ハイファイ堂メールマガジン

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京都店永井です。例年この季節には、雪が降るとバスが止まったりするのでびくびくしているのですが、今年はあまり雪の被害に遭わず、なんとか無事に春を迎えられそうです。
さて今回は「忘れてはいけない」と思うオーディオの原点、蓄音機について感じたことを書き留めておきたいと思います。
	発明王エジソンは1877年（明治10年）、蓄音機を発明。最初の方式は、錫箔（すずはく）を巻き付けた銅製の円筒を手で回転させ、振動板に直結した録音針を錫箔に押し当て溝を彫り、音を記録。この溝を針で再びたどらせることにより、音を再生する最初のレコードを発明しました。 ←Phonograph（フォノグラフ）と名付けられたこの世界最初の録音/再生機で最初に再生された音は、エジソン本人が歌う「メリーさんの羊」だったそうです。
（その後、2008年に『エドワードレオン・スコットという人が、1860年にフォノトグラフというものでエジソンとは違う方式で「波形を記録した」という音源』が見つかり、「エジソンの蓄音機より古い音源が見つかった！」と話題となりましたが、『「スコットのフォノトグラフは音を紙の上に図形として記録する器械であり、再生機能を持たなかった」ため、通常の意味での蓄音機ではなかった。（Wikipediaより）』ということで...。）
もう一年以上も前の話ということになりますが、京都店開店時に在庫としてあった蓄音機でSP盤を聴いたとき、「はっ！」としたのを今でもはっきりと覚えています。何とも言えない素朴なトーンで奏でられるバイオリンとピアノの2重奏が耳に入って来た時、ナローレンジ（高域や低域がでていない、せまい音域）＆小音でしか鳴っていないそのサウンドに、感動し、何故かもの凄い衝撃を受けました。「何だこの感じは？？？」そのとき僕の頭上には「？」マークが回っていたと思います。
（オーディオビギナーズ＆商品部に在庫しているVICTOR製のフロア型蓄音機、HMV-193↓）

幼少時、今は無きおばあさんの家に置いてあった電蓄でSP盤を聴いた思い出がギリギリあるのですが、物心ついた時にはステレオコンポとLPの時代。アナログ再生機になじみがあるとはいえ、どれも電器増幅をした音を聴いていたんだなぁ、としみじみ思いました。そうです、蓄音機にはコンセントがありません。針がレコードの溝から受け取った振動がその先につながっている大きなホーンを通ることによって大きくなっただけで、直接溝からの音の信号を聴いているのです。そして、当時はレコーディングの際にも電気が使われていません。再生時の逆で、演奏している人が発した音の信号が空気だけを通過して溝に刻まれているのです。
僕があまり体験したことのない感動を得たのは、そういった「直接的なコンタクト」をしたことが理由ではないかと、あとで思いました。何十年も前に演奏した人の目の前に立っているような感覚は、他のどの再生機で聴くものとも違っています。この音は、おそらく所謂オーディオデータという見方からすると取るに足らない情報量なのかも知れませんが、大事な何かが失われずに残っているような感じがしました。「アナログ←→デジタルの違い」や「情報量の差」などについて考えるとき、この蓄音機の音のことを思い出します。


さて、最近京都店に入荷したこのスピーカーMcIntosh/XRT25。蓄音機のサウンドとはまた違った意味で、驚き・感動しました。オーケストラの音源を聴くと、楽器それぞれの位置まで見えるような気がします。まさに包み込まれるような音像感覚が味わえます。特にクラシックファンの方には、ぜひ一度試聴していただきたいセットです。では、また！

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