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あっという間の12月です。京都はやっぱり寒いです。京都商品部の朴 高史です。 先日、近くの家電量販店に寄ったところ、レコードプレーヤーコーナーが出来てました。 その、急作りなコーナーには、最近のアンプやスピーカーが一体になった「すぐにレコードが聴ける」プレーヤーや、 デジタルアウトがついたモデルなどの、低価格の商品が並んでました。 レコードブームの初心者に向けてのラインナップかと思うのですが、その再生能力に不安を覚えざるを得ません。 これでは、せっかくのレコードブームも一過性でお終いになってしまわないかと、危機感を感じてます。 しかし、他に目を向けましても、見当たるのは、値が張るハイエンドモデルか、DJ用業務用機ぐらいです。 話題のTechnics SL-1200Gも、魅力は感じますが、30万円以上します。 ここで結論です。小ましなレコードプレーヤーが欲しければ、中古オーディオ店へ行こう(ハイファイ堂)。 |
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Technics SL-1200G 2016年 ワウ・フラッター0.025%、S/N比78db |
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ここからは、私の持論が混じってきます。 中古オーディオ店には、様々な国、時代、機構のレコードプレーヤーがありますが、少なくとも、ステレオLPレコードを良い音で、 この日本で聴きたければ、1970年から1980年頃までに日本で作られた、ダイレクトドライブフォノモーターを選ぶべきです。 それも、きちんと整備されていれば、それは宝物だと思います。日本にいる幸せです。(私の持論ですが、) ということで、今回は、日本が、世界に誇るダイレクトドライブフォノモーターのお話です。 |
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レコードプレーヤーのモーターは、非常に低い回転速度(33と1/3または45および78rpm)での安定した正確な動きが求められ、 そのため、かつては、リム駆動、ベルト駆動などの間接的な駆動システムが一般でしたが、 その、メンテナンス等のデメリット(オイル切れ、ゴムの劣化など)から、開発が進められたのが、 基本メンテナンスフリーのダイレクトドライブプレーヤーです。 1970年、テクニクスから世界初のダイレクトドライブフォノモーター「SP-10」が発売されます。 (SONYのTTS-4000も販売されてましたが、) |
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Technics SP-10 1970年 20極60スロット超低速電子整流子DCモーターの使用により、コギングの低減をはかり、 ワウ・フラッター0.03%、S/N比60dbの性能を実現し、世界から注目を集めます。 |
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SONY TTS-4000 1970年 ACサーボモーター ワウ・フラッター0.03%、S/N比60db |
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同じく1970年、DENONは、放送局向けレコードプレーヤー「DN-302F」を販売、 業務用としては初めてダイレクトドライブを採用したプレーヤーです。 翌1971年、「DN-302F」を元に、民生用に開発されたのが「DP-5000」です。 |
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DENON DP-5000 1971年 トルクは小さいが、コギングが少なく、なめらかな回転のACモーターに、サーボ制御機能を組み合わせ、 ワウ・フラッター0.025%、S/N比60db以下とテクニクスとは全く違う方法で、同等の性能を実現しています。 |
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この後、日本のオーディオメーカー各社から、これらのスペックを基準とした様々な技術のダイレクトドライブプレーヤーが開発されることになります。 |
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Victor JL-B77 1972年 20極ホールサーボモーター ワウ・フラッター0.03%、S/N比60db |
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YAMAHA YP-1000 1975年 20極60スロットブラシレスDCサーボモーター ワウ・フラッター0.03%、S/N比60db |
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1975年テクニクスは、「SP-10」の次世代機「SP-10MK?」を発売します。 |
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Technics SP-10MK? 1975年 ワウ・フラッター0.025%、S/N比78db 制御機能にクォーツフェイズロックドコントロールの使用で、さらに回転精度を高め、 高トルクのブラシレスDCモーターを使用し、0.25秒で33・1/3rpmの正常回転に達します。 |
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一方DENONは、1978年に最高位フォノモーター「DP-80」を発売します。 |
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DENON DP-80 1978年 ワウ・フラッター0.015%、S/N比77db 高耐振性を得るべく二重構造ターンテーブルを採用し、 回転制御には、電磁パルスとクォーツロックを組み合わせた「DENONクォーツ」が搭載され、 さらに精度を高めています。 |
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オーディオ全盛期とも言えるこの時期、各社からさらに性能を高めた製品が出そろいます。 |
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MICRO DQX-1000 1978年 クォーツロックPLLサーボDCモーター ワウ・フラッター0.02%、S/N比65db |
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SONY TTS-8000 1977年 ブラシアンドスロットレスモーター クリスタルロック方式マグネディスクサーボ ワウ・フラッター0.025%、S/N比70db |
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KENWOOD L-07D 1979年 クォーツPLLリバーシブルサーボスロットレスDCモーター ワウ・フラッター0.01%、S/N比94db |
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メディアの中心がレコードからCD中心へと変化する80年代、各メーカーの開発もCDプレーヤーに重きを置かれ出します。 1981年テクニクスから、「SP-10」シリーズの最終形として、「SP-10MK?」が販売されます。 |
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Technics SP-10MK? 1981年 クォーツフェイズロックドコントロール 超低速電子整流子ブラシレスDCモーター ワウ・フラッター0.015%、S/N比92db カッティングレース駆動装置テクニクスSP-02をベースに民生機では最大級の起動トルクを誇るDCモーターを使用し、(SP-10MK?の2.5倍) 回転数検出には全周検出FG(周波数発電機)を採用し、 回転数制御には、高精度のクォーツ発振器を用いたクォーツロックが搭載されさらに精度が高められました。 |
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同年DENONからも、集大成とも言えるプレーヤー「DP-100M」が販売されます。 |
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DENON DP-100M 1981年 ダブルPLLサーボターンテーブル・システム ハイトルク3相ACサーボモーター ワウ・フラッター0.003%、S/N比90db モーターはカッティングマシーン用アウトローター形3相ACサーボモーター、ターンテーブルは重量級の二重構造ターンテーブル、 回転制御には、クォーツ制御にPLLシンセサイザーICを採用と、DENONの技術の全てを注ぎ込んだ、渾身のプレーヤーです。 (この2モデルは、ハイファイ堂でも入荷は少なく、販売価格も100万円となってます。) |
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これ以降の注目モデルは、今も人気が高いYAMAHA GT2000シリーズや、SP-10MK?のICモデル「SP-10MK?A」くらいと思われます。 |
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YAMAHA GT2000 1982年 クォーツPLL・正負両方向FGサーボダイレクトドライブ DCコアレスホールモーター ワウ・フラッター0.005%、S/N比85db |
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Technics SP-10MK?A 1983年 クォーツD.D.ターンテーブル ブラシレスDCモーター ワウ・フラッター0.02%、S/N比86db |
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YAMAHA GT2000X 1985年 両方向クォーツPLL DC4相8極コアレスホールモーター ワウ・フラッター0.025%、S/N比85db |
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もし、SL-1200Gの予算があれば、全盛期のDENON DP-80やTechnics SP-10MK? に同じく全盛期のトーンアームSAECやグレース、 FRの組み合わせ、YAMAHA GT2000などの国産の一級品プレーヤーでも中古オーディオ店(ハイファイ堂)では十分お釣りが出ると思います。 これらのプレーヤーで、70年代の名録音のオリジナル盤を回す想像をするだけで、鳥肌ものです。(私の持論です。) レコード遊びの醍醐味です。 |
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次回は、そんなレコード(CDも)の音は、必ず(ほとんど)マイクロホンで集められた音になります。ということで、 マイクロホンについて考え中です。では、この辺りで失礼します。 |







