御世話になっております、京都商品部の八木です。 暑さがすごいですね! 先日家族で海遊館に遊びに行ってきたのですが、チケットを買うのに20分くらいかかって、その間に熱中症になるのではないかと思う程でした。 そしてそこでかいた汗を館内の冷房でキンキンに冷やされ、今度は風邪を引きそうになりましたが、 なんだかんだ乗り切れたようです。 でもそんな事おかまい無しにウチの子供はジンベエザメに大興奮で、水槽にへばりついてました! まだまだこの暑さは続きそうです。 がんばって乗り切っていきましょう! |
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さて今回のメルマガでは個人的に愛して止まないYAMAHAの「NS-10M」を、どういったスピーカーなのかを紹介致したいと思います。 |
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1978年に発売された、2Way2スピーカー、W215mmH383mmD199mmの小型ブックシェルフ密閉型スピーカーです。 愛好家の間では「テンモニ」「テンエム」などと呼ばれています。 白いコーン紙が素敵なこのデザインを手がけたのは、なんと、かのYAMAHAの名機「NS-1000M」を手がけた仲村 昭さんです。 憧れのNS-1000Mと同じくリアルウッド樺材の黒塗装仕上げ! またバックに写っている元箱もとてもオシャレ! こんなとこまで作り込んでるとこからもYAMAHAの意気込みが感じられます。 そりゃー30万台を超える大ヒットもするわけです。 また、ご存知の方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、今でもアーティストのスタジオでのインタビュー時にバックで写っている事が多い事からもわかるように、世界中のレコーディングスタジオで最も定番で有名なニアフィールドモニタースピーカーです。 ([レコーディングスタジオ]と画像検索するとなかなかの確率で登場します) ニアフィールドモニターっていうのは、録音や音楽制作時に使われるスモールモニタースピーカーの事で、主にはレコーディングスタジオ等で家庭用オーディオシステムに近い状況を再現して音のミックスバランス(音声トラックのバランス・音色・定位など)を確認するためのものです。 僕は入社前はミキシングエンジニアを目指して勉強していたのでこの「テンモニ」は非常に身近なスピーカーでした。 個人的にはポップス、ロックのミキシング作業が特に適していると思います。 |
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個人的にはモニタースピーカーというのは水のようにフラットな存在であるべきだと思っています。 そこでこの「テンモニ」はこの「フラットな音(無味)」がうまく出せているスピーカーのように思います。 フラットな音というのは聴いていてあまり楽しい(美味しい)スピーカーではないのかもしれません。 音楽を楽しむというより、そこに録音されているリアルな音、エンジニアさんの仕事ぶりなどを聴いて楽しむところがあると思います。 |
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初代「NS-10M」です。 当初は単に若者向けスピーカーとして、低価格な小型スピーカーとして発売されたようです。 ユニットはツイーターに「JA-0518」、ウーファーに「JA-1801」、ネットワークはコンデンサー3つにコイルが2つといったシンプルなもの。 |
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まだまだオーディオ業界自体も大きいフロア型スピーカーがメインだったのですが、時代は高度経済成長も相まって、どんどん都市化していき、住むとこもマンションやらアパートやら狭いとこに住む人が増えて、大きいスピーカーは置けない!、そんな中こういった小さいスピーカーの需要も増え始めた、というように時代の変化もヒットの要因だったのかもしれません。 また、ボブ・クリアマウンテンさんという世界的に有名なエンジニアの方(作品例:http://music.sugarsword.com/03/bob.html )がこの「テンモニ」を使い出した事がきっかけで世界中のエンジニアがこぞって使いだしたという話もあるようです。 |
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初代はリアバッフルに取説が貼付けられています。 なんにしろこの白いコーン紙がたまりません。 しかし初代は高域の元気がよく個人的には少しキツく感じます。 同じ様な思いをされていた方がいらっしゃったらしく、先述のボブ・クリアマウンテンさんもツイーターにティッシュをかぶせて使用していらしたそうです。 |
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そして87年、最初のマイナーチェンジがされます。 大きな変更はまずツイーターです。 前述のティッシュ話からも高音の強さを指摘する声が挙がる様になり、ツイーターの周囲にリングフェルトを貼付けティッシュを不要にしてくれました。 続いてケーブルが抜けにくい様にと、また太いケーブルにも対応できるようにとターミナルがネジ式に変更されました。 細かい部分ではユニット固定ネジが六角ボルトになりました。 目に見えない変化として耐入力がアップされました。 おそらくですがユニットもこの時期からツイーター「JA-0518A」、ウーファー「JA-1801A」になったのでは?と思います。 そしてそのマイナーチェンジで3種類の「テンモニ」が発売されます。 |
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縦置き・サランネット付きの「NS-10M PRO」。 サランネットのYAMAHAのロゴも変わっています。 ツイーター横にあったYAMAHAのステッカーもNS-10M PROの印字に変わりました。 |
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横置き・サランネットなしの「NS-10M studio」。 個人的に音質・見た目共々一番好きな「テンモニ」です。 studioというだけあってエンジニア心をくすぐられます。 |
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横置き・サランネット付き・天井吊り仕様の「NS-10MC」。 一番マイナーです。 吊ってあるNS-10MCはまだ見た事がありません。 |
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続いて93年のマイナーチェンジでは、ユニットにキャンセリングマグネットが追加され防磁仕様になり、それに伴い音の解像度も向上しました。 音質的には更にクリアになり、高域もよりマイルドになって聴きやすい音になったと思います。 なぜかツイーターのグリルはなくなりました。 グリル自体にも音への影響があったのでしょうか? |
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そして95年にはシアター用として開発された「NS-10MT」が発売されました。 シアター用というだけあってこれももちろん防磁型です。 ターミナルも金メッキのバナナプラグ対応のものになり、低域の伸びを確保するためでしょうか、バスレフ化され、それに伴い奥行きの寸法も56mmも伸びました。 ツイーターもウーファーも従来のと似てはいますが違うものになっています。 その分ワイドレンジにはなりましたが、個人的な感想としてはもはや「テンモニ」の音ではありません。 がしかし、コレクター的にはやっぱり持っておきたいんですよね。 細かいとこではダボの形状も変わりました。 とりあえずシアター用ってんだから、ホームシアターにする時にはこちらのほうが楽しめると思います。 |
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「テンモニ」のミニサイズ版「NS-10MM」(左:96年発売)と「NS-10MMT」(右:01年発売)です。 サイズはW107×H191×D140mm(NS-10MMTはD141mm)で「テンモニ」の約1/2です。 もうここまで出すかという感じです。 YAMAHAのロゴに違いがあるのと、「NS-10MMT」はリアにバスレフポートがあります。 もう音質どうこうはさておきコレクションに加えたい気持ちのほうが勝ちそうです。 |
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そんな長い期間発売されてきた「テンモニ」も、残念ながら01年には絶版となってしまいます。 なにやら木材パルプの調達が困難になってコーン紙の安定供給が難しくなってきたかららしく、継続して販売するのが困難になったようです。 もしこういった事がなければ未だに販売されていたかもしれませんね。 今ではパワードモニター化された後継機達「HSシリーズ」が発売されていますが、それはそれで「テンモニ」の面影を感じさせてくれる良いモニタースピーカーだと思います。 ついでに、右はClassicProというメーカーが、おそらく10Mをイメージして作られたのであろう「EX10M」です。 これはまだ実物を見た事がありませんが。 |
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いかがだったでしょうか? 「テンモニ」の世界は楽しんでいただけたでしょうか? 一度全ての聴き比べなんぞをしてみたいものです。 当店でもチョコチョコ入荷しておりますので、興味が湧かれた方は是非聴いてみて下さい! それではまた! |