ウーファーの振動板の材質ハイファイ堂メールマガジン第719号京都商品部

ウーファーの振動板の材質
ハイファイ堂メールマガジン第719号京都商品部

こんにちは、京都商品部の徳重です。今回も、ウーファーの振動板の材質等についてお話させて頂きます。
その前に、前回も少し触れました「内部損失」についてお話しします。スピーカーのカタログで「このユニットの振動板に用いられている○○には適度な内部損失が有り・・・」等とよく目にすると思いますが、「損失」というと、何か悪いイメージが有ります。単純に云いますと、その部材がどれ程振動を吸収し易いか、又はし難いか（響き易いのか、響き難いのか）という事です。簡単に例えますと、叩いてもすぐに振動（響き）が収まるポリバケツは「内部損失が多い」、打つとかなり長い時間振動を続ける（響き続ける）お寺の鐘は「内部損失が少ない」という事になります。常に振動させられているウーファーの振動板に内部損失の少ない部材を使うと、響きが収まらないうちにどんどん響きが重なって、濁った音となって出てしまいますので、出来るだけ内部損失の大きい部材を用いている、という事です。前回取り上げたパルプ材は、ウーファーの振動板として最適な硬さ・軽さ・そして内部損失を併せ持っていると云えます。
	それでは、パルプ材以外でどのような部材が用いられているかを見ていきます。 80年代以降のDIATONEは、合成繊維（ポリアミド等）とハニカム構造を組み合わせた振動板を多く用いています。主に建材において普及しているハニカム構造は、軽くて硬い（丈夫）という点で振動板にふさわしいですが、これをコーンの形状に成型する事は、かなりの技術が必要だったと云われています。（画像はDS-2000のウーファーです）
軽くて硬いといえば、やはりカーボン（炭素繊維）を用いた部材ではないでしょうか。 ONKYOは、ベーシックなD-77シリーズから最高位機種まで、殆どのモデルのウーファーにカーボンファイバーのみで成型されたコーンを採用しています。（画像はScepter 5001のウーファーです）
	VICTORは2003年に、世界で初めて「木」を振動板に用いたスピーカーを発売しました。もう疑う事無く、楽器やスピーカーのエンクロージャーにも用いられている木材が、音響的に優れていない訳が無いでしょう。実際、木材は優れた音の伝達性と程良い内部損失という性質を持っているようです（そういえばパルプ材も元は木材でした）。但し、割れ易く湿度に敏感な木材をコーン型の振動板に成型する事は簡単な事では無かったようです。その開発の道程は、 http://www3.jvckenwood.com/audio_w/woodcone/history/ で見る事が出来ますので、興味の有る方はご覧下さい。（画像はSX-WD500のウーファーです）
これまで、コーン型（円錐形）の振動板を取り上げてきました。次回はSONYやTechnicsが開発した平面型の振動板等についてお話しさせて頂きますので、また宜しくお願い致します。

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こんにちは、京都商品部の徳重です。今回も、ウーファーの振動板の材質等についてお話させて頂きます。
その前に、前回も少し触れました「内部損失」についてお話しします。スピーカーのカタログで「このユニットの振動板に用いられている○○には適度な内部損失が有り・・・」等とよく目にすると思いますが、「損失」というと、何か悪いイメージが有ります。単純に云いますと、その部材がどれ程振動を吸収し易いか、又はし難いか（響き易いのか、響き難いのか）という事です。簡単に例えますと、叩いてもすぐに振動（響き）が収まるポリバケツは「内部損失が多い」、打つとかなり長い時間振動を続ける（響き続ける）お寺の鐘は「内部損失が少ない」という事になります。常に振動させられているウーファーの振動板に内部損失の少ない部材を使うと、響きが収まらないうちにどんどん響きが重なって、濁った音となって出てしまいますので、出来るだけ内部損失の大きい部材を用いている、という事です。前回取り上げたパルプ材は、ウーファーの振動板として最適な硬さ・軽さ・そして内部損失を併せ持っていると云えます。
	それでは、パルプ材以外でどのような部材が用いられているかを見ていきます。 80年代以降のDIATONEは、合成繊維（ポリアミド等）とハニカム構造を組み合わせた振動板を多く用いています。主に建材において普及しているハニカム構造は、軽くて硬い（丈夫）という点で振動板にふさわしいですが、これをコーンの形状に成型する事は、かなりの技術が必要だったと云われています。（画像はDS-2000のウーファーです）
軽くて硬いといえば、やはりカーボン（炭素繊維）を用いた部材ではないでしょうか。 ONKYOは、ベーシックなD-77シリーズから最高位機種まで、殆どのモデルのウーファーにカーボンファイバーのみで成型されたコーンを採用しています。（画像はScepter 5001のウーファーです）
	VICTORは2003年に、世界で初めて「木」を振動板に用いたスピーカーを発売しました。もう疑う事無く、楽器やスピーカーのエンクロージャーにも用いられている木材が、音響的に優れていない訳が無いでしょう。実際、木材は優れた音の伝達性と程良い内部損失という性質を持っているようです（そういえばパルプ材も元は木材でした）。但し、割れ易く湿度に敏感な木材をコーン型の振動板に成型する事は簡単な事では無かったようです。その開発の道程は、 http://www3.jvckenwood.com/audio_w/woodcone/history/ で見る事が出来ますので、興味の有る方はご覧下さい。（画像はSX-WD500のウーファーです）
これまで、コーン型（円錐形）の振動板を取り上げてきました。次回はSONYやTechnicsが開発した平面型の振動板等についてお話しさせて頂きますので、また宜しくお願い致します。

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