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大須本店の佐々木二朗です。先日、大阪までエレーヌ・グリモーのピアノコンサートを聴きにいきました。今回のコンサートは彼女の「WATER」という水に関した曲で構成されたコンセプトアルバムに伴いおこなわれたもので、ラヴェルの「水の戯れ」や武満徹の「雨の樹、素描 II」などが演奏されました。
↓以下アルバム「WATER」のトレーラー
ニティン・ソーニーというミュージシャンによるエレクトロニカ(電子音楽)とグリモーのピアノ・ソナタが交互に奏でられる構成となっており、新旧が並列に扱われている実に現代的なアルバムです。
この「新旧が並列に扱われる」という現象、インターネット時代の現代では至るところで現れていると思うのですが、オーディオでもソース1つとってもハイレゾ、データ配信があると思えばCD、SACD、レコード、カセットテープなどなど、、、どれが音が良いか?などの議論が尽きない、まさにオーディオにも新旧並列時代到来といえることでしょう。
さて、そんな時代だからこそあえて昔からあるオーディオにおける、古い方が良いのか?新しい方が良いのか?という対立の代表的議題、「真空管vsトランジスター」について考えてみようと思います。
まず歴史的事実として真空管アンプがトランジスターアンプより先に存在しました。始めに真空管アンプありき。そして一般論ですがトランジスターアンプより真空管アンプの方が出力が小さいです。
ALTECの128Aは20W程です。
ALTEC/A5です。劇場用スピーカーとして開発されたこのモデル、ユニットの能率が良いことで有名です。真空管アンプの小さな出力でも大きな音が出る様、真空管アンプ時代のスピーカーは能率が良いものが多いです。
20Wの出力でも劇場いっぱいに音を届ける必要があった訳ですね。しかし時代は進み、トランジスターアンプが登場すると出力は飛躍的に上がります。家庭用でも200Wぐらいあっても、もはや私たちは驚きません。
McIntoshのMC2500は片側500Wです!
トランジスターアンプ登場とともにスピーカーの能率は低くなります。なぜか?諸説あるとおもいますが、能率が低い方がノイズを拾いにくく、クリアなサウンドになるからです。
ここまでまとめると、、、
真空管アンプ時代は低出力をカバーするために、スピーカーの能率は高かった。高い能率のスピーカーは敏感な反応でノイズを拾いやすいという欠点があるが、高出力のトランジスターアンプが開発されるとともに、能率の低いクリアなサウンドのスピーカーが誕生した。
真空管アンプ時代は弱い力で、スピーカー側の反応を良くしていたものを、トランジスター時代になると強力なパワーでスピーカーをグイグイ駆動させることができるようになったため、スピーカーの反応を鈍くしたわけです。
能率の低いことで有名なB&W Nautilus805。能率は88dbでALTEC A5が105dbと言われています。17dbの差ですが、B&Wの100Wでの音量がA5ではたった3W程あれば同じような音量で鳴ります。しかしNautilus805にはALTECでは得難いクリアなサウンドが、、、。
トランジスター時代による高出力+低能率の組み合わせはクリアなサウンドを手に入れました。しかし、失ったものもあるのです。それは何か、、、
それは、高能率の敏感な反応をするスピーカーだけが持つ生々しいサウンドです、、、。(時にそれはスピード感とも表現されます。)生々しさだけはいくらハイパワーにしても得られません。
というわけでクリアなサウンドが欲しいか、生々しさが欲しいかで、新旧のアンプ+スピーカーの組み合わせを選んでみては如何でしょうか。
(とはいえ実際には現代でも高能率のスピーカーや、大型スピーカーでも楽々駆動するようなハイスペックな真空管アンプも生産されているので一概にいえることではないことも言及しておきます。)
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