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私のお宝 「真空管アンプ製作講座」 2005年10月14日 音迷人 完結章:ドキドキ〜ジーンジーンorガタガタ? 前回までにキットの組立および配線確認が終わりましたので、いよいよ完成に向かって最後の工程、測定、調整、試聴をいたしましょう。祈る気持ちですね。 |
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測定・調整とは大袈裟ですね。キットの良さは僅かなチェックでも開発を含め実績があるので、高いグレードの音質が得られることです。以前「アンプとは」の項で<スイッチを入れるとパイロットが点いたり、真空管ではヒーターがほんのり赤くなり「命」が宿ったように見えます>と書きました。いよいよその時が来るのです。 さあ、組立説明書に準じ、以下に補足しながら進めましょう。 ◆準備するもの:テスター(真空管の動作電圧が設計値の範囲にあるか確認します)、入力機器とピンコード一式、左右スピーカーとケーブル一組 ◆測定態勢:ここで注意ですが、真空管が大きくトランスより背が高いので組立時のように裏返して置けません。そこで端子の無い側面で立てましょう。トランスが重いのでまあ安定しています。シャーシー内部を自分に向けてテスター触針を当てられるように。 ◆真空管5本を所定のところに合わせて差し込みます。(真空管の勉強をした項の合わせ方を参照)硬いのでシャーシーを支え注意してやりましょう。当然ガラスを持たずに根元の樹脂部を持ちましょう。また入力ボリュームはミニマムにしておいてください。 ◆AC電源コードをつなぎ、ACソケットの裏で100Vを確認、測定します。テスターはAC/Vの100V以上で近いレンジにします。 ◆電源をすぐ切れる体勢(逃げ腰?**)で電源を入れ暫く異音がしないか、異臭がしないか、ヒーターが徐々に赤くなってくるかを見守ります。ドキドキです。何事も無ければ測定に入りましょう。(**過去ここまで書いた入門書は有ったかな?) ◆回路図で指示された点夫々の直流(DC)電圧を測定、記録します。左、右chのあるところは間違えないでください。設計値に対して極端に違いが無ければOKとありますが、どれ位まで許容されるのでしょうか?アンプの動作ポイントにより個性がありますので、私も線を引けませんが、困りましたね。強いて言えば±10%位でしょうか?曖昧ですな。だからアナログアンプなんて言わないでください。私のアンプは下表のようになりました。 |
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◆一度電源を落とし、感電しないようにブロックコンデンサー等の放電を待って(数秒)異常に熱い部品は無いか軽く指で触って調べてください。私のチェックでは室温28℃でPTが43度位で熱いです。電気品の周囲温度は一般的に40℃までですからライズからしても問題ありません。(温度は感ですからご勘弁を。考え方を伝えたかったのです) ◆ハムバランサーの調整をしますので、入力にピンコードをつなぎ、左右とも一方端を仮にショートさせ入力ゼロにしてください。スピーカーを左右位相(極性)を合わせてつなぎこみます。 ◆再度電源を入れます。各々のスピーカーから出る、ムー、ブーンと言うハム音が最小になるよう、ハムバランサーを回して下さい。耳をつけてよく聴いてください。これから縁が深くなる癪なノイズですから覚えましょう。私の場合出荷のままのボリュウム位置、ほぼ中央が良かったです。聴取距離では全く聞こえないので、私のヒーター配線変更が吉と出たと思うことにしましょう。しかしスピーカーの能率や暗騒音などで、印象は変わりますから安心は出来ません。後で別の高能率SPにつないで試してみます。(原ルートでもハムは少ないかもしれません。試すのが良いとしてこれが科学的思考です。「ルートを変えたからハムが無くなった」と言ったら、それは「オカルト」型です。今のオーディオ界はこんなのが跋扈しています) ◆電源を切り、部品の間隔、配線の整理など最終仕上げをしましたら、裏蓋を取り付けて、正座させ「ご挨拶」をしましょう。これであなたの作品がデビューしました。おめでとうございます。ジーン! 後は聴き慣れたソフトで試聴して、歪など無いか聴き分けます。電圧など異常が無かったのですから、真空管は正常な動作領域で働きますから、過大入力以外ではまず歪は出ません。 半田付け不良では時間が経つと出てくるケースが多いです。チリチリとかジジジとかソフトの強弱に変調された様なにごりノイズが出ます。時間は数分で出るのも有るし、年の単位のも有りますよ。(これ皆恥ずかしながら音迷人の実体験です。)ノイズが出だして積極的に探すときは絶縁棒などで部品を軽くたたくと解ります。そこの半田をやり直しましょう。このときはSLの整備員の気持ちですね。 |
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さて試聴の段ですが、とんでもない事に気が付きました。それはワンアンプで性能の良い再生が出来るスピーカーを私は持っていないという事です。アンプ造りに夢中で気付かず準備していませんでした。もちろん上記のように負荷を掛けるためのスピーカーはあります。 止む無く音出しはごそごそ引き出してきた12cm自作ハニカム平面・フルレンジスピーカーで行いました。ハムは30cmぐらい近づくと聞こえますが普通の位置では聞こえません。周波数特性など繊細な評価に耐えうるSPではないのですが、やわらかそうな低音と中高音の美しいアンプに聴こえます。それに割とゲインの高いアンプですので、音量的にも問題ありません。(CD再生で10時〜11時位のボリューム位置)クロストークも皆無です。ハムの調整だけは心配でしたので、念のため私のマルチアンプ式メインシステムの低音部38cm97dBのウーファーにつないで確認しました。満足できる静けさでした。ついでにレベルバランスを取って低音用として試聴しました。初めゴロゴロした感じの低音でしたので、インシュレーターをかますと意外と利きほぐれました。大太鼓などドシーンと鳴らしましたが3.5Wですのにパワー不足を感じません。少し緩めながら意外とまとまったよう聞こえました。 総合的な評価を行うべく、ハイファイ堂秋葉原店に持ち込み、評判の各種SPで再生し、第三者の評価をまとめて頂こうと考えております。ハイファイ堂から報告等があるかと思いますので、お楽しみに!(^^♪ いつものおまけ 1.アンプでよく聞く話。NFB:ネガティヴ・フィード・バック:負帰還と無帰還 スピーカーを駆動する系においては入力信号と出力信号とを一致させたいと言う願望があります。いろいろな動作系で言うサーボコントロールの概念です。入力に有るものは有り、入力に無いものは無い様にと入口出口の信号を相対比較して修正する為にOPT2次側から初段カソードへ情報を戻します。こうすると周波数特性が広がり、歪率も改善され、ダンピングファクターが良くなるのです。下図のウィリアムソン・アンプはこのタイプの代表だったと思います。一方NFBを掛けると特性は改善されても、音質に抑制感がという方も居るのです。それはスピーカーのマイクロフォン作用の信号を初段に還してしまい悪さをしているというのです。つまり外乱信号を作ってしまっているということでしょう。それで無帰還アンプが注目されて久しいのです。その代表が昔からあるオルソン・アンプです。このキットもオルソン・アンプ系無帰還アンプだと思います。無帰還アンプは定格出力を超えても急激に歪まないといわれます。このアンプもかなりガンガン鳴らしても私のウイリアムソンアンプで記憶している歪感が出ませんでした。また無帰還アンプはオーバーオールにフィードバックで特性改善が出来ませんから、素性を良くせねばなりません。このキットも電源にフィルムコンデンサーを採用したり、OPTを特注したりしているようです。高域は3万Hz−3dBとだら下がりのようですが、全く問題ないと思います。最近リバイバルでスーパーツイターが持て囃されているようですが、クロスオーバー2万Hzなどと聞きますがどんなものでしょう。それより聞こえる範囲の高音をしっかり出すほうが重要と思います。 2.メーカー発表のごく簡単な特性などです。 使用真空管: 6SN7GT x2,2A3 x2,5U4G x1 出 力: 3.5W + 3.5W 入力感度: 150mV 入力インピーダンス:100kΩ 出力端子: 8Ω,16Ω ※1 周波数特性: 15Hz〜30kHz/−3dB ノイズレベル: 2.5mV以下 外形寸法: W360xH190xD270mm (突起部含む) 重 量: 16kg 備 考: 出力管の2A3はSOVTEK(ロシア製) |
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大役を引き受けて本当にたどたどしくここまで来ました。読み物としてはダサい文章で私より読者の皆様の方がお疲れになったと思います。お付き合い戴き心から感謝申し上げます。本当に久しぶりの製作でしたし、皆様に見て頂く張りも合ってしっかり造ったほうです。また気分も若返りました。 しかしもう今後造らないと思いますので、最後にデビュー写真を載せさせてください。そう音迷人バージョンです。 有難うございました。 「アンプ道」にWelcome! |
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