、陽気に行進していく様子が見て取れるようなマーチ演奏で、ピアノとシンバルも繊細で鮮度が抜群だ。曲の後半からぐんぐんスピード感が増していくのもいい。こうして聴いていくと、全曲よくスイングしたリズムとよくマッチングしている。これほどゴリッとした理想の音に出会えたのにも思わず興奮した。ローゼンタールの骨太な音、久しぶりに聴くピアノは新鮮であり、これはまさにリスナーを虜にする演奏だと好感を持った。素晴らしい音に彩られ酔いしれるようでもあった。 サウンドは「ピアノが分厚く深い響き」と前述したが、普通この言葉はベースの音質表現で使うものである。しかしローゼンタールのピアノの響きはちょっと違う。他のジャズ・ピアニストより2〜3倍ほどの厚さと響きがあり、それが全身に伝わってくるのである。優雅さの中にも豪華な音が加味され、流れの美しさに呆然と聴き惚れた。この音を聴けば、オーディオリスナーなら忘れることのできない衝撃をうけるであろう。やはりハイパーマグナムサウンドの成せる技か!とも感じた。 |
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カプのおすすめ BARRY HARRIS TRIO 「BARRY HARRIS IN SPAIN」 BARRY HARRIS(p), CHUCK ISRAELS(b), LEROY WILLIAMS(ds) 1991.12.5マドリード録音 曲目 1)SWEET PEA 2)A BIRD IN HAND 3)LINE OF FIRE 4)ALEXIS LEIGH 5)STRIKE UP THE BAND 6)DON'T BLAME ME 7)FRIP-FLOP |
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'29年デトロイト出身のバリー・ハリスはピアノの先生をしている母親の音楽レッスンを'46年まで受けました。'45にパラダイス・シアターのアマチュアー・コンテストで優勝し、デトロイトのバーやキャバレーで稼ぎ始めました。'54ブルーバード・クラブでハウス・ピアニストとして、ペッパー・アダムス、ポール・チェンバース、ジョーンズ兄弟、ドナルド・バード、ビリー・ミッチェルやダグ・ワトキンス等と演奏しました。他にはソニー・ステット、レスター・ヤングやリー・コニッツのバック・アップの機会もあったそうです。彼の人生の始まりであり、一番の思いではチャーリー・パーカーとプレイした夜だそうです。'55、マイルス・デイビスがデトロイトで3ヶ月間滞在したときには同行しました。ここまでの紹介でも錚々たるジャズ・メンと活躍しています。遍歴を見てもお分かりになるでしょうが以降、現在も第一線で活躍している沢山のジャズ・メンと演奏されている息の長いミュージシャンです。 "Sweet Pea"力みがなくダークなピアノ・タッチがなかなか渋いです。"A Bird In Hand"ドラムスのブラッシュ・ワーク、腹に響く伸びやかなベース、甘みを控えたビターな味わいのピアノが心地良いです。"Line Of Fire"アップ・テンポの楽曲をリズミカルに奏でるバリー・ハリス、其々のソロも愉しいです。"Alexis Leigh"繊細にベースを脇で引き立てたり、フロントに出たりするハリスのピアノは味わい深いです。"Strike Up The Band"ハリスは自身のハミングと鍵盤で歌っています。"Don't Blame Me"優美でスインギー、とてもロマンティックなムードに酔しれます。定評のあるバリー・ハリスの秀逸なバップ・サウンドをご堪能ください。CDプレゼントにご応募お待ちしております。(^^) |