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私のお宝 「真空管アンプ製作講座」 2005年9月16日 音迷人 第1章:目から鱗の巻 アンプに関わる事項(その2) 前回ではキットの梱包を解いて中身を調べその各々の役割を説明し、まず主役の真空管に付いておさらいをしました。今回は真空管が働くのを助ける、様々な部品などについて説明し、自動車教習で言う「構造・法規」を終わり次回の実技に移りましょう。 |
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前回整理したアンプの部品類を又掲げておきます。大半はご存知で説明は不要かとも思いますが、電気回路関係の部品だけでもおさらいしましょう。 構造部品 シャーシー、カバー、支持金具、ネジ類、ネームプレートなど 電気回路部品 真空管、トランス、コンデンサー、抵抗器、可変抵抗器、パイロットランプなど 接続部品 ACコンセント、ソケット、スイッチ、フューズ、真空管ソケット、入力ピン、スピーカーターミナル、ラグターミナル、リード線、ハンダなど |
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変圧器(トランス):電気を導体に流すと磁気が発生し、磁気を「変化」させると導体に電気が流れる原理を利用し交流(AC)電圧を変えるもの。磁気を良く通す鉄芯に親コイル(1次コイル)を巻き、目的(欲しい電圧レベル)のターン数だけ子コイル(2次コイル・・)を巻き電圧を得ます。(イメージ図) 写真の例では左から電源トランス(PT)チョークコイル(CH)出力トランス(OPT)×2です。(今後このように回路図での「記号」を書いて説明とします)ここで注意ですが、CHは形状、素材はトランスに似ていますが、電圧変成が目的ではなく直流電源の平滑化が目的です。アンプの場合コイルはこのコイル以外に余り使いませんので、便宜上トランスの項に入れておきます。造って売っているのもトランス屋さんです。CHの変りに抵抗器(R)を使う場合が有ります。小型化やコストダウンが目的です。CHはRより高価なので、やっとの予算を超すとダウンするからです。(-_-;) |
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当キットの電源部の回路図です。ここで電源トランス(PT)等の働きを説明します。磁気効率を高めた鉄心を環状にし鉄心に1次コイルや2次コイルを巻きます。解りよいコイル巻き数で説明します。1次コイル巻き数を100回とし商用電源100Vに接ぎますと磁束が鉄心内を通ります。この磁束は逆に100回巻いたコイルに100Vを発生します。1回巻いたコイルには1Vです。290回巻けば290Vが得られます。こうして2次コイルたちが必要な電圧を作っているのが電源トランス(PT)です。 コイルは電気が変化しようとすると抑えようとします。積極的にそうなるように鉄心を入れています。チョーク(息が詰まる、制限する)コイル(CH)と呼ばれています。 スピーカーをつなぐ為のトランスを出力トランス(OPT)と言います。真空管の高い電圧の直流回路から絶縁したりスピーカーにあった回路系に変換します。つまり絶縁トランスでありインピーダンス整合トランスです。真空管をパラ(並列)にたくさん並べてスピーカーに合わせるようにてOPTを使わない出力増幅方式があり、OTLアンプと言います。OPTがいかに音質を左右する部品か想像がつきますね。 |
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蓄電器(コンデンサー、キャパシター):電極を向い合わせ絶縁体を挟むと電気を貯める性質を利用した部品。エネルギーを貯める量で単位はファラッド(F):よく使うレベルμF(マイクロF)=1/1000Fです。(写真)回路図では「C」で表します。コンデンサーで覚えていただきたいのはいろいろある中で、電気的化学作用を利用した小型で大容量の「電解コンデンサー」と(一般の)コンデンサーが有ります。「電解コンデンサー」のほとんどが有極で電源系統に多用されます。極を間違えると発熱しパンク(噴出?)します。それと耐電圧が重要です。向い合った電極が電圧に負けて放電(短絡)してしまわないように回路でかかる電圧以上の耐圧のものを選びます。写真の電解C、47マイクロFでは350Vが見えますね。これは6SN7のプレート電源回路280Vで使われます。また容量が大きく放電に時間が掛かるので、電源を落としても感電しますから直ぐ触らないで下さい。 ではどう使うか見てみましょう。コンデンサーは電気につながれると電気を貯め、電圧が下がったりしますと貯めていた電気を放出します。財布みたいなものですな。(誰です!いつも空っぽだという人は!わたしです(-_-;))これを使ったのが「平滑回路」です。次に直流を通さない(広く言うと「フィルター効果」)性質です。これで直流回路と交流回路を別ける事が出来ます。(アキバの何方かが古いトランジスタアンプの直流?モレでスピーカーを壊した様ですが、シリーズにコンデンサーを入れておけば良かったですね)またコンデンサーを使った回路の構成や容量値によって通過する交流(音声信号など)の周波数帯を設定し選ぶフィルター機能もあります。スピーカーで2,3wayのとき低音、中音、高音などと分ける回路で有名ですね。 |
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抵抗器(レジスター):電気を通すまいとする機能を持った部品。(写真)単位はオーム(Ω):よく使うレベル KΩ(キロオーム)=1000Ω回路図では「R」で表します。 抵抗器は交直選びません。電気回路を有効に働かす電圧配分を作り出すのに使われます。よく知られている電圧V、電流Iと抵抗の関係は V=IR です。又負荷として電気を熱に変えます。熱になる電力はW=IV=I×IRです。(アイ二乗アール)したがって抵抗は熱くなりますので、焼けないように熱容量を必ずチェックしましょう。キットでは適合する熱容量で選ばれていますので、間違いないように取り付ければ心配は入りません。同じタイプ、抵抗値なら大きい方が当然熱容量が大きいです。1ワット型、1/2ワット形などと言っています。電気的には熱容量では大は小を兼ねます。 身近な抵抗の一つに「ボリューム」と言っているつまみで操作する抵抗が有ります。今100Vにつながれた長さ100cmの「均一」な抵抗器柱があるとしましょう。下から10cmのところを計ると10ボルトです。70cmでは70Vです。このようにすると何処を撫でるかで取り出す回路の電圧が変えられます。このイメージのものを丸く小型に作ったのがつまみのある可変抵抗器「VR」です。(回路図内でRのギザギザマークに矢印:摺動子がついたもの)上記の「均一な抵抗」では回転角と抵抗が比例しますが、抵抗の「濃さ、グラデーション」を変えてやればいろいろなカーブで造れます。A,B,Cカーブとか呼んだと思います。 |
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接続部品:回路をつなぐための部品でよく知っているものばかりですね。 では具体的に下の回路を見ながらその構成、役割を理解しましょう。 電源部:商用電源AC100Vから電源トランスSPT150を介して、高圧交流290Vを得て、整流管5U4Gで全波整流して脈流ながら直流(DC)とします。電解コンデンサー47μFとチョークコイルSCH515で作ったパイ(π)形フィルターで平滑して脈流(リップル)の少ない良質な直流を得ています。各真空管のフィラメントの交流点火用に低い電圧も作っています。 注)このキットは奢ってあってこの47μFブロック形電解コンデンサーは音質が良いといわれるフィルムコンデンサーに替えてありました。 信号増幅部(段、ステージ):双三極管(1本に三極管が2つ入っている)6SN7で入力信号を増幅し次の出力段の制御回路グリッドに送り込んでいます。 出力部(電力増幅部):最後に三極出力管2A3で増幅し、スピーカーと電気的にマッチングさせる出力トランスSOT525から送り出します。 ステレオアンプですから、電源部を共通にし、信号増幅部+出力部(電力増幅部)を2組持っています。注:回路図は片チャンネルのみ表記 |
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以上で「真空管式パワーアンプ」なる物を大変大雑把とは言いながら、すっきりイメージ出来たと思います。 再生しようと電源を入れ「ほれ、音声信号を送るぞ!」と言われたアンプさんは 「それじゃあ働こうか!先ず飯を作るぞ!」と電源さん、増幅さんは「小さいからもっとでかい信号にしようぜ」すると出力君は「オーよしよし。これなら力を出してスピーカー君を揺らせるぞ!ソーレ、ジャジャジャ、ジャーンと、どうだ良い音だろう!」とやって呉れてるんだろうな〜。 つづく |
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おまけ◆「タンス:tance」のお話 特に交流電気作用には色々なタンスが有り、実数や虚数なんて使って頭の中がゴチャゴチャになって、終いには狂って「ダンス:dance」を踊りだしそう。 静電容量:キャパシタンス(capacitance)↓ 交流抵抗:リアクタンス(reactannce)↓ 誘導係数:インダクタンス(inductance) ↑ 交流回路抵抗:インピーダンス(impedance) 抵抗:レジスタンス(resistance) ↑ ほかにアドミタンス、コンダクタンス、サセプタンスなど。まあ忘れてもいいですよ。 ◆「ドライアップ」 電解コンデンサーは化学作用を利用していますので,含浸された電解液が電極間にあります。ずっと使用しないと,その働きが無くなってきます。それを「ドライアップ」と言います。1年くらい通電しないと起こり得る様ですので,大切な保存機器は適宜通電してください。さもないと機器が危機を迎えます。 |
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