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ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 |
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青空をバックに交差する電線。まるで空にかかる五線譜のよう。 この電線を見て、すぐにオーディオを連想する人はどれくらいいるでしょうか。 電線が運んできてくれる電気は、私達が普段使っている電気製品を動かす為に欠かせないものです。もちろんオーディオ機器もこの電気が無いと動きませんが、あまりに日常的に使用しているので、改めて考える機会もないかもしれません。 しかし電源の扱い次第で音質の良し悪しに影響が出るというのは、オーディオファンなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。 今回のメルマガでは、オーディオにとって命とも言える“電源”をテーマにお話ししてみようと思います。 |
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●電気はどこから来るのか 火力、水力、風力、原子力…様々な方法で発電される電気ですが、これらの発電所から送られる電気はいくつかの変電所を経て私達の家庭に届きます。 |
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写真は変電設備の近影。 発電所や中継となる変電所からの超高圧数十万V(ボルト)〜数万Vの電気を、この設備で6600Vに変換します。 ちなみに、発電所〜変電所間の電線が「送電線」、変電所〜電柱・家庭の電線が「配電線」と呼ばれています。 郊外で見かける、大きな鉄塔にかかっているのは、変電所間を繋ぐ「送電線」ですね。 東京電力のホームページによると、2016年度集計で東京23区内では92.5%の送電線が地中化されているとのこと。なるほど都心部では鉄塔を見かけない訳です。 |
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変電所から送り出される6600Vの電気は、電柱に取り付けられた柱上トランスにて家庭で使用する電圧へ減圧されます。 隣の写真が柱上トランス。よく見ると「50」と表記がありますが、この数字は容量(kVA)を表しています。 ほとんどの場合、この柱上トランスはひとつにつきご近所数件の家で共用しています。 そこから各家庭に引き込み線が延びていき、電力量メーター、そしてブレーカー(分電盤)へと続いていきます。 |
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さらにブレーカーから屋内配線を伝って、ようやくコンセントに到達します。 さて、ここではいったい交流何ボルトの電気が来ているのでしょうか。 テスターを使って実際に計ってみましょう。 |
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値は100Vと出ました。 え…?そんなの知ってるって? しかしながらこの数値、完全無欠な100Vとは言えないようです。 例えば、家庭内で掃除機や電子レンジなどを使用して、大きな電力消費があった時に若干のふらつきがありました。 また、過去に計測した時には時間帯によっても僅かに違いがあったのを覚えています。電気が多く使われる時間帯ということでしょうか。集合住宅では95V(!)くらいまで下がる時があると聞いたこともあります。 ※エアコン用など一部のコンセントは200Vの場合あり |
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●電源による音質の違いをチェックしてみよう! オーディオ的観点からすると、まずは柱上トランス以降の電気自体の質(外来ノイズの影響)と安定性(電圧が不安定に上下しないか)が注目点となりますが、実際問題としては、オーディオグレードのコンセントに交換する、ノイズフィルター付の電源タップを使う等、ブレーカーより後段のケアでノイズ対策を行うのが一般的と言えます。 マニアの中には、オーディオ用として庭に電柱を建てる人もいるようです。いわゆる“マイ柱”というやつで、柱上トランスを自分専用とし、隣家などからの外来ノイズと分離する事でノイズレスな環境を目指そうというもの。設置条件のクリアや各種申請、ご近所との折合い等々課題は多く、ちょっとブームにはなり得ないハードルの高さ。 もし“究極”を目指すなら、人里離れた田舎に移住して、風力、水力、太陽光等の自然エネルギーで自家発電し蓄電池に貯める、完全なる自給自足電源環境を構築するのが理想でしょうか。 |
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理想論はさておき、庶民的レベルでも電源による音質対策はあるし、それなりに効果もあります。まずは音を出す前にコンセントの極性くらいはチェックしておきましょう。 「検電ドライバー」で極性をチェックします。 この検電ドライバーは、コンセントに差し込むだけで極性が測れるオーディオファン必携の便利グッズ。 ホット側に差し込むと写真のように光って反応します。この極性をオーディオ機器とコンセントで合わせることで電気の流れがスムーズになり、ノイズ軽減効果が期待できます。 |
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ここで今回の音質チェックに使用したCDをご紹介。 ジャーマン・メタルのゴッド、カイ・ハンセン率いるGAMMA RAYの6thアルバムをチョイス。 その名も・・・ 「POWERPLANT」 直訳すれば「発電所」!今回のテーマからしてこれ以上ピッタリのタイトルは無いでしょう。 (AC/DCのHigh Voltageにしようか迷ったけど…) 低域のエネルギー感と、全体的なキレの良し悪しに着目。 |
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さて、隣の写真は交流安定化電源装置、いわゆる“クリーン電源”というやつです。 コンセントから来る交流電源(AC)を一旦直流(DC)に変換して、正確な正弦波を作ります。 何だかちょっと難しいですが簡単に言うと、コンセントからはエネルギーだけを拝借して、新しく綺麗な電気を作り出してくれる“小さな発電所”といったところでしょうか。 クリーン電源での電圧計測結果はキッチリ100Vで安定して、壁コンセントで見たようなふらつきは一切ありませんでした。 |
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実際の音質は壁コンセントからの給電に比べると鮮鋭感が増し、各パートの音がいい意味でよく分離して、それぞれの音が聴きやすい。低域も歯切れの良さが際立ち、一気にグレードアップしました。 ノイズが減少したということでしょうが、電源だけでこれ程の違いが出ることに驚きます。 クリーン電源は電源状況が劣悪な場面ほど効果を発揮します。もし期待した程の効果が出ないとしたら、それはもともとノイズの少ない、恵まれた電源環境である可能性があるかもしれませんよ。 |
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次は電圧による音質の違いをチェック。 海外製品の中には、日本国内とは違った電圧仕様の物があります。例えばアメリカでは日本と違い電圧は120Vなので、並行輸入品では120V仕様となり、日本のコンセントからではちょっと電圧が足りません。 大半は動くことは動きますが、本来の音質に満たなかったり、誤作動や故障の原因ともなりかねませんので、なるべく正規の電圧で駆動した方が良いでしょう。 |
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120Vへの昇圧トランスを使い、実際に米国120V仕様のプレーヤーを100V、120V駆動で比較試聴してみました(周波数は米国基準の60Hzで固定)。 これは誰が聴いてもすぐに分かるレベルで違いました。まず音圧が段違い。100Vでも普通に聴いていればこういうものかと思ってしまいますが、昇圧した音を聴いた後ではまるで空気の抜けた風船のよう。ちなみに映像系では画面の明るさが増しました。 このように海外仕様の製品を100Vのままで使うのは、とてももったいない事なのかもしれません。 また、100Vからの昇圧よりも200Vからステップダウントランスで減圧した方が音質が良いとの話も聞きますので、色々と試してみたい分野ですね。 |
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音質チェックの最後は電源周波数の比較です。 日本では西日本は60Hz(ヘルツ)、東日本は50Hzと、2種類の周波数が混在しています。 日本国内仕様の電気製品は50/60Hz両方に対応。当然オーディオ機器も両方の周波数で駆動できる訳で、「どちらのほうが音質が良いのか、気になるじゃないか」となってしまいます。 |
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周波数変換装置を使って、実際に50/60Hzの音質を比較してみると…。 う〜ん、これはほとんど同じ・・・?いや、ほんの僅かに60Hzの方が高域成分にメリハリがあるような気がしなくもない。今回の試聴では微妙なところです。使用機材や環境条件次第でも変化の度合いが違ってくるかもしれません。 この周波数の問題に関して、実用上では音質云々よりも、レコードプレーヤーの50Hz/60Hz駆動の違いで話題になる事が多いですね…。 |
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●電線を愛でる 景観と安全を考えて電柱の地中化が進んでいるそうですが、周りを見れば電柱だらけの場所はまだまだあります。秋葉原も中央通りはスッキリしていますが、ちょっと路地に入ればご覧のとおり(隣写真)。 でっかいなぁ〜、と柱上トランスを眺める。色々な形がある。一見雑多なようだが、実は正確無比に張り巡らされた電線の交差に見惚れる。 ・・・これはこれで美的感覚を刺激するものがあると思います。電線を辿って散歩なんていうのもおもしろいかもしれませんね。 |
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夕暮れ時に見る電柱のシルエット。 この電線を伝っていくと、どこかでだれかのオーディオシステムにつながっているのかな・・・なんて考えると、何だか素敵な気分になってきますね。 「ノイズ成分を混ぜるな!」と独占欲が出てくる人にはマイ柱をお勧めします。 |
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●進化する給電方法 先日、オーディオ電源マニアの間で、大和ハウス工業(株)が開発した「リチウムイオン蓄電池式オーディオ専用電源システム」が話題になりました。 この蓄電池、本来は停電時などの非常用電源としての役割を担う装置だそうですが、それを家庭用電源とは独立させ、オーディオ専用の電源として利用することで音質的なメリットを得るというもの。 100%の充電でA級アンプを10時間程度駆動可能とのことで、まだちょっと容量が弱い気もしますが、将来を展望するとオーディオの電源分野もまだまだ発展の可能性があるなと感じた、明るいニュースでした。 |
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以前、ハイファイ堂では電気自動車からの給電によるオーディオ演奏にチャレンジしたことがあります(写真上)。 確か電気自動車から直流でインバーターへ入力、インバーターの交流出力からUPS、そして電源タップ、オーディオへ…、という流れだったと思います(ちょっと記憶が曖昧です、スミマセン)。 正直言うと開始前は、音質は大丈夫なのか?途中で落ちたりしないよな?と心配でしたが、実際はノイズの少ないキリッとした音質に感心したのを覚えています。 インバーター「Power Exporter 9000」のイカしたデザインと相まって、電源環境の未来を感じた瞬間でしたね…。 |
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ハイファイ堂では電源関連アクセサリーの販売・買取を行っています。 特にクリーン電源やハイエンド電源ケーブルは人気で、商品化するとすぐにご注文が入ります。 スピーカーやアンプ選びに比べると、もう一歩踏み込んだジャンルとなりますが、ここを経ないと聴けない音があるのも事実。この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 |
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★★★ おまけ ★★★ 電線が恋しくなった時に観たいオススメ映画2本をご紹介! 「鉄塔武蔵野線」(1997) “あの鉄塔を辿って行くと、どこに行き着くのだろう…” とある少年の好奇心が武蔵野の大地を駆け抜ける、異色のチャリンコ・ロードムービー。 終着点に何があるかは“お察し”ですが、少年期独特の意地と未熟さが綯い交ぜとなって流れてゆく旅の時間はどこか懐かしく、心地良い。 モノラル音声ながら、おおたか静流の主題歌は意外と浸透力があるし、少年が夢中になる“電気の音”も妙なリアルさがあります。鑑賞後はトランスの唸り音さえも愛おしくなってくる! 夏の終わりに観たくなる、愛すべき小品。DVD発売中。 |
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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007) 未知の敵“使徒”に対し、陽電子砲を使った殲滅作戦“ヤシマ作戦”が展開。射撃に必要な膨大な電力を確保すべく、日本列島全土を計画停電し電力を一点に総結集させる描写が圧巻。 電線につぐ電線、無数の変圧器、電力供給幹線系統図・・・。電源フェチは感涙必至。一瞬だけ映る巨大なヒューズも見逃せません。ちなみに台詞から察すると、ヤシマ作戦時の電源周波数は50Hzで行われたもよう。 監督は「シン・ゴジラ」の庵野秀明。街中の電柱や架線など日本のありふれた風景をフォトジェニックに捉える感覚が実に鋭く、電柱を撮らせたら右に出る者はいない。(フィルモグラフィの中ではそのセンスが光る「式日」も必見) 発売中のBlu-rayは6.1chサラウンドを二種のロスレスフォーマットで収録。音質の違いを比較するのも一興です。個人的にはDTS Neural:Xによるアップミックスが絶妙なDTSが推し。 |
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それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 ●ハイファイ堂秋葉原店:〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1階 TEL (03)5818-4751 |
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