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オーディオとJAZZに魅せられてPart3 第11話
京都・オーディオショップの移り変わり
2007年11月16日 近藤賢二
85年頃、京都寺町電気商店街はどこも華やぎ、オーディオにも力を注いでいた。だからと言ってその頃、京都はまだまだ大阪日本橋電気店街に比べると、マニアを引き付けるようなオーディオショップの数はそれほど多くは無かった。京都寺町電気商店街でのマニアにとって魅力的なオーディオショップは数少なく「ヒエン堂」「タニヤマムセン」「中川ムセン」の3店舗ぐらいがオーディオマニアに愛されるリスニングルームを設けていた。といっても本格的なリスニングルームは「ヒエン堂」「タニヤマムセン」で、担当者にも熱が入っていた。
時代はレコードからデジタル化へ、CDがオーディオの革命児として騒がれ、それに拍車をかけるように時代を突き抜けていったのである。時代もよくオーディオは絶頂期を迎えていた。ヒエン堂に至っては三店舗ある内一店舗の1階2階をオーディオ専門フロアーにあて、内外一流メーカー製高級オーディオ機器を展示していて勿論試聴もできた。また試聴室も広く、ゆったりした気分で好きな音楽を聴かせてくれていた。あの頃は好きなオーディオと音楽に浸ることができ、何故か時間もゆっくりと流れていたように思える。「タニヤマムセン」もそれに負けじと、四店舗ある内一店舗では、完全防音試聴室を設け高級オーディオ機器を取り揃え対抗していた。一方「中川ムセン」では客層も異なり、大衆的なミニコンポ等を多く店頭に並べ聴かせていた。
(タニヤマムセン4Fにあるオーディオ試聴コーナー 4年ほど前から中央に唯一大きいJBL4348がデーンと居座っていたが、売却されてしまったのか現在ありません。)
バブルが弾け、しばらくすると寺町電気商店街でも店舗の縮小が目立ち始め、閉店するところも出てきた。まさに寺町電気商店街は戦国時代の様相を呈してくるのである。体力が温存されたところだけが生き残っていく状況だった。そして京都寺町電気商店街でも唯一の老舗でもあり、高級オーディオにも力を注いでいた「ヒエン堂」が平成10年遂に多額の負債を抱え閉店に追い込まれた。一方タニヤマムセンもそれ以来、回転率の低い高級オーディオ機器の売り場は縮小され、その唯一広い試聴室もなくなり、聴くときは一般の開放されたフロアーでの試聴で現在に至っている。だからあまり大きな音量で聴くのは気が引けるようだ。遠慮しがちで本格的に好きな音楽を試聴できなくなっている。これが京都でのオーディオショップの現状である。
現在、京都で本格的なオーディオを扱うショップは「タニヤマムセン」「ジョウシン京都いちばん館」のみとなった。
(写真はジョウシン京都いちばん館)
ジョウシン京都いちばん館(西大路四条)が14年前に開店したときには、地下1階に大阪日本橋にあるオーディオ専門店「河口無線」がハイエンドオーディオ部門を担当していた。かなり広い試聴室もあり、魅力ある内外ハイエンドオーディオ機器、アクセサリー類も多く展示、販売していた。我らオーディオマニアには随分魅力的でもあった。専門担当者が相談にも親切に対応してくれていたので、よく足を運んだものだ。各オーディオメーカーの新製品での試聴会も定期的によく開催されていたので、参加させてもらっていた。
(ジョウシン京都いちばん館BFにあるオーディオ売場 奥は一応試聴室と名乗ってはいるが何分狭い)
しかし不景気のあおりを受け4年前高級オーディオフロアーは縮小され、ミニコンポ、CDラジカセ、ipod等よく売れる電気製品の売り場面積が拡充されていった。
我らオーディオマニアに魅力ある高級オーディオ機器の展示も激減した。アクセサリー売場を少し残しているのがせめてもの慰めか。現在オーディオ試聴室は一応あることはあるのだが、残念だがこれは狭くて到底まともに試聴できる状況ではない。
ちょうどこの原稿を書いているとき、ビックカメラJR京都駅店のオーディオ担当者から返信メールが送られてきた。「高級オーディオ機器充実の希望」として要望メールを出していたのだ。次のような嬉しい返事だった。
『この度は貴重なお言葉を頂きまして誠に有難う御座います。私はビックカメラJR京都駅店、オーディオ担当の○○と申します。近藤様からご提案頂きました本格的なオーディオマニアにも受け入れられる様な品揃えにするのは勿論ですが、エントリーモデルからハイエンドモデルまで揃え、様々なお客様にご提案できる様なコーナー作りが出来るよう行動して参ります。』
このメールを見た瞬間、京都においてオーディオショップの未来に、明るい一筋の光が見えてきたようにも感じた。
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