60年代前半に活躍した男性歌手ハイファイ堂メールマガジン第815号ハイファイ堂レコード

60年代前半に活躍した男性歌手
ハイファイ堂メールマガジン第815号ハイファイ堂レコード

こんにちは、レコード店の松田です。今回は60年代前半に活躍した男性歌手について書きたいと思います。ロカビリー3人男や、坂本九、かまやつヒロシなどは以前のメルマガでご紹介しているので、よければ合わせてご覧下さい。日本のツイストブームハイファイ堂メールマガジン第687号 https://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/170331/index.html
【小坂一也】和製プレスリーの第1号と呼ばれる男。学生時代の部活の先輩にワゴン・マスターズの歌手、藤沢恵治がおり彼からの誘いでワゴン・マスターズに加入し米軍キャンプやジャズ喫茶への出演をしていました。 54年コロムビアからSP盤「ワゴン・マスター/モンタナの月」でデビュー。次々とヒルビリー・ミュージックの日本語カバーを発表していきました。 56年6月にエルビス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」をカバーしたことにより人気に火が付き「和製プレスリー」と呼ばれるようになりました。その後のプレスリーのヒット曲をほぼリアルタイムでカバーし人気を不動のものにしていきました。 10代女性からの人気はすさまじいもので、同年9月に行われたワンマンリサイタルには約3000人が集まり満員御礼、なんとその8割が10代の女性だったそう。
	彼の代表曲「ハートブレーク・ホテル」は日本のロカビリー時代の幕開けの1曲といっても過言ではありません。まだ完成形には至っていない、なんとも日本人らしい生真面目さが残ってしまっている演奏、日本語訳の歌詞も改めて聞くと少し可笑しいような気もしますが、当時の大勢の若者を熱狂させる魅力をもっていたんだなと思うと、相当な衝撃と新鮮さがあったのだと思います。ちょうど先日「ハートブレーク・ホテル」のSP盤を入荷しましたので、当時の衝撃をぜひSP盤で体感してください。 https://www.hifido.co.jp/19-20440-51514-60.html
【スリー・ファンキーズ】プレスリー1号に続き、こちらは日本のアイドル1号と呼ばれるスリー・ファンキーズ。 60年銀座のジャズ喫茶「テネシー」で行われたロック歌手募集に、メンバーそれぞれが所属していたバンドが合格。テネシーでのステージを見た日本テレビのプロデューサーがそれぞれのバンドから3人を引き抜きスリー・ファンキーズを結成しました。 61年にテレビに初出演すると、その身近な雰囲気がウケ、テレビ局に問い合わせが殺到。日劇ウエスタンカーニバルに出演するなど人気は定着して行き、62年には当時異例のアルバムでレコードデビューを果たしました。初代ジャニーズは、中高生の女性から「身近な男の子」として絶大な人気を集めていたスリー・ファンキーズをお手本に結成されたそう。
	【ダニー飯田とパラダイス・キング】 55年にハワイアンバンドとして「ダニー飯田とパラダイス・ハーモニー」を結成。翌年改名。 58年ころからロカビリーブームに乗り、ロックンロールやポップス中心に演奏するようになりました。日本で唯一ドゥー・ワップの影響を受けたグループでもあり、日本のロックコーラスの草分け的存在でもあります。メインボーカルには、ロカビリーアイドルとして人気を博した水原弘や、ソロ活動やテレビ番組の司会者としても活躍した石川進、国民的歌手の坂本九、女性シンガー九重祐三子などが参加しました。時代の流れを汲んだロックンロール曲や異国情緒溢れるトルコ民謡の日本語カバー、オリジナル曲まで幅広くこなし、老若男女に人気のグループになりました。
【尾藤イサオ】芸人夫婦の間に生まれるが、不遇にも10歳で両親共に亡くしてしまう。亡き父の師匠であった曲芸師の内弟子となり14歳の頃には曲芸一座の営業まわりを行っていました。そんな中、耳にしたプレスリーの「ハートブレイク・ホテル」に衝撃を受けた彼はロカビリーにのめり込むように。一座ではロカビリー曲芸を考案し、一躍人気者になったそう。その後芸能事務所に所属し、テレビ番組のレギュラーに抜擢されるなどの活躍をしていたが、レコードデビューには様々な障害があったらしく、ロカビリー歌手としては遅咲きの64年に「匕首マッキー」でデビュー。時代はマージー・ビート全盛期〜サーフ・インストブーム突入期だったため、アップテンポで8ビート、エレキをフューチャーしたバンドサウンドの曲が多め。バックバンドは後のGSブームで大人気となるブルー・コメッツが務めました。 70年には「あしたのジョー」主題歌で再ブレイク。 75歳になる現在も精力的にライブ活動を行っています。
	【内田裕也】ビル・ヘイリーやプレスリーに影響を受け高校時代からジャズ喫茶に出入りするように。その後ナベプロにスカウトされ日劇ウエスタンカーニバルなどに出演するようになりました。尾藤イサオと同じくロカビリーブーム終盤のデビューであったため、まわりのミュージシャン達はどんどんジャズに転向していく中、彼はかたくなにロカビリーばかり歌っていたそう。 63年頃からは寺内タケシとブルー・ジーンズと活動するようになり、内田の楽曲の大半をブルー・ジーンズが担当しました。 67年からは「フラワーズ」を結成、73年からは毎年欠かさずニューイヤーズワールドロックフェスティバルを主催するなど、死ぬまでロックンロールをつらぬいたレジェンドです。
尾藤イサオ＆ブルー・コメッツ、内田裕也＆ブルー・ジーンズによるアルバム「ロック・サーフィン・ホット・ロッド」はロカビリーからロックに変わっていく時代のちょうど間の1枚。いままでのロカビリーでは見られなかった、エレキサウンドのエッジのきいたスピード感がこの後のGSの原点になったであろうサウンドです。ロックンロール・ガレージシーンで未だに人気のある名盤です。
同じロックンロール歌手でも、たった数年のデビュー時期の違いで、カントリーからの派生だったり、ポップス志向だったり、ロックンロールに憧れてロックンロール歌手を目指す者もいたりと三者三様。サウンドにも違いが出てきたり聴き比べても面白いです。

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こんにちは、レコード店の松田です。今回は60年代前半に活躍した男性歌手について書きたいと思います。ロカビリー3人男や、坂本九、かまやつヒロシなどは以前のメルマガでご紹介しているので、よければ合わせてご覧下さい。日本のツイストブームハイファイ堂メールマガジン第687号 https://www.hifido.co.jp/merumaga/2f/170331/index.html
【小坂一也】和製プレスリーの第1号と呼ばれる男。学生時代の部活の先輩にワゴン・マスターズの歌手、藤沢恵治がおり彼からの誘いでワゴン・マスターズに加入し米軍キャンプやジャズ喫茶への出演をしていました。 54年コロムビアからSP盤「ワゴン・マスター/モンタナの月」でデビュー。次々とヒルビリー・ミュージックの日本語カバーを発表していきました。 56年6月にエルビス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」をカバーしたことにより人気に火が付き「和製プレスリー」と呼ばれるようになりました。その後のプレスリーのヒット曲をほぼリアルタイムでカバーし人気を不動のものにしていきました。 10代女性からの人気はすさまじいもので、同年9月に行われたワンマンリサイタルには約3000人が集まり満員御礼、なんとその8割が10代の女性だったそう。
	彼の代表曲「ハートブレーク・ホテル」は日本のロカビリー時代の幕開けの1曲といっても過言ではありません。まだ完成形には至っていない、なんとも日本人らしい生真面目さが残ってしまっている演奏、日本語訳の歌詞も改めて聞くと少し可笑しいような気もしますが、当時の大勢の若者を熱狂させる魅力をもっていたんだなと思うと、相当な衝撃と新鮮さがあったのだと思います。ちょうど先日「ハートブレーク・ホテル」のSP盤を入荷しましたので、当時の衝撃をぜひSP盤で体感してください。 https://www.hifido.co.jp/19-20440-51514-60.html
【スリー・ファンキーズ】プレスリー1号に続き、こちらは日本のアイドル1号と呼ばれるスリー・ファンキーズ。 60年銀座のジャズ喫茶「テネシー」で行われたロック歌手募集に、メンバーそれぞれが所属していたバンドが合格。テネシーでのステージを見た日本テレビのプロデューサーがそれぞれのバンドから3人を引き抜きスリー・ファンキーズを結成しました。 61年にテレビに初出演すると、その身近な雰囲気がウケ、テレビ局に問い合わせが殺到。日劇ウエスタンカーニバルに出演するなど人気は定着して行き、62年には当時異例のアルバムでレコードデビューを果たしました。初代ジャニーズは、中高生の女性から「身近な男の子」として絶大な人気を集めていたスリー・ファンキーズをお手本に結成されたそう。
	【ダニー飯田とパラダイス・キング】 55年にハワイアンバンドとして「ダニー飯田とパラダイス・ハーモニー」を結成。翌年改名。 58年ころからロカビリーブームに乗り、ロックンロールやポップス中心に演奏するようになりました。日本で唯一ドゥー・ワップの影響を受けたグループでもあり、日本のロックコーラスの草分け的存在でもあります。メインボーカルには、ロカビリーアイドルとして人気を博した水原弘や、ソロ活動やテレビ番組の司会者としても活躍した石川進、国民的歌手の坂本九、女性シンガー九重祐三子などが参加しました。時代の流れを汲んだロックンロール曲や異国情緒溢れるトルコ民謡の日本語カバー、オリジナル曲まで幅広くこなし、老若男女に人気のグループになりました。
【尾藤イサオ】芸人夫婦の間に生まれるが、不遇にも10歳で両親共に亡くしてしまう。亡き父の師匠であった曲芸師の内弟子となり14歳の頃には曲芸一座の営業まわりを行っていました。そんな中、耳にしたプレスリーの「ハートブレイク・ホテル」に衝撃を受けた彼はロカビリーにのめり込むように。一座ではロカビリー曲芸を考案し、一躍人気者になったそう。その後芸能事務所に所属し、テレビ番組のレギュラーに抜擢されるなどの活躍をしていたが、レコードデビューには様々な障害があったらしく、ロカビリー歌手としては遅咲きの64年に「匕首マッキー」でデビュー。時代はマージー・ビート全盛期〜サーフ・インストブーム突入期だったため、アップテンポで8ビート、エレキをフューチャーしたバンドサウンドの曲が多め。バックバンドは後のGSブームで大人気となるブルー・コメッツが務めました。 70年には「あしたのジョー」主題歌で再ブレイク。 75歳になる現在も精力的にライブ活動を行っています。
	【内田裕也】ビル・ヘイリーやプレスリーに影響を受け高校時代からジャズ喫茶に出入りするように。その後ナベプロにスカウトされ日劇ウエスタンカーニバルなどに出演するようになりました。尾藤イサオと同じくロカビリーブーム終盤のデビューであったため、まわりのミュージシャン達はどんどんジャズに転向していく中、彼はかたくなにロカビリーばかり歌っていたそう。 63年頃からは寺内タケシとブルー・ジーンズと活動するようになり、内田の楽曲の大半をブルー・ジーンズが担当しました。 67年からは「フラワーズ」を結成、73年からは毎年欠かさずニューイヤーズワールドロックフェスティバルを主催するなど、死ぬまでロックンロールをつらぬいたレジェンドです。
尾藤イサオ＆ブルー・コメッツ、内田裕也＆ブルー・ジーンズによるアルバム「ロック・サーフィン・ホット・ロッド」はロカビリーからロックに変わっていく時代のちょうど間の1枚。いままでのロカビリーでは見られなかった、エレキサウンドのエッジのきいたスピード感がこの後のGSの原点になったであろうサウンドです。ロックンロール・ガレージシーンで未だに人気のある名盤です。
同じロックンロール歌手でも、たった数年のデビュー時期の違いで、カントリーからの派生だったり、ポップス志向だったり、ロックンロールに憧れてロックンロール歌手を目指す者もいたりと三者三様。サウンドにも違いが出てきたり聴き比べても面白いです。

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