ペギー・リーのヒット曲として知られる1)「バット・ビューティフル」は、フッとフレーズが湧き出て、指先に伝わり鍵盤上を素晴らしいリズムで刻んでいくように聴こえる。バーバラ・キャロル独自の持ち味と言えよう。様々な種類のフレーズが出ては消え、現れては消失するといった、あたかもバーバラが作曲したように表現されていくのだ。そうかと思えば6)「プレリュード・トゥ・ア・キス」及び7)「いつかどこかで」のように作曲者に敬意を払ったようなフレーズも醸し出されていく。弾き語りの素晴らしいこと、思わず身を乗り出してしまうほど、バーバラが存在するかのようなリアルな表現にしびれる。落ち着き払った印象の癒しのボーカルとレオンハートのベースには元気付けられる。10)「貴方の家に帰りたいYOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」を聴いた途端感極まった。ピアノには依然として重量感があり、ボーカルはオーソドックスな感じさえ与え、可憐な感じも漂わせ、このアルバムを聴けばバーバラには現役ミュージシャンとして、まだまだゆったりした気分で何時までも頑張ってほしいと願わずにはおれないくらい素晴らしい出来映えだ。
全体を通して、'60年代前半のアメリカ・ストレート・アヘッド・ジャズを彷彿させます。"PIA"、"JUAN-LES-PINS"は2ホーンの魅力をご堪能ください。粘りのあるサックスが乙な味を出しています。"INTRO & OVER STOCK OCH STEN"イントロがどこかで聞いたメロディーだなと思いつつ、耳を傾けていると徐々にベース、ドラムス、サックスとグルーブしながら最後は静かにフェイド・アウトします。"PUSCHKIN 55 & CODA"ピアノ、ベース、ドラムスのリズム隊をバックにホーンセクションが共演した後、アーシーなドラム・ソロがソウルフルに奏でます。R&B,Bluesといった要素が入った格好良い演奏です。"PARONET I MONTECELLO"はラテン色を彷彿させながらコルネット、心地よいサックス、ピアノへ移ります。"RELAX-FLOAT DOWNSTREAM"闇夜やトンネルを抜き出た時の爽快感がなんともいえない。ドラム・ソロも圧巻です。夜のドライブのお供にいいかもです。"MAYBE TOMORROW"アバン・ギャルドな印象のイントロからアップ・テンポへ。いかしたドラムスのリードでトランペット、サックスソロから徐〃にクール・ダウン。"HEAVENLY BLUE"はハモンド・B3がファンキーに奏でます。本アルバムは'61〜'66の作品が収められていているので曲により3名のベースが楽しめます。ベース好きな方はどうぞ聴き比べてください。ご試聴ご希望の方はご遠慮なく店頭スタッフにお申し付けください。お待ちしております。(^^)