ハイファイ堂メールマガジン

レコード店小川です。ジメジメとした日が続きますね。レコード好きな方にとっては湿気によるカビとの戦いもあることと思いますが、皆様体調などいかがでしょうか。さてここ1、2ヶ月のことではありますが、レコード店、ジャンク店ではオープンリールテープにも力を入れています。興味のある方は店頭やWEBをぜひチェックしていただきたいです。また私はそこで商品化に携わっているのですが、色々な種類のリールやテープは勿論、手書きのメモが挟まっていたり、自作のアートワークが施してあったりと、とても楽しみながら仕事をさせていただいています。そこで今回は「テープ」に的を絞って書きたいと思います。
そもそもオープンリールテープもカセットテープも録音の仕組み（テープの仕組み）は同じ磁気録音です。磁気録音とはテープに小さな磁性体を塗布しておきパターンを書き込むことで録音し、そのパターンを読み取ることで再生します。その為、磁性体の密度が高ければ高い程再現度が高く、いい音となります。オープンリールの2トラ38（2トラック38センチ/秒）が音がいいとされているのも、一般的な家庭用オープンリールテープが9.5センチ/秒、音楽などを録音するもので19センチ/秒なので、テープスピードが速く1秒再生するのにヘッドの部分を通過する磁性体が多いからです。しかしテープスピードが速いと音が良くなる反面、単純に録音に使用するテープが長くなり録音できる時間が短くなるといった欠点があります。その為同じリールでもたくさんのテープが巻けるように、テープの厚さを通常50μの物を35μ（ロング）、25μ（ダブル）、18μ（トリプル）にするなどしてリールに巻けるテープの長さを長くしました。また録音された音声や、曲の変わり目などが一目で分かる様に目印代わりに使う真っ白のテープがあったり、タイトルなどが直接書き込める様にテープが白い物まであります。下の写真はFUJI FILMのS-100のホワイトです。こうしてみると、なんともアナログチックな工夫が行われていますね。

また、カセットテープではノーマルポジション、ハイポジション、フェリクロームポジション、メタルポジションといった種類があります。・ノーマルでは、酸化鉄を主に用いているので赤褐色のまさに錆びた鉄のような色をしていますが、改良が加えられ、コバルトを加えるなどしたため焦げ茶色になっているものがあります。
・ハイポジションでは、二酸化クロムを使用しテープの色は真っ黒になっています。しかしさらなる音質向上と公害問題によってコバルトを使用するようになりました。これにより広音域に強くヒスノイズの軽減にも成功しています。
・フェリクロームポジションは、酸化鉄とクロムを2層塗布する事によって性能の向上を図ったものです。写真はSONYのカセットのDUADとオープンリールテープのDUADです。 73年に初の磁性体2層塗りのテープとして人気を集めました。発売当初は専用のポジションのデッキが少なく、ノーマルで使われていることが多かったそうです。ちなみに名前の由来はデュアルコーティングからだそうです。 Ferri-chromeと書かれていたら二層塗りです。

・メタルテープでは、磁性体に純鉄を使用し、低音域から高音域までカバーしている高級タイプです。使用できるデッキは限られてしまいますが、カセット好き憧れのテープです。下の写真左は特に人気のSONYのmetal masterで、新開発した磁性体の「ニューエキストラアロイ」が高密度で塗布されています。写真右はそのmetal masterの品質をさらに上げた最高級品でsuper metal masterです。もうデザインからして洗練されていますね。メタルテープの頂点に君臨していると言えると思います。高価なため使用をためらった人が多いのか、開封されたものをお売りいただくことがあまりありません。ちなみに先に紹介したmetal masterは86年には90分1830円で販売されていましたが、今手に入れるには・・・

また上で出てきたヒスノイズとはテープ特有の「サー」っという音のことですが、このことについては次の機会に書かせていただきたいと思います。
最後に、ハイファイ堂レコード店で扱うオープンリールはミュージックテープの場合は再生しチェックしていますが、ジャンク品に関しましてはオープンリールに巻かれているテープは未チェックになりますので、劣化が酷くすぐに切れてしまう物や巻かれているリールとテープが違うものがございますので、あくまでジャンク品ということでご理解頂けたらと思います。

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