まさかの雪に驚いた新年の京都ですが、あっという間に一ヶ月が過ぎました。 2015年、最初のメールマガジンになります、京都商品部の朴 高史です。 やはり、こんな寒い時期は、引きこもって読書でもと、(寒くなくても引きこもり気味ですが、)最近読んだ本のお話です。 |
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先ずは、アメリカ ポピュラーミュージックの歴史についてのこの2冊。 |
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「アメリカン・ルーツ・ミュージック 楽器と音楽の旅」 奥 和宏 音楽之友社 |
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カントリーミュージック、ブルーグラスなどの音楽ライターであり、楽器コレクターでもある著者が、楽器の伝承、変遷と、アメリカポピュラーミュージックの歴史が語られた一冊。 バンジョーがアフリカ起源であったり、ギブソンは、創業時(1890年代)にフラットマンドリンを主に作っていたり、 ピアノの曲のイメージが強いラグタイムが実は、マンドリン用に作られた曲だったり、 ギターが巨大化していったのは、ビッグバンドジャズでのヴォリューム確保のためだとか、(その後はエレクトリックになります。) 既成のイメージが変わってしまいました。 内容に合わせたディスクガイドの「ディスクでたどるアメリカ音楽史 アメリカン・ルーツ・ミュージック」という本もアルテス出版から出ています。 |
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「ディスクでたどるアメリカ音楽史 アメリカン・ルーツ・ミュージック」 奥 和宏 アルテス出版 |
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「アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」 大和田 俊之 講談社・選書・メチエ |
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1970年生まれで、慶應大学法学部准教授でもある作者の、革新的で、非常に論理的なアメリカ ポピュラーミュージック史です。 アメリカでの最初の大衆芸能である「ミンストレル・ショウ」の詳しい解説から始まり、ブルースの発祥の著者独自の見解、 リベラルのフォークミュージックへの対抗として定義された保守派のためのカントリーミュージックなど、政治や経済などのあらゆる資料を駆使し実に論理的に説明されます。 南北戦争後のニューオーリンズでジャズが生まれ、ユダヤ系移民によるティンパンアレー、 ラジオやレコードの出現でミュージシャン達は職を追われ、(ラジオ局が楽団を雇わなければいけない法律があったようです。) 中産階級の子供(ティーンエイジャー)の出現で、ポップミュージックが誕生するなど、アメリカの変化に伴い今日あるポピュラーミュージックが出来上がってゆきます。 変化や拡大の動機が他者への偽装願望にあると著者は捉えております。(ミンストレル・ショーのすり足から、マイケル・ジャクソンのムーンウォークとのことです。) 多少の強引さはありますが、大変面白く読みました。 こちらの二冊は、オルタナカントリー以降のアメリカーナミュージックの視点かと思います。 |
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続きまして、60年代カリフォルニアの音楽事情についてのこちらの二冊。 |
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「レッキング・クルーのいい仕事 ロック・アンド・ロール黄金時代を支えた職人たち」 ケント・ハートマン 加瀬俊 訳 P-Vine Books |
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「ヒース・ア・レベル」「ハイ・ロン・ロン」クリスタルズ 「ビー・マイ・ベイビー」 ロネッツ 「サーファー・ガール」「サーフィン・USA」 ビーチ・ボーイズ 「サーフ・シティー」ジャン&ディーン 「ミスター・タンブリン・マン」ザ・バーズ 「夢のカリフォルニア」ママス&パパス 「夜のストレンジャー」フランク・シナトラ 「ミセス・ロビンソン」「明日に架ける橋」サイモン&ガーファンクル 「遥かなる影」「イエスタデイ・ワンス・モア」カーペンターズ「追憶」バーブラ・ストライサンド 「愛ある限り」キャプテン&テニール これらの曲すべては、一つのレコーディングミュージシャンのチームによって作られました。(モンキーズの正体も彼らです。) レコードのクレジットにも表記されないこのミュージシャンチームを業界関係者の間では「レッキング・クルー」(ドナルド・ハミルトンのスパイ小説のタイトル「破壊部隊」から来たものかと思われます。)と呼ばれ、 当時、公表するのはタブーだったようです。 本は、チームのリーダー的存在のドラマー ハル・ブレイン、凄腕の女性ギタリスト(後にベイシストに)のキャロル・ケイ、シンガーとして大成することになるギタリストのグレン・キャンベルを中心に、 深く関係のあったフィル・スペクター、ブライアン・ウィルソンなどスターミュージシャンとのエピソードが語られていきます。 60年代、ロックアンドロールの黄金期と言われた時代の中心でもあるカリフォルニアで、時代の波に翻弄されながらも生きるミュージシャン達が描かれております。 |
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「ペット・サウンズ」 ジム・フジーリ 村上春樹 訳 新潮文庫 |
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1966年のビーチボーイズの名盤「ペット・サウンズ」を、アルバムの各曲ごとに実に細かく解説されてます。 前作「サマーデイズ」、と前々作の「トゥデイ」との変化や共通性に個人的には感心しました。 エピソードには、レッキング・クルーのメンバーも登場しますので、(「レッキング・クルーのいい仕事」にも、ペット・サウンズ、次も問題作のスマイルの話があります。) 二冊を合わせて読むと面白いかと思います。 |
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これらの本を読んでますと、私のレコード棚にもモノラル盤がチラホラ混ざるようになりまして、気になり始めてるのが、モノラルカートリッジです。 |
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モノラルカートリッジの針先は3種類あります。 ・SP盤専用の2,5〜3milのもの。 ・5、60年代のオリジナルモノラル盤用の1milのもの。 ・ステレオカッティングマシーンで作られたリイシューのモノラル盤用の0,7milのもの。 (mil=1/1000in) |
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私の場合、0,7milと1milのものの両方がいるなあと思いつつネットを見てますとこんなのを見付けました。 |
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GE RPX-050 Variable Reluctance(バリレラ) トリプルプレイ |
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二種類の針を上部のレバーで切り替えられます。(バリレラカートリッジは、なかなかうまく鳴らせないようです。) と、まだまだ考え中です。(シュアとか、グラドとか、) |
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カートリッジ等も数多く取り揃うハイファイ堂。 レコードプレーヤーの事などなんでもお気軽に当店スタッフにご相談ください。 では、失礼します。 |