いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部の滝本です。 『人生は選択の連続である』 最近、よくこの言葉が脳裏をかすめます。 |
|
私事ですが、部屋探しをしていたり、携帯電話が不調なので機種変更を機に格安のSIMに移行してしまおうか、などと他愛もない事ながら色々比べて選ばなければならないというシチュエーションが多いからなのですが、折しも時は4月。 皆様の中にも色々悩みながら重大な選択をして新生活のスタートを迎えられている方も多い事でしょう。 |
|
あっちの道かこっちの道か、 Aを買うのかBを買うのか、 そもそも行くのか行かないのか、買うのか買わないのか、 常に比較して選択して、を繰り返しの日々。 『人生は選択の連続である』とはまさに言い得て妙です。 ところで、私は随分と長い間、これがシェイクスピアの言葉であると認識しておりました。ですが実際には誰の言葉かはっきりしていないそうで、未だに出自不明です。 言いそうなんですがね、シェイクスピア。 |
|
さて、そんなふとした比較の機会が先日行っていたスピーカーのメンテナンス作業時にも転がって来ました。 とてもよく似たスピーカーがほぼ同時にメンテナンスに入ったので、自然と比較せざるを得ないような心持ちになりまして…。 自分で購入(選択)するわけではないので、「仮に自分が購入するとしたらどちらを良いと感じるだろうか」という漠然とした比較ではありましたが。 |
|
その比較の対象となったひとつめのスピーカーは、 |
|
TANNOY FSM(Fine Studio Monitor) です。 |
|
1985,6年頃に TANNOYから出されたFSMですが ユニットはTANNOYおなじみの同軸2ウェイの38cmのものが全帯域用に。 低域用にもうひとつ、38cmのウーハーが組まれています。 バスレフ方式のフロア型で、インピーダンス8Ω。 音圧レベルは94db。 許容入力が500W(最大700W)。外形寸法は幅716×高さ1112×奥行541mmで一本辺り重量は83kgです。 (※TANNOYカタログでの表記において、サイズや重量がここでの表記と違っているものもございますが、実測サイズなど今回はより確かかと思われる数値の方を採用させていただいております。今後の追調で訂正の必要が生じた場合は、即時改めてご報告させて頂きますのでご了承のほどよろしくお願いいたします。) |
|
そしてもう一方のスピーカーはと言いますと |
|
発売もその約1年前の1985年。 ユニットの構成や外形のサイズ感、 コントロールパネルの配置位置などの見た目も含めて よく似ているものなのですが、お分かりになるでしょうか? |
|
こちらになります。 |
|
前回のメルマガで取り上げさせていただきました UREI の 813BX です。 |
|
ハイファイ堂メールマガジン第683号「UREIの813BX」 ↓ http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/170303/index.html |
|
FSMのスペックと見比べても近似していますし、上部に同軸ユニット、同一垂直線上の下部にサブウーハー、斜め上の部分に操作パネル。 何か申し合わせたかのような類似性です。 追って比較してみます。 |
|
エンクロージャーを見てみますと、 813BX同様、かなりしっかりとした作りになっているのは鳴りの安定性を高めるのは勿論の事、重さのある同軸ユニットが上部に取り付けられる事による上への重心の偏りに耐える為でもあるのでしょうか。 |
|
箱は前面が特に厚みがあるようで平均約3cm程。 813BXよりは素材自体には堅牢さを感じつつ、しかし全体としては軽やかな印象です。 (813BXは前面厚み、実測平均2,5cmでした。) |
|
エンクロージャーの相違的な特徴として内部の仕切りの有無があります。 |
|
同軸ユニットとサブウーハー的な役割のウーハーユニットをきっちりと部屋分けする事でそれぞれが干渉することを防いでいるようです。 これによって音の濁りが解消されているのでしょうか、音の印象が813BXよりもすっきりとした感じに。 |
|
全体的な音の印象はのちほど。 |
|
奥に向かって傾斜が上がっていく形で付いている仕切り板の中央部分に穴が開いていて、 |
|
そこから下部のサブウーハーの方にも配線を通してやります。 → |
|
バスレフポートが、ユニットひとつに対して2個づつ。 メンテナンス中、並べているとなんだか植木鉢のようにも見えますが。 |
|
↓装着はこのように、はめ込むだけです。 |
|
|
|
ネットワーク、操作パネルはこの開口部に → |
|
外からネジ6か所締めになりますが、 |
|
背面のターミナル部も含めて、特徴的な金メッキのバーが見られます。 |
|
← シンプルな作りが面白いのですが、この形状の金メッキバーが |
|
中央を支点として |
|
右に |
|
左にと、その機能を選べるようになっています。 (こんなところにも小さな(人生の)選択が…。) |
|
上部写真で見られる、最上段の LF WINDOW ではダブルウーハーの2ウェイと同軸ユニットのウーハーをスコーカーとして使用する3ウェイとの切り替え。 |
|
TREBLE ENERGY では 3kHz〜20kHz |
|
TREBLE ROLL OFF では 5kHz〜20kHz |
|
PRESENCE ENERGY では 1.5kHz〜4.7kHz の 帯域のコントロールが出来ます。 |
|
最下部にある SLAVE INPUT は前面からの入力が可能になる補助端子です。 |
|
この操作部分がスモークがかっているアクリル板で蓋をされるような形になるのですが、見た目の良さはともかく、固定が上下にひとつずつのネジ状のツマミでされているので、使い勝手は少し悪いかと。 |
|
そして要の同軸ユニットとウーハーユニット。 前からだと区別は難しいですが、 ↓左 同軸 ウーハー 右↓ |
|
|
|
後ろを見ると配線や逆ドーム型のダイアフラムで一目瞭然です。 ↓左 同軸 ウーハー 右↓ |
|
|
|
サランの張り替えに一苦労なのは 813BXと同様で、 |
|
張られたサラン生地の上から、後ろにある木枠に掘られている溝に向かって細長い金色の金属棒をグッと押し込んで固定します。 生地の張り具合を上手に調節してやらないと、棒が入りきらなかったり、サラン生地が緩いままだったりするのです。 |
|
|
|
それでは音の比較ですが、 まず前回メルマガのUREI 813BXで、再度得られた音のチェック時にジャズ系の曲を聴く事が出来たのですが、それを聞いてやっと「ああ、なるほどな」と思えました。 基本的にこのスピーカーはドカンと力強く中低域を鳴らすのに特化しているようなスピーカーで、そういった種類の音楽を音圧を体感しながら楽しむのが正解なのかな、と。 実際、音量を上げるほどに音の安定感も増していくようで、どこまでこの力強さは上がっていくのかとボリュームを限界まで上げてみたい衝動に駆られました。 対してのFSMです。 ユニット構成などが似ているだけに力強さを感じるという最初の印象は同様。 音圧の感じ方も似ています。 しかし、音色というか音のキャラクターはやはり違います。 TANNOYのユニットならではの柔らかさとでも言えばいいでしょうか、表現下手で申し訳ないのですが813BXがジャズを大音量で聴きたいと思えるとしたら、こちらのFSMはフルオーケストラの演奏を大音量で聴きたいと思える音でした。 ユニットの特性もあるのでしょうが、FSMの方が柔らかい印象ながらも(813BXと比べると)音の輪郭がはっきりしているように思えて、結果オーケストラのような多種の楽器の音色も聞き分ける事が出来るのではと感じました。 実は中の仕切りが予想以上に良い結果を生んでいるのでしょうか。 |
|
ものすごく個人的な感想から言いますと 813BX と FSM、どちらかを選ぶとなれば私はFSMの方が好みです。 さんざん似ているとはいったものの見た目の印象の方向性はそれぞれ違いますし、その見た目でいうとFSMを選びますし、そして低音の伝わり方がこちらの方が自分に合っていると感じましたし。 実は価格帯も同じような所ですから、単純に音の感じ方の違いだけで選べました。 もちろん、813BXがダメという事ではありません。 視聴時の、あのどこまでも音のパワーが上がっていく感覚はなかなかに癖になりそうでしたから。 曲やシチュエーションによって使い分けられたら最高に贅沢ですね。 |
|
4月、新生活がスタートする季節に合わせて身の回りの品も色々と心機一転、新しいものを加えてみたくはなりませんでしょうか? もしそれがオーディオ機器だったりするならば、ぜひまた私どものハイファイ堂を訪ねてみて下さい。 皆様方が最良の選択が出来ますよう、私どももより良い、より多くの比較の為の商品を取り揃えてお待ちしておりますので。 それではまた。 |