ハイファイ堂メールマガジン

こんにちは。レコード店の矢田です。今年も残すところわずかとなりました。年末のこの時期になると、毎年、整理やら大掃除やらをやらないとと思うのですが、実行できぬまま年越しをむかえてしまいがちでした。今年は、年末の休みを利用し、少しずつですが片付けをしています。不要なものがこんなにたくさんあったのかという驚きと、それらがなくなりすっきりした自分の家を眺めて、すがすがすがしい気持ちになり、億劫であった年末の整理事が少し楽しみになってきている自分がいます。さて今回は、今年最後ではありますが、前回の続きとして真空管6SN7についてです。

今回は6SN7の中でも、とりわけ高信頼球と言われている5692について見ていこうと思います。そもそも5692は6SN7と違い、構造上のバリエーションというものがなく、概ね赤いベースと2枚の黒いプレートが特徴です。同じRCA製であっても6SN7は時代や用途によって様々な構造の違いがあり、音の傾向もまちまちです。その点からも5692は構造上の普遍性から高い信頼を得ているのだとも思います。ずっしりとしたプレートに、厚めのガラス、コンパクトでありながらずっしりとした重みを感じる事からもその構造上の信頼性が感じられます。

6SN7と5692ですが、実際に、それほどの音質的な差異があるのかが気になるところです。以前に、6SN7としては、比較的音質に定評のあるRCA製茶ベースのスモーク球と比べてみたところ、音の厚みや歪みなど、雰囲気があったのは意外にも6SN7の方で、5692はどちらかといえば高解像でありながら、無駄のない無機質でクールな印象を受けました。そもそも6SN7の用途に視点をうつすと、初段管として使われる事が多く、出力管を支えるという意味合いでは、その無駄な色味のなく、高い解像度を誇る5692はすばらしい能力を発揮するのではないかと思いました。実際にも300Bや2A3等、高級アンプに使われている事が多いのもそうした5692の無駄のない、名脇役としての役割が強いからだと思います。
5692というとRCA製赤ベースのイメージが強いですが、CBSやRAYTHEON等商社モノもあります。多くのものはRCAのOEMですが、まれに右写真のような茶ベースなど構造の異なるものもあります。
今回は5692について触れてみました。5692はGT管の中では高価な部類に入り、その値段とその音質の効果について疑問視されることも多いようですが、そもそもの用途を考えた時、必要にして十分な能力を発揮する、信頼性という意味での価値としては妥当な評価なのではないかと思いました。みなさんはどのように思いますでしょうか。またご意見いただけましたら幸いです。次回は年明けとなるでしょうか・・・それではみなさんよいお年を！

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