JBL L88Novaメンテナンスハイファイ堂メールマガジン第698号京都商品部

JBL L88Novaメンテナンス
ハイファイ堂メールマガジン第698号京都商品部

いつもお世話になっております。ハイファイ堂京都商品部の滝本です。今回、ご紹介させて頂くメンテナンス完了品は JBL L88Nova です。

上下逆さまの上に表面も削られ、あられもない姿ではありますが、メンテナンス作業中の L88Nova のエンクロージャーです。
今回ご紹介させて頂くにあたって、メルマガ掲載にメンテナンス作業の完了が間に合わないかもしれない進行状況でしたので、普段よりメンテナンスの作業寄りの内容で準備しておりました。ですので、ご紹介の写真内容などが冒頭の様なメンテナンスのビフォーアフターを判り易くする為のものが多くなってしまいました。結果的には完了が間に合ったのですが、普段はあまりメンテナンス前の状態をお見せする事は少ないので、この機会に今回のメルマガではその辺りをご紹介させて頂こうかと思います。
それでは早速、本来の88Novaです。↓

フロントグリルのデザインが特徴的で、よく言われる表現かもしれませんが、まるでミッドセンチュリーの家具であるかの様な雰囲気が感じられます。どのような部屋に置いても違和感無く溶け込んでくれそうです。サイズ的にも、幅35.5cm×奥行30.0×高さ59.7(実測)と手頃なブックシェルフ型ですので、お求めやすいモデルかと思います。
２ウェイ２スピーカー、バスレフ方式のこのスピーカーのユニットは低域に30cmコーンの123Aを使用、高域は前期と後期で違いがあり、前期は5cmコーンのLE20、後期には3,6cmコーンのLE25-1という構成です。今回の個体はLE20-1で前期にあたります。

エンクロージャーは全体的にスリ傷、凹みキズが多く、これまでも88Novaでは多く見かけられたのですが前面角の縁の部分が２ヶ所、大きく欠損していました。
	底は特に傷だらけ。
右前角縁、欠けやすい箇所です。
次に背面ですが、こちらも表面に手をなぞらせてみると黒い塗装がポロポロと剥がれ落ちていきます。

補強後、再塗装します。以下、塗装前後の比較です。

左:塗装前　　　　　右:塗装メンテナンス後

続いて、天地、側面、フロントグリルのウォルナット部分も表面を研磨して木肌を整えてキズ、凹みを無くし、オイルフィニッシュでオリジナルに近い状態を目指します。

	グリルの取り外し時など、負荷がかかりやすく破損しやすい箇所です。

	キズが多い(ひどい)時は全体に手を入れて仕上げに統一感を。

	左上:作業前右上:研磨完了後左:オイルフィニッシュ後
ユニットに関しては、京都商品部では外観的な部分(汚れ取り、着色)でのメンテナンスが主になります。

↑ 123A、コーン紙着色 ↓　(左、作業前　右、着色後)

↓ガスケット脇に覗くこの部分も金属故の腐食や埃だまりが見られます。

↓LE20-1も同様に汚れ取りや着色を。


ネットワーク部分。今回はプレートとツマミの汚れがきつめでした。

↓ 同じく、左側写真が作業前になります。


最後にフロントグリルにサラン生地を張り、ロゴパーツを付けるのですが、このグリルは少しコツのいる貼付け方になっています。
	パネル、サラン生地、生地を留める為の円形の金属棒と棒状のゴム、JBlロゴパーツ。
まず、上方にあたる四角部分のサランですが、右写真に見える溝の部分に、
	生地をあてがい、棒状ゴムで固定します。
生地を折り返し、
	裏側で固定。
ざっとした説明ではありますが、これで上側は完成。後で、パネルに開けられている穴に合わせてロゴパーツも入れてあげます。 →

下側、円形部分も原理としては同じなのですが、金属の戻りの弾性が働く分、難しくなります。
	全て組み付けて最終の音チェック。

L88Novaの音を聴くたびに思うのですが、このサイズでこれだけ音の重みを出せるスピーカーはなかなか希少ではないでしょうか。初見で聴いた時はアンプのボリュームがずいぶんとあげられているのだな、と勘違いしましたから。相対して高域が力不足だ、というような話は時折耳にしますが、個人的には決してそうとも思いません。ツイーターも十分に力を出して全体で(完璧とは言いませんが)良いバランスを取って鳴らしている様に感じます。冒頭でも言いましたが、サイズ感などから考えてもお求めやすいモデルではないでしょうか。店頭でお目にされた折には是非ともご試聴よろしくお願い致します。それではまた。