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こんにちは、こんばんは レコード店の片山です。 大好きなとあるバンドが、最近再評価されていることを音楽サイトやSNSで知り、是非とももっと知ってほしいと自分も思いました。今回は「バズコックス」というバンドのことを紹介したいと思います。 |
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70年代後半にムーヴメントとなったパンク・ミュージック。 当時イギリスではセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ザ・ダムドが台頭し3大UKパンクと称されていましたが、他にも素晴らしいパンク・バンドが存在しました。 ストラングラーズ、ザ・ジャム、ザ・ポリス、などパンクにとどまらずメインストリームまで駆け上がっていったバンドも多数いましたが、その中でこの「バズコックス」も同時期に活躍したバンドです。 このバズコックス、デビュー(シングルで)は76年とUKパンクではかなり早いタイミングでした。 |
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メンバー・チェンジを繰り返しながらずっとボーカルを務めいていたピート・シェリーが昨年末他界しました。現在再評価のきざしがあり、6月にはリマスター音源がリリースされ、当時のプロモーション・ビデオもリマスターされて公開されました。 70年代のパンク・ミュージックは一大ムーブメントとなりパンク・バンドがかなりたくさん出現したそうですが、多くのパンク・バンドの中でもなぜバズコックスが現在なお再評価される存在なのか、独自に考えてみました。 ※音楽紹介サイト「amass」からの記事を紹介します。 ・バズコックス『A Different Kind of Tension』『Singles Going Steady』新規リマスター盤リリース、「What Do I Get?」のMVと「Ever Fallen In Love〜」のTV演奏映像をアーカイブ公開。 http://amass.jp/121937/ ・バズコックス、サーストン・ムーアやキャプテン・センシブルらゲストを迎えたピート・シェリー・トリビュート公演実施、映像がネットに。 http://amass.jp/122282/ |
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バズコックスの魅力 |
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まずパンク・バンドの特徴として歌詞の内容です。 多くのパンク・バンドは反社会的な歌詞、不満、怒りなどを題材にした歌詞が主流だったようですが、バズコックスはラブ・ソングを積極的に歌っていました。 これは大きいように思います。 我々日本人には直には伝わりづらいですが、英語が理解できるリスナーだったら「なんでパンク・バンドなのにラブ・ソング歌ってんだよ!」と賛否両論だったはずですし、ゆえにそれが個性となって一歩抜きでていたのかもしれません。 そして重要なのがサウンドです。 パンク・サウンドの特徴は、歪んでいてうるさく狂暴なギター・サウンドと荒々しくラフなバンド・サウンドです。勢いまかせで疾走感のあるビート。決して上手さを前面に出すことなく、70年代中盤までに活躍していたバンドに反する形で、誰にでもできる演奏やコード進行をあえて特徴としていました。 つまり「演奏が上手くなくたって勢いと魂があればいいんだよ」 という姿勢を感じることができます。 このバズコックスもこのパンク・サウンドに収まった「うるさくラフで疾走感がある」サウンドなのですが、その形の中に収まりつつも「メロディアスなギターと複雑なリズムを叩くドラムのビート」が前面に出ており、そこが魅力のように感じます。 多くのパンク・バンドは荒さや難しくないギター・プレイが特徴なのに、このバズコックスのギター・サウンドはあえてギターでメロディを奏でます。また、疾走感のある8ビートでストレートなドラムがパンクの魅力なのですが、バズコックスのドラムは16ビート、さらに複雑で手数の多いスネア・ショット、そしてハイハットのオープン・ショットやライド・シンバルを積極的に使用するなど、テクニシャンなドラム・プレイなので他のパンク・バンドでは感じることのできない複雑なリズムを感じることができます。 そして最後にメロディ。 ここも重要です。多くのパンク・バンドのボーカルは叫んだり太かったりとハードなスタイルが主流の中、メイン・ボーカルのピート・シェリーの歌声はハードではなく甘くルーズに歌うスタイルで他のバンドとは異色のスタイルでした。 彼が作り歌う曲はどれもキャッチーで耳に残る曲ばかりで、哀愁感のあるメロウなメロディの楽曲が多いのも魅力でした。 90年代以降に登場したポップなパンク・ミュージック「ポップ・パンク」や「メロコア」と呼ばれるバンドの中にもバズコックスに影響を受けたと公言しているアーティストが多いことから、「元祖ポップ・パンク」「ポップ・パンクの先駆的バンド」という評価がされているのも納得できます。 バズコックスは70年代の全盛期に3枚のアルバムとシングル・ベストをリリース後、1981年に1度解散、1989に再結成しています。 そんな彼らの名盤たちを紹介して今回は終わりにしようと思います。 これを機会に少しでもバズコックスに興味を抱いていただき、聴いて感じていただけたら幸いです。 ご清覧ありがとうございました。 ※あくまでも上記は独自で調べて得た知識と感想などによる個人的な解釈です。 |
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◼︎Another Music in a Different Kitchen (1978年) 78年リリースのファースト・アルバム。最初ということもあり一番ストレートでラフなガレージ・サウンド。 とはいえ代表曲「I Don't Mind」が収録されており、既にこの曲で「すこぶるポップで泣きのメロディと、メロディアスな転調とギターサウンド」が確立されています。 勢いも疾走感も全アルバムの中で一番なのでパンクなバズコックスを求めるなら本作がおススメ。 |
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◼︎Love Bites (1978年) 同じく78年リリースという早いスパンでリリースされたセカンド。 パンキッシュでありながら「Nostalgia」「Sixteen Again」などパンクらしからぬメロディアスな曲が多く収録されています。 中でも「Ever Fallen In Love」 はイントロでバースト、メロディアスなギターフレーズと絡みあうリズミカルなドラム、哀愁が堪らないサビのメロディ......パーフェクトと称賛したい、個人的にも大好きな名曲です。 |
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◼︎A Different Kind of Tension (1979年) 79年リリースの3枚目。 未来的でニューウェーヴなアレンジも入ってきますがこれはこれでかっこいいアルバム。 泣きのミドル・ナンバー「You Say You Don't Love Me」や前出の「Ever Fallen In Love」タイプの疾走泣きメロ・ナンバー「I Don't Know What To Do With My Life」などメロディアスな曲に磨きがかかりアルバムトータルでの完成度も高いです。 メロディの素晴らしさやアレンジ力がアルバムごとにレベルアップしてますので元祖ポップパンクとして聴くには本作がベストかも。 |
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◼︎Singles Going Steady (1979年) そして79年にリリースされたシングル・ベスト。 とはいえ侮るなかれ。実はバズコックスはアルバム未収録のシングル曲が多くあります。パンキッシュな「Orgasm Addict」「Love You More」「What Do I Get?」や、メロディアスな「Promises」「Harmony In My Head」など、それまでのアルバム未収録シングルも名曲多数なので、本作もしっかり抑えなくてはいけません。 もちろんバズコックス入門にもおすすめです。 ※ちなみに日本のロックバンドGOING STEADYのバンド名の由来になっているそうです。 |







