”ハイグレード防音室を体感”レコードコンサート 「あの頃のレコードを憧れのビンテージオーナーで」(後編) 開催日時 2015年1/10(土)〜1/12(祝)各日午後13:00〜/15:00〜の2回開催 会場 東京都新宿住宅展示場内ダイワハウスモデルハウス防音室 前編はこちら:http://www.hifido.co.jp/merumaga/special/150116/index.html |
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12日は成人の日だった。多少は天気が崩れるという予報もあったが、昨日に続いて一日中澄み切った青空となった。昨年は日本各地で荒天となり、雪嵐の中を歩く晴れ着姿が気の毒だった。道中、振り袖の女性とすれ違う度に天気が良くてよかったなあと、関係者でもないのに胸をなで下ろす。展示場内のにぎわいもまずまず。 |
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12日を担当する二人は、どちらもレコードコンサート初体験。 午後13時からの担当はハイファイ堂レコード店の皿屋塁生。すらりとした長身の若手だが、始まる前から極度の緊張で血の気が引いている。 |
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現在27歳という皿屋だが、彼が選んだテーマはなんと戦後以降の昭和歌謡の歌姫たち。1曲目は笠置シズ子の「東京ブギウギ」である。その後、美空ひばり「リンゴ追分」、伊東ゆかり「ヴァケイション」などと続き、満を持して取り出したのはちあきなおみの「喝采」。年齢に見合わぬ渋い選曲に場内に小さなどよめきが起こる。 「喝采」の発売は1972年で皿屋が生まれるまでまだ十数年も要する。皿屋は大学生の時にこれを聴いて衝撃を受けた。古くささは感じず、まったく新しい音楽として捉えたという。それ以来もっぱら昭和歌謡を愛好する。 そして「喝采」の発売からわずか1年後に発売されたのが、荒井由美の「ひこうき雲」。今でこそ音楽界の重鎮として確固たる地位を持つユーミンだが、デビュー当時は異端児扱いだった。そんなエピソードも「喝采」までの音楽と並べて聴いてみると合点がいく。 その後、宇多田ヒカルの「automatic」までニューミュージックの系譜をたどり幕となった。レコード盤の「automatic」を聴くのは初めてだったが、これは貴重な体験だった。本当に音が、音楽がすばらしい。 アラフィフの私の年代からすると、皿屋のプログラムは紅白歌合戦の紅組オンパレードといえる。五輪真弓など当時は物まねと相まって流行っていたが、改めて聴いてみるとソウルフルなハスキーボイスに鳥肌が立つ。あとで皿屋にSuperflyに似てないかと聞いてみたが、逆にSuperflyをよく聴いたことがないのでわからないとか…高度経済成長期の大衆音楽として消費された楽曲に新しい価値を見いだす。世の中にはこんなユニークな青年もいるのだ。 |
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レコードに針を落とす時の束の間の静寂。 コンサート担当者には緊張の一瞬。 |
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午後15時の担当は秋葉原店の本多真紀。こちらは恰幅よくまさに働き盛り。頭をそり上げているのでちょっとコワい印象を受けてしまうが、話し出すと明るく気さくな人柄である。大きな声でお客様とやり取りしながらじゃんじゃんレコードをかけていく。 |
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本多のテーマは現在のクールジャパンの先駆けとなったYMO。坂本龍一の「千のナイフ」、「ファイヤークラッカー」原曲とYMOのアレンジとの聴き比べ、なつかしいインベーダーゲームのピコピコ音やスネークマンショーのコント付きアルバム。電子音楽を使って様々な試みがなされているが、単なる試作品に留まらず洗練された芸術に昇華されているのがすごい。昨日'80年代前後の洋楽をまとめて聴いたが、この同時期に、YMOとそこから派生した日本の新しい音楽がいかに世界の最先端を走っていたかがよくわかり、驚愕する。しかも今回はこれらすべてをレコードで聴いている。 本多はここから意外なアルバムを次々に繰り出す。アニメ「ルパン三世」のエンディングテーマ、松田聖子「天国のキッス」。なぜ唐突に?といぶかる聴衆に隠れたつながりを解説する。ファンにとってはよく知られたうんちくもあるようで、思わず身を乗り出して本多の解説を先取りするお客様も。最後にはエリック・クラプトン。なぜエンディングにエリック・クラプトンがきたのか?本多の解説も詳しく書きたいがネタばれになってしまうので、ここはやめておこう。ぜひコンサートで実際に音楽を聴きながらスタッフの解説も楽しんでもらいたい。選曲の面白さは言うまでもないが、ともかく演奏そのものも鳥肌がたつほどでオーディオの本領発揮であった。 |
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コンサート後にはお客様のリクエストで松田聖子「ユートピア」からアルバムタイトル曲をかけた。 |
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二日間にわたって、ビンテージ・オーディオでレコードを堪能した。 今回レコードコンサート用にセッティングしたJBLC40 Harknessはレトロな家具調でインテリアとしても優れている。パワフルで楽曲によってその良さを十二分に引き出す。ロックをかけているときはデモンストレーション・ライブのために置かれたドラムセットが共振しまっくていた。得意分野は'50年代ジャズとのことだったが、確かにアコースティックな音源への反応がよく、特に今回かけたレコードの中でもっとも真価が発揮されたのは美空ひばりだった。 普段は自宅の小さなスピーカーで愛聴盤を聴いているという皿屋も「やはりいいオーディオで聴くとひときわ感動する」といっていたが、まったく同感だ。 |
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モデルハウスにはYAMAHA/NS-1000Mを中心とするセットを常設している。アンプはコンパクトでかわいいデザインのQUADでそろえた。 レコードコンサートの幕間に社長がこちらのセットのレコードにぽんと針を落とすと、すべるようにSONY ROLLINSが流れ出す。貴婦人が鮮やかな手さばきで暴れ馬を乗りこなすようなイメージがある。 |
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左の画像は防音室の内側から、右の画像は外側から撮った。 ペアガラスの二重扉なので映り込みが激しい。 |
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防音室は内から外へ、また外から内への音も遮断する。 以前、新幹線線路のトンネルのすぐそばにある宅地を見学したことがある。新幹線の騒音対策技術もかなり進歩したと聞くが、それでも新幹線車両がフルスピードでトンネルに飛び込む時の衝撃音は凄まじく、外ではまったく話が聞き取れず閉口した。 やむを得ず、騒音の激しいところに住む場合の自衛策としても防音室の設置はかなり有効だろう。 生活環境の様々な騒音から解放された静かな空間が確保される。 快適な防音空間のおかげで、これらのビンテージオーディオにとっても理想的な環境が得られた。ぜひ、ダイワハウスのモデルハウスの防音室にてオーディオの試聴も体験していただきたい。 最後にダイワハウスの方にこのモデルハウスの防音室のお値段を思い切ってたずねてみた。意外にも実現不可能な額ではない。新築の設計段階から組み込むのでかなりお得になるそうだ。実際のお値段もぜひご自分で確かめてみてほしい。 |
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ところで、新宿ピットインより新譜が届いていたが、諸事情により現在自宅には数千円のCDラジカセしかなく、オーディオ環境が劣悪である。何度か試聴してみたが、どうもちゃぶ台をひっくり返すような音しかでてこない。 スタッフにお願いしてCDプレーヤーを用意してもらい、レコードコンサートの合間にかけた。ようやくきちんと聴くことができた。JBLC40 Harknessが彼らの「熱情」をどんと引き受けてくれた。 2014年1月2日、「森山・板橋クインテット」新宿ピットインにて新年幕開けのライブを収録したものである。日本のフリージャズをパワフルに牽引する男たちが無限のエネルギーを生み出し爆発する。聴いても聴いても音の洪水である。 |
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森山・板橋クインテット 「STRAIGHTEDGE」 森山威男(ds)、板橋文夫(pf)、川嶋哲郎(ts)、類家心平(tp)、加藤真一(b) 2014/1/2新宿ピットインにてライブ録音 ピットインレーベル PILJ-0007 2014/11/26発売 曲名 1)アリゲーターダンス 2)がんばんべぇー!東北 No.2 3)渡良瀬 4)サンライズ 5)グッドバイ CDの詳細はこちらをご覧下さい。 http://www.pit-inn.com/music/jp/whatsnew/-live-at-pit-inn-20141126.php |
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文と写真:ハイファイ堂メルマガ編集担当:横井昌美 ”ハイグレード防音室を体感”レコードコンサート 2015年1/11(日)と1/12(祝)を取材 |