ハイファイ堂メールマガジン

こんにちは！レコード店の矢田です。 9月も半ばだというのに、蒸し暑い日が続いています。早く秋らしい涼しげな気候に変わってほしいものです。今回のメルマガは以前から気になっておりました、国産ケーブルをとりあげます。

一言で国産ケーブルと言っても多種多様なものがあります。今回取り上げるのは、よく見るPCOCCや、OFCといったケーブルについてです。私個人が、この辺りのケーブルについて国産の安価なケーブルと一括りにしてしまっている現状ですので、メーカーや材質による音の違いを検証してみます。今回はラインケーブル・日立　SAX-102 ・Audio-Technica AT6116 ・フルカワ電工　6N-LC の以上3点で比較してみます。

日立のSAX-102はLC-OFC導体という国産線にはポピュラーな線材を使用しています。無酸素銅の結晶を直線的に配列させ、歪みの抑制させるというものですが、その効果はどれほどのものでしょうか。試聴では、クリアーさとまとまりの良さを感じました。中域をしっかりと聴かせる印象です。低域、高域はあまり主張しないのでまとまって聞こえるのかもしれません。また角が無く全体に丸くまったりとした音です。どんな機器、音源でもクセが無いので使いやすそうです。今までの自分の抱いていた国産ケーブルのイメージに最も近いケーブルです。

続いてAudio-Technica AT6116ですが、こちらはPCOCC導体。テクニカのケーブルに多く採用されています。無酸素銅の結晶の境界を排除し、一つの単結晶として構造で、通常のOFCに比べ、より伝送効率が高くなっています。実際の所どうでしょう？聴いての第一印象はやや高域に重心がおかれているような印象です。ホーンの音等キレが良く、爽快です。また全体にやや角ばった硬質な音です。ややクセのあるケーブルと言えるかもしれません。これまでテクニカのケーブルに抱いていたイメージとは少し違い、意外でした。

次は、古河の6N-LCです。こちらも良く目にする6N(99.99998%)の高純度銅を直線形に結晶化させたものです。6N導体の純度は他の銅と如何に違うのか大変興味深いです。他のケーブルに比べ、若干ですが、透明度と分解がよくなり、レンジも広い印象です。高域と低域の音の分離もはっきりし、キレもいいです。あくまで重心は真ん中にあるので、クセも無く扱いやすさもあり好印象です。完成度の高いケーブルだと思います。以上3点の国産ケーブルを比較してみますと、LC-OFCが安価な国産ケーブルで多く用いられてきたため、国産線のイメージである、ある程度クリアーで、まとまりあるクセの無い音で、分解や押し出し、個性のないつまらない音という印象となっていたように思います。今回のように実際に細かく異なるケーブルを試聴して見ると、各社がコストを抑えつつ、少しでも音を改善しようと努力していることが伺えました。ケーブルは聴いてみて初めてよさが分かるということも改めて実感いたしました。今後も機会あれば、様々なケーブルを聴いて自分なりに検証していきたいです。

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