スピーカー内部の吸音材ハイファイ堂メールマガジン第682号京都商品部

スピーカー内部の吸音材
ハイファイ堂メールマガジン第682号京都商品部

こんにちは、京都商品部の徳重です。今回は、スピーカー内部の吸音材についてお話させて頂きます。吸音材とは文字通り、音（空気の振動）を吸収する部材です。エンクロージャーの構造や設計時のコンセプトによっては、吸音材が用いられていない（必要ない・吸音してはいけない）スピーカーも有ります。
例えばTANNOYオートグラフ（バックロード型）内部には、吸音材は見当たりません。
	昨年紹介しました（2016/9/16 659号）Wharfedale SFB/3（後面解放型）にも、吸音材は有りません。
HARTLEY CONCERT MASTER6は後面開放型ですが、このようにぎっしりと吸音材が入っています。
	吸音材の役目とは？例えばウーファーのようなコーン型ユニットが音を出している時、前面は勿論後面からも音が出ています。背面から出た音がエンクロージャーの背面部分に反射して再びコーン紙に当たる事で、音を濁してしまう・・・背面部分に吸音材が有ればこれを出来るだけ防ぐ事が出来ます。もう一つ、エンクロージャーの特性で、ある一定の音域（周波数）が共鳴して、その音域だけ音が大きくなってしまう現象が有るのですが（エンクロージャー自体の形状を工夫して、共鳴しにくいものも当然有ります）、これを抑えるのも吸音材の役目です。吸音材は、エンクロージャーの性能を補助する、重要な部材といえます。
さて、吸音材には色々な材質のものが有ります。一般的なものを何点か紹介させて頂きます。

JBL 4343は、グラスウールの吸音材が用いられています。かつては最も一般的に用いられていたと思いますが、文字通りガラス繊維で出来ており、手で触れているとチクチクと痒くなります。また吸引による健康被害が問題となり、現在ではより細かい、超微細ガラス繊維の「ミクロンウール」が一般的です（痒くなりませんし健康上問題無いようです）。

70年代のTANNOY製スピーカーの吸音材には、ウレタンスポンジが用いられている事が多いです（画像はARDEN)。他にも同じ英国製SPENDOR BC2もウレタンスポンジが使われていました。

TANNOYのRECTANGULAR YORKです。上はウレタンスポンジですが、下のように、ものによっては異なる材質が使われている事が有ります。

変わりましてDIATONE DS-2000HRに用いられている吸音材です。これもかなり普及している材質：フェルト（ニードルフェルト）です。前述RECTANGULAR YORK（下の画像）の吸音材は、フェルトをぎっしり詰めた布地を取り付けています。
他にも、建築資材で用いられるサーモウール（羊毛断熱材）や、本物の羊毛（100%ウール）、化学繊維のウール等々、吸音材に使われている部材は多種多様です。なかにはティッシュペーパーを成型して使用している方もおられるようです。勿論吸音材の材質によって、音への影響も少なからず有るようです。
結局は、エンクロージャーがしっかり作られていないと、吸音材の効果が現れないという事だと思います。という事で、次回はエンクロージャーの構造についてお話させて頂きますので、宜しくお願い致します。

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こんにちは、京都商品部の徳重です。今回は、スピーカー内部の吸音材についてお話させて頂きます。吸音材とは文字通り、音（空気の振動）を吸収する部材です。エンクロージャーの構造や設計時のコンセプトによっては、吸音材が用いられていない（必要ない・吸音してはいけない）スピーカーも有ります。
例えばTANNOYオートグラフ（バックロード型）内部には、吸音材は見当たりません。
	昨年紹介しました（2016/9/16 659号）Wharfedale SFB/3（後面解放型）にも、吸音材は有りません。
HARTLEY CONCERT MASTER6は後面開放型ですが、このようにぎっしりと吸音材が入っています。
	吸音材の役目とは？例えばウーファーのようなコーン型ユニットが音を出している時、前面は勿論後面からも音が出ています。背面から出た音がエンクロージャーの背面部分に反射して再びコーン紙に当たる事で、音を濁してしまう・・・背面部分に吸音材が有ればこれを出来るだけ防ぐ事が出来ます。もう一つ、エンクロージャーの特性で、ある一定の音域（周波数）が共鳴して、その音域だけ音が大きくなってしまう現象が有るのですが（エンクロージャー自体の形状を工夫して、共鳴しにくいものも当然有ります）、これを抑えるのも吸音材の役目です。吸音材は、エンクロージャーの性能を補助する、重要な部材といえます。
さて、吸音材には色々な材質のものが有ります。一般的なものを何点か紹介させて頂きます。

JBL 4343は、グラスウールの吸音材が用いられています。かつては最も一般的に用いられていたと思いますが、文字通りガラス繊維で出来ており、手で触れているとチクチクと痒くなります。また吸引による健康被害が問題となり、現在ではより細かい、超微細ガラス繊維の「ミクロンウール」が一般的です（痒くなりませんし健康上問題無いようです）。

70年代のTANNOY製スピーカーの吸音材には、ウレタンスポンジが用いられている事が多いです（画像はARDEN)。他にも同じ英国製SPENDOR BC2もウレタンスポンジが使われていました。

TANNOYのRECTANGULAR YORKです。上はウレタンスポンジですが、下のように、ものによっては異なる材質が使われている事が有ります。

変わりましてDIATONE DS-2000HRに用いられている吸音材です。これもかなり普及している材質：フェルト（ニードルフェルト）です。前述RECTANGULAR YORK（下の画像）の吸音材は、フェルトをぎっしり詰めた布地を取り付けています。
他にも、建築資材で用いられるサーモウール（羊毛断熱材）や、本物の羊毛（100%ウール）、化学繊維のウール等々、吸音材に使われている部材は多種多様です。なかにはティッシュペーパーを成型して使用している方もおられるようです。勿論吸音材の材質によって、音への影響も少なからず有るようです。
結局は、エンクロージャーがしっかり作られていないと、吸音材の効果が現れないという事だと思います。という事で、次回はエンクロージャーの構造についてお話させて頂きますので、宜しくお願い致します。

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