ハイファイ堂メールマガジン

こんにちは！レコード店の矢田です。秋も深まり、紅葉のシーズン到来です。休日は紅葉狩りにという方も多くいらっしゃるかと思います。私も今年は、近場の香嵐渓を手始めに、何か所か回ってみたいと思っています。前回までのEL34に代わり今回からは銘出力管6L6について取り上げます。

6L6はそれまでの3極管それまでの３極管全盛の時代から５極・ビームパワー管時代の到来を牽引した存在としての役割、またその完成度と汎用性の高さから現在まで第一線活躍している寿命の非常に長い球でもあります。 1938年にRCAから漆黒のメタル管というかたちで世に出されました。当時３極出力管ではなかなか出せなかった高出力をいとも簡単に取り出せ、しかも安価というまさに革命的な製品として位置づけられています。その呉ST管としての6L6G(いわゆるG管)に代わり、その円筒と四角柱を組み合わせたようなプレート形状は後の6L6系の基本形状となっていきます。戦後に入り小型化が進み6L6GAや6L6GAY、さらにより小型で効率の良いGTタイプの6L6GBそして最終系である6L6GCへと変遷してきました。 6L6はアメリカ初の規格としては珍しく、英国ではSTタイプの6L6GをCV1947としてSTCが生産した点でもその基本性能の高さが伺えます。そうした6L6シリーズにおいて特に最終完成形でもある6L6GCはまさに戦後、アンプ用出力管としてオーディオの一大ブームを牽引してきた銘出力管であるということは今更いうまでもないことです。
※RCAの初期型6L6GC（ブラックプレート） 6L6のなかで最も完成度が高く、希少なため高値で取引されています。
6L6GCの特徴は、同時期に世に出た、EL34やKT88と比較し、出力や、効率面では劣る存在です。しかしとても繊細でしなやかな音の傾向をもつ点ではその2者とは大きく違う点があります。この傾向は初期のメタル管6L6でもGT管タイプの6L6G、スペシャル管である5881においても変わらない点が不思議です。この６L６族のこのマイルドで優しい音質傾向は真空管アンプの音としての理想にも近いためか、現在でもオーディオ用真空管として採用されている理由ではないでしょうか。
6L6GCをプッシュプルで使用するMcIntoshのMC240。マッキンらしい力強さに6L6GCの繊細さ加わりバランス感覚が素晴らしいアンプです。
今回は6L6の大まかな変遷と特徴についてみてみました。次回この銘球6L6GCの各メーカー、モデルについて詳しく取り上げたいと思います。それではまたのご機会に！

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