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ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 |
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いい気分で音楽を聴いていると、音に合わせて床や壁、ガラスなどが振動してヴーンと耳障りな音をたてる、といった経験はありますか。 スピーカーが再生する特定の周波数に反応して、周りにある物が振動してしまうこの現象を「共振」といいます。 共振は壁や家財など様々な物で発生しますが、特に床面は共振の影響が大きいと思います。 今回のメルマガは、「床の共振を抑えよう」をテーマにお話してみようと思います。 |
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共振は搭載ウーファーのサイズが25〜30cm以上の物、つまり中型以上のモデルで顕著かと思います。 例を挙げればJBL 4312やYAMAHAのNS-1000Mなどがそれにあたるクラスですが、それだけ低音再生能力が高い証でしょう。 特に、低い周波数では床や壁が共振しやすく、音というよりは振動となって外部に伝わりやすいのです。 |
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「ボリュームを絞ればいいじゃないの」というツッコミもあるでしょうが、大型スピーカーの醍醐味はやはり豊かな低音や大音量再生にあり。はたしてこの共振は工夫次第で抑える事ができるのか、いくつかの方法でテストしてみました。 テストは自宅のオーディオルームで実施。洋室で広さは6畳間程度。床はフローリングで、2階にある部屋です。メインスピーカーは大型につき何度も動かすのは難儀なので、今回はサブウーファー(低音再生専用スピーカー)を使用した2.1ch構成で試聴。適宜サブウーファーの設置を変更して共振の度合いをチェックします。スピーカーコンフィグレーションにて100Hz以下の低音はすべてサブウーファーで鳴らすように設定。 サブウーファーの強力な低音は共振のもととなりやすいので、テストにはかえって良いかと思います。再生音量は普通程度で、そんなに大きな音は出していません。 |
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★今回の試聴に使用したディスクをご紹介。 「決して ひとりでは見ないでください──」 この有名なコピーで知られる、ダリオ・アルジェント監督の伝説的ホラー映画「サスペリア(1977)」。そのサントラ盤、「SUSPIRIA : THE COMPLETE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK」をチョイス。サントラの場合は「ひとりでは聴かないでください」になるのかしら。 プログレッシブ・ロックバンド、ゴブリンが奏でる恐怖のメロディは、一度聴いたら頭から離れない傑作。 テーマ曲であるトラック1「SUSPIRIA」の開始32秒付近から鳴り始める低音が難関。床や壁が共振しやすい帯域が含まれているようなので、この部分を繰り返し試聴しました。 ちなみに「サスペリア」はリメイク版が劇場公開中(音楽担当はレディオヘッドのトム・ヨーク!)。 |
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●直置き 最も手軽な設置方法となりますが、共振の事を考えると最悪な設置方法がこの直置き。スピーカーの振動がダイレクトに床に伝わってしまいます。 また、床からの反響で再生音が濁り、音質的にも良い状態とは言えません。実際に床は激しく共振して「ヴーン」と鳴り響きますし、反響により低音は増幅されかなり膨らみ気味。 下の階に移動してみると、天井の方から共振による軋みのような音がわずかに聞こえました。これではせっかくの名曲も台無し。何かしらの対策は必須と感じます。 |
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はなから直置きが想定されているトールボーイタイプのスピーカーでは、ユニット自体が床から離れた位置にあること、おおむねユニットの口径が小さいことで有利であり、共振は比較的軽症な場合が多いと思います。 |
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●インシュレーターに乗せる スピーカーをインシュレーターに乗せて、床から離してみます。インシュレーターの種類にもよりますが、大体1〜10cm程度のリフトアップとなります。 ほんの少しスピーカーの高さが変わっただけですが、スピーカー自体の振動は床に伝わりにくくなるようです。共振は相変わらずありますが、直置きに比べると再生音は多少まとまりがよくなります。床とスピーカーとの接触面積にも関係があるのか?それでも低音はまだ膨らみ気味。 洗濯機や冷蔵庫用に防音・防振ゴムがあるように、スピーカーに対してもそれに類する物が有効という事でしょう。 |
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ちなみにゴム型、金属型、ハイブリッド型で試しましたが、音質に多少の変化はあれども共振具合に大きな変化はありませんでした。 |
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●ボードを敷く スピーカーの下にボードを敷いて、床への振動を軽減させてみましょう。 ホームセンターで売っているような貧弱な木製ボードでは、それ自体が共振してしまう可能性があるので注意。適度な重量で、しっかりとした作りの物を選ぶのがポイント。 |
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なるべく鳴かない素材の方がいいかなと、物は試しに鉛板4枚を合わせてボードとして敷いてみました。先ほど試したインシュレーターも併用。 これまでに比べると、共振の鳴り方は若干おとなしくなった感じがします。ボード自体の重さで振動を抑えこむので、物理的に共振は軽減されるはずですが、期待したほどの改善効果ではありませんでした。 ボードの重要性は設置面の安定化と、上に乗せたスピーカーやコンポーネントを他所の振動から伝えにくくする点にあると考えます。ボードだけで共振をまるごと抑えようとするのはちょっと難しいようです。 |
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●ラグマットやカーペットを敷いてみる スピーカーの前にマットを敷いてみます。吸音効果により不要な共振が抑えられるかどうかに注目。 …結果は共振具合に変化はありませんでしたが、音のフォーカス感が少し向上しました。床面に反射していた余計な響きがマットに吸収されたせいでしょうか。 これは手軽な調音手段として覚えておくと良いかと思います。 |
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マットの強化版という事でカーペットはどうか。 隣の写真は防音カーペットの断面。生地の下にスポンジ状の層があるのがわかります。 以前、最高等級である「LL-35等級」の防音カーペットを試したことがあるので、その時の使用結果をご紹介します。 |
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防音カーペットはなかなか使いこなしが難しく、結果的には期待した効果は得られませんでした。 まず、床面全体を隅から隅までビシッと覆わないと効果が薄い。家具が設置してある場所を避けてカットしたりすると遮音性能が下がるとの事で、私の場合もそうだったのかもしれません。 実際に使用してみると、防音カーペットで効果があるのは足音や物を落とした時などの「衝撃音」で、オーディオが鳴らす音にはいま一つ効果が感じられなかったというのが正直なところ。吸音効果によって共振も多少軽減はしますが、完全な解決とはならないケースが多いと思われます。ちなみに現在は取り払ってフローリングに戻しています。 |
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防音カーペットで意外な効果があったのがDVDラックと床との接地面。 以前はこの部分が時々共振で鳴ってしまい困っていたのですが、カーペットを挟む事で共振が無くなりました。カーペットは取り払いましたが、この部分だけはカットして今も残しています。 |
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●スタンドに乗せる 次は、スピーカーをスタンドに乗せてみましょう。床から離すことで共振の度合いに影響は出るのでしょうか。 使用したスタンドの高さは31.5cm。ONKYO製です。 |
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一気に音の見通しが良くなりました。低音の量感は薄まりますが、本来はこちらのバランスが適正に近いでしょう。これまでが膨らみすぎだったという事です。 共振はかなり軽減されました。私のオーディオルームは2階にあるのですが、1階の真下の部屋で聴いてもそれが実感できるレベルでの改善効果。スピーカーが発する音や振動の影響は、距離が離れればそれだけ伝達しにくくなるという事でしょう。 追加でスタンド脚部の金属部分と床との接触面に薄型ゴムシート(0.5mm厚)を噛ませてみると、床の共振がさらに軽減されました。不要な振動が減った分、低域の質感もクリアになり一石二鳥。これはスパイク受けの下に試した場合でも有効でした。 |
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38cm以上のウーファーを搭載した大型スピーカーでは、専用の物でもない限り乗せられるスタンドが限られてきますが、ハイファイ堂でもおなじみのTAOC 400DH(高さ20cm)は良い候補となるのではないでしょうか。 JBL 4343のような大型スピーカーにもマッチします。 |
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TAOCの取扱説明書を確認すると、「床鳴り現象も減衰」との表記がありました。 |
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●特定の帯域を下げる どうしても共振が解決しない場合は、グラフィックイコライザーの導入が有効な場合があると聞いた事があります。共振が発生する周波数帯域を抑える事で共振が軽減されるとの事。 グラフィックイコライザーは本来、バラついた帯域バランスをフラット化する為の物なので、これは裏技的な使用方法と言えるかも。 プリアンプの同機能を使って実際にやってみました。共振を回避するにはけっこう数値を下げなければならず、今回の試聴では40Hzで-4.5db、63Hzで-6.0db、100Hzで-5.5dbとなりました。 |
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ついでにサブウーファーを外したメインスピーカーによる2ch再生でもチェック。共振によるビビリ音を回避するまで調整した結果は…63Hzで-5.5db、100Hzで-4.5dbとなりました。 音が全体的に高音寄りの軽いバランスになってしまい再生音はイマイチな結果に。これでは大型スピーカーを使う意味が無いですね…。 ただ、共振の発生しやすい帯域とボリュームを視覚的に確認できた点は大きい。イコライザーのバンド数が多いほど調整する帯域が絞れるし、またスピーカーや床の強度次第ではもっと小さい補正値で済む事もあるでしょう。 ちなみにプリメインアンプなどに搭載されているトーンコントロール機能のBASSは、だいたい100Hz付近がターゲットになっているので、少し絞って低域を抑えてみるのもいいかもしれません。 |
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●スピーカー自体の振動を抑えこむ せっかくの比較テストなので、ちょっと強引な方法にも挑戦してみます。 スピーカーの上に重しを乗せ、スピーカー自体の振動を抑える方法です。 隣の写真はホームセンターで入手した溜桝用コンクリート蓋! 重さ約8kg。値段はお安く税込398円也。 |
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何と、スタンド使用に次いで高い効果が実感できました。 重しによりエンクロージャーの箱鳴りが強力に抑えられるのですが、床の共振も軽減される…。エンクロージャーの振動が大きな原因のひとつだという事でしょうか。 スピーカーの上に石板が乗ったビジュアルに、天板に大理石を奢ったJBL L101を連想してしまいましたが、共振抑制の観点からすると理にかなったセッティングなのかも。 しかしながら、やはりメーカー推奨の安全な使用方法とは大きく外れてしまうので、効果は大きいですがおすすめは致しません。参考程度に。 |
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●まとめ 今回の試聴結果と経験上からまとめると、とにかくスピーカーを床から離すのがいちばん効果的かと思います。 床からユニットまでの距離を考えると、30cm以上の大型ウーファーを搭載したスピーカーならどんなに最低でも、ウーファーユニット口径の半径以上は離すべきと考えます。音質を優先するならユニット直径以上。 |
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私の部屋を例にしますと… まず、メインスピーカーのウーファーサイズが38cm。 (とっても便利なiphoneの「計測」機能で撮影してみました!) |
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そしてウーファーの下からボードまでが33cm。下に敷いたボードは3.5cmの厚さがあるので、計算すると36.5cm床から離れている事になります。 ウーファー口径とほぼ同等の距離であり、普通の音量で鳴らすくらいでは床がいちいち共振で不快な鳴り方をするような事はあまり無いです(今回のような手強いソフトは別ですが…)。 |
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もちろん共振は床だけではなく壁やガラスでも発生します。対策方法は多々ありますが、上記のように対象からスピーカーを離すという方法はいずれの場合でも有効ですので覚えておいて損はないと思います。 それに加え今回ご紹介したような方法を組み合わせるなど工夫して、不要な共振音を少しずつ減らして気持ち良く音楽を楽しめたらいいですね。 |
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★★★ おまけ ★★★ 先月リリースされたばかりのオススメCDをご紹介! アニメ「シティーハンター」20年ぶりの新作となる、映画「劇場版シティーハンター/新宿プライベート・アイズ」から、劇中使用されたボーカル曲を収録した「劇場版シティーハンター/新宿プライベート・アイズ VOCAL COLLECTION」が発売中。 実質、1987年から放送されたTVシリーズ主題歌&挿入歌のベスト盤的な内容ですが、過去のCDよりも音質がクリアになっているのが嬉しいです。 |
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のっけから第2期オープニングテーマ「ANGEL NIGHT」という意表をついた選曲にはファンもビックリ。 さらにTM NETWORK、小比類巻かほる…とアラフォー世代には懐かしい曲のオンパレード。もちろんすべて当時のままのオリジナル版。エンディングはお約束の「Get Wild」! 家のオーディオシステムでがっつり鳴らすのもいいですが、通勤中にイヤホンをシャカシャカ鳴らしながらウォークマンで聴くのがお気に入り。映画本編と併せて、心地良い懐かしさに包まれるオススメの一枚です。 |
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それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 ●ハイファイ堂秋葉原店:〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1階 TEL (03)5818-4751 |
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