ハイファイ堂メールマガジン

akiba

秋葉原店の地下店舗では、今では懐かしいオープンリールデッキ、カセットデッキの視聴やっております。今回は、その中からご紹介します。

あるときたまたまA77の試聴をしていたスタッフより「このオープン音が歪みます」と連絡がありました。あせっていろいろ機材のセッティングを見てみますと正規の輸入品ではありますが　電源が110V仕様であることが判明しました。急遽ステップアップトランスで100Vから110Vに昇圧してみると機器の動作が安定し音質も一気にどっしりと厚みのあるものと激変しました。その後は、その場に居合せた数人のお客さまともどもREVOXのオープンの艶やかな音楽性にうっとりと聴き入ってしまいました。
REVOX/A77 1971年発売ながら音楽性の高さは侮れません。それもそのはずチューダー製のヘッドやSN比向上のため厳選されたパーツの使用など当時としてはキングクリムゾンのライブの録音にも使用されていたりと評価の高かったモデルです。
	CARY/CD-306 試聴時は、まずCDよりオープンへ録音することからはじめました。CD-306ではサンプリングレートをアップコンバートできますが今回は通常の44.1kHzでアナログ出力して録音しました。CD音源より出来るだけ豊かな音楽情報を引き出すためにはこのクラスのプレーヤー結果的に必要でした。
AUDIO RESEARCH/REFERENCE 1 まさにリファレンスなコントロールアンプです。真空管式ならではの厚みのあるサウンドで自然な音場が得られます。試聴時では、CDプレーヤーとオープンリールデッキを接続しました。
	AUDIO RESEARCH/D130 トランジスターのパワーアンプですが　コントロールアンプとのマッチングはまずまずです。８Ωで130WとL220ではパワーに不足はありません。デュアルモノ構成の電源部でパワートランジスターにはMOS-FETを使用されています。
JBL/L220 ３ウェイ３スピーカー・パッシブラジエーター方式です。ウーファーにはL101にも採用されていたLE14Aが搭載されていて低域のレスポンスを向上させるためオリンパスでも採用されていたパッシブラジエーターPR15Cを搭載されているのが特徴です。イメージ通りのアメリカンなサウンドを聴かせてくれます。
	Nylon & Steel マヌエル・バルエコ(G) キューバ出身のクラシカル・ギターリストによる2001年リリース作品。このアルバムでは、ゲストにアンディ・サマーズ（ザ・ポリス）、スティーヴ・モーズ（ディープ・パープル）、アル・ディ・メオラと３人のギターリストが参加していて各々のゲストのオリジナル曲を収録しています。Nylon & Steelのタイトル通りさまざまな音楽性を持つゲスト・ギターリストとナイロン弦のバルエコとのデュオ演奏を聴かせてくれます。私のこのアルバムのリリース当時の素朴な疑問が「なぜこの面子なのか」というものでした。あくまでも私的な推察なのですが　後のバルエコの録音活動よりディ・メオラは、ピアソラがらみであることが推察されるのですがそれ以外にもスパーギタートリオでのパフォーマンスあたりにもインスパイアーされたのかもしません。もともとラテン音楽に造詣が深いディ・メオラとの接近はキューバ出身のバルエコとしては必然だったのではないでしょうか。お互い息の合ったプレイを聴かせてくれています。スティーヴ・モーズの方はというとアメリカでの評価は日本では考えられないものがあります。かつてはドレッグス時代にはグラミー賞を受賞していたりギタープレーヤー誌では３年連続ベストギターリストに選ばれたりと後進のギターリストに大きな影響を与えてます。日本では、ディープ・パープルへの参加で一気にその卓越したテクニックで評価を高めましたが　もともと彼はマイアミ大学でクラシック・ギターを専攻していて同期のパット・メセニーも実力を高く評価しているギターリストなのです。バルエコとの接点は、おそらくクラシック音楽への造詣と幅広い音楽性によるのではないでしょうか。アルバムでは全クラシカル・ギターリストの必須曲となってしまった映画「ディア・ハンター」で有名な「カヴァティーナ」しっとりとアコギで弾いていたり、ヴィラ=ロボスのクラシカル作品をエレキで弾いていたりと驚かされてしまいます。アンディ・サマーは、云わずと知れたポリスのギターリストとして有名ですが　嘗ては後期エリック・バードン&ジ・アニマルズに参加していたりと玄人受けするギターリストです。ソロではロバート・フリップとのニューエイジ作品やモンクやミンガスのカバー集を出していたりと幅広い音楽性が特徴です。バルエコとの接点は、現代音楽的な音楽的なプロセスなのかギターについての文筆活動がそうさせたのかいまだにわかりませんが真相はお互いに親交のあるビートルズのプロデューサーで有名なジョージ・マーティンが中を取り持ったのではないでしょうか。アルバムでは、他のゲスト・ギタリストより渋いギターを聴かせてくれます。ラストの曲では、コープランドの作品「ロデオ」をバルエコ自らの編曲でなかなかスリリングに楽しませてくれます。