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NEC/A-10TYPE3
ハイファイ堂メールマガジン第697号 丸の内店
東京丸の内仲通りの木々の新緑が映える季節になりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
ハイファイ堂 丸の内店 廣川勝正です。
さて今回は、ハイファイ堂の2年保証プリメインアンプの中で大人気を誇る製品について語りたいと思います。
1983年当時、半導体メーカーとして評価の高いNECより、満を時して登場したA-10プリメインアンプ。
採算を度外視したかのような物量の投入、がっちりとしたシャシー構造、同じ形状の操作つまみをシンメトリカルに配置した個性的なデザイン、そして何よりもそのスペックが信じられないほどの迫力とパワー感が満ち溢れた音で人気を誇ったモデルでした。
丸の内店には、その3代目に当たる1986年発売のモデルA-10TYPE3をレストアした2年保証製品があります。
この後、その内部を覗いてみて、さらに実力を確かめるべく、試聴レポートをお届けいたします。
まず、ボンネットシャシーを留めてあるネジを取り外し開けてみました。右の写真の様に、ボンネットを留めているだけで4種類、合計15個ものネジを外さねばなりません。
外して内部を一通り見て驚かされるのが、電源部の占める割合です。
見た感じ7割ぐらいのスペースは占められているのではないかと思われる電源部、A-10シリーズより開発された「リザーブ電源方式(充電電流のピーク値を小さくでき、電源のインピーダンスも低下し、電流供給能力の増大を達成した独自技術」をさらに改良したA-10TYPE3ならではの独自のコンストラクションに感心させられます。
さらにT字型のサブシャシーも取り外してみました。こちらも17個ものネジを外さないと取り外せませんでした。
これでやっと電源トランスを見ることができます。見た感じではEIコア型の大型電源トランスの様です。本体をラックにセットする時に、後ろ側が異様に重く感じたのも納得出来ました。
A-10TYPE3では、さらに電源トランスの電流容量、平滑コンデンサの容量などが従来より約20%増強されており、電源インピーダンスも一段と低下しており、より優れた電源となっているとの事です。
また写真を見て分かる通り、外したT字型のサブシャシーとトランスが強固にネジ止めされ、底面だけではなくシャシー全体でトランスをしっかりと支えられている構造が見て取れます。
これ以上分解すると、元に戻すのにかなりの時間が掛かりそうなので、ここ迄に留めて、その他の内部を見てみます。
プリアンプ部の基盤の裏側を見てみると、ハイファイ堂のサービス部門によって再ハンダ処理が綺麗に施されている様子が伺えます。
また同じく、コンデンサーや半固定抵抗など、劣化パーツ並びに今後の使用で劣化が見込まれるパーツも交換され、発売当時のコンディションに出来るだけ近づけて長く使用できる様に、ハイファイ堂のサービス部門によりメンテナンスが施されているのが見て取れます。
構造には独自のメカニカル・グラウンド・コンストラクションを採用しているとの事です。
右の写真の底面の板には厚さ3.2mm鉄板が採用され、直径50mm、高さ22mmの焼結合金の大型インシュレーターが取り付けられている様子を見る事ができます。
それでは、改めてセッティング致しまして、試聴に入りたいと思います。
スピーカーにはYAMAHA NS-1000M、レコードプレーヤーはKENWOOD KP-7010、カートリッジにSHURE M44Gを組み合わせました。
試聴盤はアナログLPでマイルス・デイビスの「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」です。
まず、冒頭のベースの野太さに驚かされて、思わずボリュームを絞ってしまいました。決して大きな音ではなかったのですが、押し出しの力強さに感心させられた次第です。
その後、ミュートの効いたマイルスのトランペットの音が頭上に降ってくる様に鳴っていて、これまた驚きました。この音離れの良さは、アンプのドライブ力の高さを示すものと思います。その点でも感心させられました。
B面2曲目のタイトル曲では、ボーカルの音像が中央にしっかりと定位し、口の大きさも大きくならず、ドライブ力の高さとニュートラルな音の質感がとても印象的でした。
NEC A-10シリーズは何度か試聴をしてきましたが、今回改めてその実力の高さが確認できました。さらに、メンテナンスによるコンデションの良さにも、改めて感心した次第です。
今回ご紹介したNEC A-10TYPE3は、現在、丸の内店にて試聴可能となっております。販売価格は138,000円で2年の保証付きです。ぜひ、ご来店頂き、その実力の高さを実感して頂きたいと思います。
それでは、また次回。
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