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ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 今回のメルマガはスピーカー設置方法のお話です。スピーカーの振り角によって変化する、音の聴こえ方の違いを検証します。 |
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テストには、セッティングの微調整にも敏感に反応してくれるクリアな音質のYAMAHAセットを使用しました。 プリアンプ:YAMAHA C-2 パワーアンプ:YAMAHA B-2X スピーカー:YAMAHA NS-1000M 音源はウォークマンに取り込んだ非圧縮音源。ヘッドホン端子からのアナログ接続で鳴らします。 左右のスピーカー間は約130cm。後方壁とスピーカー間は約30cm。 店頭でのセッティング故、左右スピーカー外側の条件が違うのでご了承下さい。右側は壁との距離が約20cm、左側は壁がありません。 NS-1000MはTAOCのスピーカーベースに乗せ、ツイーターは床から約75cmの高さになります。今回の環境ではNS-1000Mはツイーターが内側の方がしっくりきたので、そのようにL/Rを設置。リスニングポジションはスピーカーから約2m離れ、耳の高さは約80cmとしました。 以上のセッティングをベースとして、スピーカーの振り角を変えて4つのパターンを比較します。 |
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●真正面 リスニングポジションに対してスピーカーを真正面に向けたセッティング。 オーディオをリビングなどに設置している場合、オーディオ専用部屋と違い他の家具配置との兼ね合いもあります。 スピーカーに角度をつけるとそれだけ幅を食うので、家具と家具との隙間に真正面に向けて差し込むケースはけっこうあると思います。 音の聴こえ方はどうでしょうか。 |
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左右に拡がるステレオ感は十分。感覚的には自分の真横ぐらいまで音がまわってきます。 左右壁の条件が揃っていないのが心配でしたが、バランスが崩れるような事はありませんでした。 スピーカー間中央に位置するボーカルはやや大雑把な印象。もう少し焦点が合うと良いのですが…。ちょっと音が拡がりすぎて歌い手の口がでかく見える。 |
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真正面配置ではリスニングポジションの選定が重要です。 リスニングポジションを固定するとしたら、そこから左右スピーカー間の距離が離れれば離れるほど、音は聴者に対して見当違いの方向に進んでいく事になりますが、今回セッティングした程度の距離であれば特に問題は無い範囲だと思います。 また、真正面を向けてのセッティングは「見栄えが良い」という点も見逃せません。 スピーカー間に位置するラック等と、面一でピシっと揃う様はとても収まりが良いですね。デザインのカッコいいスピーカーなら尚更です。 |
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●正三角形(大きく内振り) オーディオ設置では理想のセッティングと言われる事が多いのが、この「正三角形」セッティング。 平面上の三角形の内角の和は180°(小学校で習ってますよね!?)。つまり正三角形セッティングでは「聴者」、「左スピーカー」、「右スピーカー」を結ぶ三角形内角3ヶ所の角度がそれぞれ60°となります。 今回は設置場所の関係から左右スピーカー間を2mにするのは難しかったので、リスニングポジションをスピーカーから130cmに近づけてのテストとなります。 この配置でリスニングポジションからスピーカーを見ると、正面がこちらを向いているのでスピーカーの側面が見えません。 正に音が自分に向かってくる感じがしてワクワクします。 |
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音像は極めてシャープ。 スピーカーユニットが耳に向いているので当然でしょうか。他のセッティングよりも若干高域がハッキリと聴こえます。 ボーカルはスピーカーの中央にビシっと定位。やや甘い描写となった正面配置に対してこちらは焦点がバッチリです。 決して大口にならず発音が明確で、唇の動きが見えるようなリアリティがあります。 |
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ステレオの拡がり感は中庸。自分に対して真横よりやや前くらいまで音が拡がります。 オーケストラは楽器配置が明確だがちょっと箱庭的な音場です。大胆なステレオ感が欲しい人にはちょっとこぢんまりしすぎるかも? とにかく無駄がないストレートな音、といった印象でした。 試しにこの状態で2mまではなれてみると、左右の拡がりが後退した感じがしました。 拡がりが薄く、大袈裟に言うと、ちょっとモノラルっぽい。 いくらスピーカーの角度を合わせても、リスニングポジションがずれては意味が無いという事ですね。 また、このように角度をつけると設置面積の幅が多めに必要となるので、音質面と設置面で一長一短といったところでしょうか。 |
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●やや内振り 正三角形ほど角度をつけずに、やや内側に向けたセッティングです。 今回の試聴環境では一番しっくり来たのがこのセッティングでした。 リスニングポジションからスピーカーを眺めると、スピーカー内側の側面が少し見えます。 ちなみに店頭では基本的に真正面配置ですが、次いでこの「やや内振り」でセッティングしてある事が多いです。 |
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正三角形配置に比べてダイレクト感は若干後退しますが、聴きやすくいい塩梅です。 ボーカルのセンター定位がしっかりしており、正三角形配置に比べるとやや大口になりますが、聴いていて不自然な感じはありません。 |
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ステレオの拡がりが良好。自分の真横くらいまで音がまわり込んできます。 オーケストラの曲は音場がワイドに拡がりつつも、楽器の配置が曖昧にならない点が印象に残りました。 少し内振りにするくらいなら設置幅もそんなにとらないと思います。 スペースの都合に合わせ、可能な程度で調整してみてはいかがでしょうか。 |
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●外側に向ける スピーカーを外側へ角度をつけて設置。このようなセッティングをしている人はさすがにいないと思いますが、試しにやってみました。 リスニングポジションからはスピーカーの内側面がよく見えます。ユニットはそっぽ向いていて、何かスピーカーに無視されているような感じがしますね…。 |
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スピーカーを外に向けるという常識外れのセッティング。 これには通りかかったお客さんも興味津々のようでした。 |
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サウンドは音がどこから聴こえてくるのかが不鮮明で、ふわりとした音場感です。 ボーカルは位置が定まらなく、伴奏と共に宙を漂う。 ガッツリ聴きこむタイプのセッティングというよりは、BGM的な鳴らし方に向いているかも、といったところでしょうか。 もしかしたらとアコースティックギターだけのインストゥルメンタル曲をかけてみたら結構いい雰囲気…。これは意外とアリかも。 さらに壁の反射も上手く利用できれば、おもしろい鳴らし方ができるかもしれませんね。 |
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こういったセッティング術はスピーカーの種類によって反応が違うので、とにかく一度試してみてクセを把握したいところです。 一通りセッティングが完了したら、位置をマーキングしておきましょう。 マーキングをしておけば、スピーカーを別の場所へ動かしてから元に戻す時など、距離・角度が簡単に合わせられます。 マーキングには床にビニールテープを貼るのが手軽で良いと思います。 床にテープを貼るのに抵抗があるなら、スピーカーと壁との距離をメモしておきましょう。 スピーカー角の何れか3点と壁の距離が分かれば、正確な位置へ再設置する事ができます。 |
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リスニングポジションにもマーキングを忘れずに。 この玉座がすべての基点となります。 |
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★〜高校時代〜 とある日の思い出 北村 「あれっ!?昨日丸一日かけてセッティングしたスピーカーの位置がズレてる!」 母 「部屋掃除しといたよ!綺麗になってたでしょ♪」 北村 「あ…ありがとう ございます…」 それ以来セッティング位置のマーキングを欠かした事は一度も無い。 |
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ほんの少しスピーカーの角度を変えただけで音質が調整できるなんて、オーディオに興味のない人が聞いたら何の事だと思うでしょうね。 せっかく良いスピーカーを買っても、上手く鳴らせなければ宝の持ち腐れになりかねません。ポンと置いて、「ああ、こんな程度の音か」「アンプも買い換えないとダメか」と思っても、ちょっと待って下さい。 お金を掛けなくても今回ご紹介したようなセッティング術で解決できる場面も、きっとありますよ。 オーディオは買ってからが勝負。セッティングはオーナーの腕の見せ所です。いい音目指してがんばってくださいね! それでは、今回はこの辺で失礼致します。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 |
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