「男女ボーカル」2008年3月7日 おすすめCDは下記の店舗で試聴できます。 コンのおすすめCD ケイコ・リー「イン・エッセンス」京都店 カプのおすすめCD マット・ダスク「バック・イン・タウン」大須本店 |
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コンのおすすめCD ケイコ・リー 「イン・エッセンス」 ケイコ・リー(vo,p)、ランディ・ブレッカー(tp)、デヴィッド・サンボーン(as)、オレ・マティセン(sax)、エイティエン・スタドウィック(key)、ホメロ・ルバンボ、吉田次郎(g)、カール・カーター(b)、ジーン・レイク(ds)、シロ・バブティスタ(per) 2007年NYで録音 (ハイブリッド盤) ソニーミュージック SICP―10092 曲名 1) エイント・ノー・サンシャイン 2) アイ・キャント・ヘルプ・イット 3) アイ・キャント・メイク・ユー・ラヴ・ミー 4) ザッツ・イナフ・フォー・ミー 5) ワン・ハンドレッド・ウェイズ 6) ナッシングス・ゴナ・チェンジ・マイ・ラヴ・フォー・ユー 7) スーパースティション 8) サムデイ・ウィール・オール・ビー・フリー 9) ユー・キャン・ハヴ・ミー・エニタイム 10)ミニット・バイ・ミニット 11)ナチュラル・ウーマン 12)ハウ・ディーブ・イズ・ユアー・ラヴ 13)明日に架ける橋 |
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ケイコ・リー、音楽表現と説得力ある歌声はもはや日本ボーカルの女王というに相応しい存在だ。今回の作品はこれまでになかったケイコ・リーの個性を活かしたコンセプトとなっている。前作のハンク・ジョーンズとの共演で聴かれた本格的なジャズ・ボーカルではなく、斬新な洋楽のヒット曲をアレンジしている。楽器の多いフーュジョン的なリズムであったりと、ケイコ・リーのこれから向かうべき道を探っているようでもある。なかなか興味あるアルバムだ。 誰が聴いてもケイコ・リーは世界的なスケールを持つ大型ジャズ・シンガーであると思う。何時聴いてもケイコ・リーのボーカルには惚れ惚れさせられる。「凄み」と「上手さ」が共存しているようだ。独特の個性を持つ薫りたつハスキー・ボイスの魅力に引き込まれていくのである。不思議なのは彼女の唄法がサラ・ヴォーン、カーメン・マクレェ、ビリー・ホリデイにも似たボーカルの王道を貫いているばかりではなく、絶対聴く者を捉えて放さぬ独特の唄法が最上級の賞賛を与えられるものだと思う。また彼女はピアニストでもある。ミュージシャンとして音楽的な考えと、そのスピリットがフレージングにしても独特で優れたリズム・センスを生み出しているのであろう。1)「エイント・ノー・サンシャイン」から12)「ハウ・ディーブ・イズ・ユアー・ラヴ」に至るまで、奏者との呼吸もピタリと合い、気負わず自然体でそれぞれの特徴あるナンバーを唄いこなし、一曲一曲確かめるように丁寧に歌いこんでいるところにも敬服したし、立派である。まさに堂々と世界に誇れる日本のボーカリストだ。 サウンドについてボーカルは比較的ナチュラルな感触で各奏者とのバランス感覚も抜群である。音数があるポピュラーな感じの曲が多いので、今回は一段と新鮮な感じというか清涼感も沸き起こるようで、解像度も抜群に高いといえよう。 |
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カプのおすすめCD マット・ダスク 「バック・イン・タウン」 マット・ダスク(vo)、ゲイリー・フォスター(as)、ウェイン・バージェロン(tp)、チャーリー・ローパー(tb)、ピート・クリストリーブ(ts)、ボブ・シェパード(ts)、ウォーレン・ルーニング (tp)、ゲイリー・グラント(tp)、ヴィニー・カリウタ(ds)、パトリック・ウィリアムス(arr)、サミー・ネスティコ(arr.)、ヴィンゥ・メンドーサー(arr.)、クリフ・マスターソン(arr.)他 曲名 1)バック・イン・タウン 2)オール・アバウト・ミー 3)ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム 4)モア 5)アズ・タイム・ゴーズ・バイ 6)ラーニン・ザ・ブルース 7)ア・ミリオン・キッシズ・レイト 8)ホエア・ワー・ユー・ホエン 9)教会へ行こう 10)フーズ・ゴット・ジ・アクション 11)君住む街角 12)エイプリル・ムーン 13)ベサメ・ムーチョ(ボーナス・トラック) |
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カナダからまたもやスター性のあるヴォーカリストが現れました。カナダ人が誇りにしている歌手で最もポピュラーなのがセリーヌ・ディオン。そしてジャズ界ではダイアナ・クラール、マイケル・ブーブレが記憶に新しいかと思います。今回ご紹介するマット・ダスクはカナダのトロント出身。幼少期から歌手を志していました。セント・マイケルズ・コワイア・スクールという音楽学校ではオペラ歌手になるための教育を受けておりましたが、一転してジャズ歌手を目指すようになったきっかけがトニー・ベネットとサラ・ヴォーンを聴いて感銘を受けたということです。コンペティションで優勝するもプロにはならずヨーク大学に進み経済学を専攻。しかし、歌手になることを諦めきれず音楽専攻に変更しジャズ理論とジャズ・ヴォーカルを大学で学んだそうです。因みに大学のマスター・クラスの教授はオスカー・ピーターソン。「オスカー・ピーターソン・スカラーシップ」を取得して最優秀の成績で卒業したということです。 マット・ダスクの素晴らしい経歴はさておき、「バック・イン・タウン」の紹介といきましょう。本アルバムではカウント・ベイシー楽団に数多くの名曲を提供し、80歳を過ぎたご高齢ではありますが今も現役のサミー・ネスティコ氏などがアレンジャーとして参加しています。レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア、マスタリング・エンジニアという「音質」に関わるスタッフも豪華だということで、オーディオ・ファンも愉しめる内容になっているのではないでしょうか?舞台や映画では、「シナリオ・相手役・舞台」の三拍子が揃うことが大切だという声もあります。音楽も同じなのでしょうか。マットのスイング感ある小粋な歌唱はこれからが楽しみなジャズ・ヴォーカリストだと思います。タイトル曲「バック・イン・タウン」はちょっとレトロな感じでコマーシャル性抜群の一曲です。「アズ・タイム・イズ・ゴー・バイ」ではしっとりと語り掛けるようなマットの歌唱とストリングスが融合しています。なんか、「俺について来い」という勢いのある男性らしさが歌に表れていてとても魅了的です。 超豪華な大勢のバッキング・メンバーにも恵まれてジャズ・ヴォーカル界に大物エンターテナーの出現。更に羽ばたいていく事を期待したいと思います。試聴ご希望の方は店頭スタッフに遠慮なくお申し付けください。(^^) |