「サンバとバップ」 女性ボーカル聴き比べ 今週のおすすめはCD2枚です。ご応募いただいた皆様から抽選で各1枚ずつプレゼントします。お名前、送り先、ご希望のCD(「サンバ・チガーネ」か「セロニアス&バド・トゥゲザー・アゲイン」)を明記の上、下記メールアドレスまでご応募ください。 mailto:merumaga@hifido.co.jp 締め切り日時は5/17(木)21:00です。当選者の発表は賞品の発送をもって替えさせていただきます。 |
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コンのおすすめCD ダスコ・ゴイコビッチ 「サンバ・チガーネ」 ダスコ・ゴイコビッチ(tp,flh)、マルシオ・トゥビーノ(fl,reeds)、フェレンツ・シュネートベルガー(g)、マーティン・ヤコノフスキー(b)、シャロット・カグウィン(ds,per)、セリーヌ・ルドルフ(vo) 2006年録音 ワールドレコード TKCW-32122 曲名 (1) サンバ・チガーネ (2) メロジア・センチメンタル (3) メニーニヤ・モサ (4) オー・グランジ・アモール (5) ア・デスコベルト・ジ・レンチダオン (6) トリオ・ロコ (7) サンバ・トリステ (8) コラソン・ド・スル (9) ファイブ・オクロック・イン・ザ・モーニング (10)エステ・セウ・オリャール (11)エブリデイ・アンド・エブリナイト・アイ・ドリーム・オブ・ユー |
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ボスニア出身という哀愁のトランッペッター、ダスコ・ゴイコビッチが奏でる究極の響きは深く心に染み入る。トランペッターとしてダスコ・ゴイコビッチの名前を知ったのは、来日演奏した90年代後半だったと記憶している。ダスコ・ゴイコビッチはトランペット奏者であるが、作曲家でもある。今年75歳ということだが、力あるトランペットの響きは依然として全く衰えを見せない。いや、それどころかここに至って今が盛りといった印象さえ抱かされるのである。晩年にさしかかって、いっそう輝きを放ってきたミュージシャンの一人ではないかと思う。 今回のニューアルバムはダスコ・ゴイコビッチが興味を示しているというブラジリアン・ミュージックを主体にした曲を、独特の哀愁を帯びたトランペットソロが全体を引き締め、清らかに流れていく美しい響きに魅せられる。また効果的にフェレンツ・シュネートベルガーが奏でるギターの音色と合わすかのように、トランペットが優しく問いかけ、そこに素晴らしいブラジル出身のボーカリスト、セリーヌ・ルドルフが情感溢れ、心癒される歌声を披露してくれているので大変心が和む。(1)「サンバ・チガーネ」から最後の(11)「エブリデイ・アンド・エブリナイト・アイ・ドリーム・オブ・ユー」までダスコ・ゴイコビッチは、時にはトランペットにミュートをつけて、エモーションを抑制しながら聴かせる。得意とするスロー・ナンバーは中音域に特徴がある、柔和で情感豊かなミュート・ホーンで歌っている。マーティン・ヤコノフスキーのベース、シャロット・カグウィンのドラムスが快調な彩を添えているのが心強い。 サウンドはギターが爽やかな感じを与え、トランペットはストレートもよく響き、うっすらと残響が加わり透明感を伴って伸びやかさを感じる。さらにミュート・サウンドも冴え渡っている。 |
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カプのおすすめ ロレンス・アリソン・セクステット 「セロニアス&バド・トゥゲザー・アゲイン」 ローレンス・アリソン(vo)、ローラン・コック(p,arr)、ジャン=リュック・アラミー(b)、ユレス・ピココ・ビ・ンジャミ(b)、フィリップ・ソアラ(ds)、ニコラス・ダリ(t sax)、オリヴィエ・ザノ(alt sax) 1999.2.22&23 NY録音 曲目 1)Sphere 2)In Walked Bud 3)Together Again 4)Strictly Confidential 5)Darn That Dream 6)Bouncing With Bud 7)Craddle Song 8)Oblivion 9)Confidence 10)To All Eternity 11)Giants 12)Un poco loco 13)Celia |
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フランス出身の女性ジャズシンガー、ローレンス・アリソン。ジャケ写真のローレンスはとても知的で個性的な女性とお見受けしました。5歳からピアノと歌のレッスンを始めたというからかなりのキャリア。ただ美人だけでなく力を伴った色々な顔の持ち主らしい。さて、このアルバムはタイトル通り、ジャズピアノを確立した巨匠、バド・パウエル氏とセロニアス・モンク氏へ捧げた作品です。天才となんとかは紙一重といいます。私個人的にはセロニアス・モンク氏には興味がありまして、その時代に居合わせていたら密着取材をしたいと思うぐらい兎に角魅力に溢れた人物です。当時、ジャズ界の大パトロンであるパノニカ夫人との出会いがないとモンクは音楽活動をできなかったと言われています。セロニアス・モンクのDVDも併せてご鑑賞ください。 スターティングの“Sphere"(原曲:Eronel)で彼女のユニークさが分かります。アーシーさを醸し出す流麗なスキャットはメンバーが奏でる楽器と自然と融合。"In Worked Bud"はGreatです。ベースソロから入る"Together Again"(Pannonica)はパノニカ・ケーニッヒ夫人に捧げた楽曲で、トミー・フラナガン氏の「セロニカ」というアルバムでも演奏されていますのでこちらもお聴きください。ローレンス流ながらモンク節を的確に料理しています。"Bouncing With Bud"はサラ・ヴォーンやエラフィッツ・ジェラルドを彷彿させるスキャットからホーン、そして大役を務めるローラン・コックのピアノ・ソロ、ドラム・ソロ&ホーンとの掛け合いが楽しいです。"Craddle Song"はローランとアリソンが尊敬する2人の巨匠へ捧げたオマージュ曲です。バド作"Oblivion"スインギーなドラムス、リズムを刻むベース、甘いホーン。メリハリのあるピアノも堪能してください。"Confidence"(Crepuscule with Nellie)は多重録音のコーラス。9歳のころにはバロック音楽のクワイアーとしてレコーディング経験があるアリソンが聞かせます。ベースのロングソロが入る"To all Etermity"(Ugly Beauty)は亡トミー・フラナガン氏やバリー・ハリス氏も取り上げたモンク・スタンダードの代表作です。不思議な世界に引き込みます。"Giants"(Hornin' in)アレンジの面白さを表現できるメンバーの巧みな演奏もご堪能ください。原曲はバド作の"Un poco loco"はアップテンポで軽快に奏でる。ピアノの粒立ちの良い研ぎ澄されたピアノも素晴らしいです。バックのグルーブ感といい、ローレンスのスキャットというよりは彼女特有の流暢な言葉が実に愉しいです。難解さを全面に出さず違和感を与えないローレンスのヴォーカルにはまってしまうかもしれませんよ。そうそう、CD終了後にはおまけのアカペラが聞けます。CDプレゼントに応募お待ちしております。 (^^) |