続・ツイーター振動板の材料ハイファイ堂メールマガジン第737号京都商品部

続・ツイーター振動板の材料
ハイファイ堂メールマガジン第737号京都商品部

こんにちは、京都商品部の徳重です。今回も、前回に引き続きツイーター振動板の材料についてお話しさせて頂きます。
今回は、金属以外の素材で、どのようなものが用いられているかを見ていきます。ツイーター振動板の素材として適しているのは、軽くて硬い素材です。硬いもの、といえばとりあえずダイヤモンドが思い浮かびます。オーディオでダイヤモンドを用いているものといえば、一般的にレコード針（スタイラス）を連想します。
	B&Wはダイヤモンドをツイーターのドーム型振動板として用いる事に成功しました。（画像は800Dのツイーターです）初めて見た時、一体どうやってこんな極薄の半球状に加工したのか？と疑問に思いました。とてつもなく簡単に言えば「ダイヤモンドを蒸発させてガス状にして半球状の基盤に付着させて膜を形成する」という感じです。化学に関しては相当疎い私でも、何かとんでもなく高度な技術である事は想像できます。何度か音を聴いた事が有りますが、意外とマイルドで耳当たりが柔らかく感じました。
次はボロンです。ボロン（boron)、日本語ではホウ素と呼ばれています。今回は金属以外の素材を用いた・・・と申し上げましたが、ボロンは元素の性質上「半金属」とされているようです。ボロンはダイヤモンドの次に硬い元素のようです（硬くて脆い）。ガラスやガラス繊維の材料として用いられる等（ホウ酸塩というホウ素化合物）、結構身近な存在です。実はボロンは、前回取り上げたベリリウムよりも音の伝達が速く、振動板の素材として優れていたのですが、前述のダイヤモンド程ではないのですが加工技術が難しく、中々実用化出来なかったようです。一般に「ボロン振動板」等と呼んでいますが、ボロン（化合物）のみで振動板を成型しているのでは無く、チタンで成型したドームに、これもまた前述のダイヤモンドのようにボロンを蒸発させて付着させる手法をとっています。正確には「ボロナイズドチタン」と呼ぶようです。画像は1980年発売DIATONE DS-505のツイーターです。初めてボロナイズドチタン振動板が採用されたスピーカーです。
	振動板の素材として優れているという事で、同じく非常に細かく振動するカンチレバーにボロンを採用するカートリッジも有ります。（画像はAudio-technicaのAT33PTGです）
その後、チタン+ボロンの複合ではなく、ボロンのみ（正確にはボロンカーバイド：炭化ホウ素)で成型した振動板の開発に成功し、DIATONEでは「ピュアボロン振動板」として1988年発売のDS-V9000に初めて搭載されました。高熱で溶かした炭化ホウ素の粒子を基盤に吹き付けて被膜形成するという、「プラズマ溶射法」といっていかにも高い工業技術力が求められそうな製法が用いられています。ピュアボロン振動板が採用されたスピーカーは数機種音を聴いた事がありますが、中でもDS-20000を聴いた時の印象は忘れられません（画像はDS-20000のツイーターです）。アンプとの組み合わせにもよりますが、聞き慣れた曲なのにいつもは聞こえなかった微細な音（というより楽器が発するノイズのようなもの）が聴こえてきて、「凄い高解像度だな」と驚きました。現在ではピュアボロン振動板は「プラズマ溶射法」からさらに進化した「新常圧焼結セラミックス製法」という、文字を見ただけでは想像もつかない新しい製法でつくられ、さらに性能が向上しているようです。受注品のDS-MA1や車載用スピーカーの現行品等には、この新製法でつくられた振動板が採用されていると思います。
次回は圧電型スピーカーを取り上げる予定ですので、次回も宜しくお願い致します。

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こんにちは、京都商品部の徳重です。今回も、前回に引き続きツイーター振動板の材料についてお話しさせて頂きます。
今回は、金属以外の素材で、どのようなものが用いられているかを見ていきます。ツイーター振動板の素材として適しているのは、軽くて硬い素材です。硬いもの、といえばとりあえずダイヤモンドが思い浮かびます。オーディオでダイヤモンドを用いているものといえば、一般的にレコード針（スタイラス）を連想します。
	B&Wはダイヤモンドをツイーターのドーム型振動板として用いる事に成功しました。（画像は800Dのツイーターです）初めて見た時、一体どうやってこんな極薄の半球状に加工したのか？と疑問に思いました。とてつもなく簡単に言えば「ダイヤモンドを蒸発させてガス状にして半球状の基盤に付着させて膜を形成する」という感じです。化学に関しては相当疎い私でも、何かとんでもなく高度な技術である事は想像できます。何度か音を聴いた事が有りますが、意外とマイルドで耳当たりが柔らかく感じました。
次はボロンです。ボロン（boron)、日本語ではホウ素と呼ばれています。今回は金属以外の素材を用いた・・・と申し上げましたが、ボロンは元素の性質上「半金属」とされているようです。ボロンはダイヤモンドの次に硬い元素のようです（硬くて脆い）。ガラスやガラス繊維の材料として用いられる等（ホウ酸塩というホウ素化合物）、結構身近な存在です。実はボロンは、前回取り上げたベリリウムよりも音の伝達が速く、振動板の素材として優れていたのですが、前述のダイヤモンド程ではないのですが加工技術が難しく、中々実用化出来なかったようです。一般に「ボロン振動板」等と呼んでいますが、ボロン（化合物）のみで振動板を成型しているのでは無く、チタンで成型したドームに、これもまた前述のダイヤモンドのようにボロンを蒸発させて付着させる手法をとっています。正確には「ボロナイズドチタン」と呼ぶようです。画像は1980年発売DIATONE DS-505のツイーターです。初めてボロナイズドチタン振動板が採用されたスピーカーです。
	振動板の素材として優れているという事で、同じく非常に細かく振動するカンチレバーにボロンを採用するカートリッジも有ります。（画像はAudio-technicaのAT33PTGです）
その後、チタン+ボロンの複合ではなく、ボロンのみ（正確にはボロンカーバイド：炭化ホウ素)で成型した振動板の開発に成功し、DIATONEでは「ピュアボロン振動板」として1988年発売のDS-V9000に初めて搭載されました。高熱で溶かした炭化ホウ素の粒子を基盤に吹き付けて被膜形成するという、「プラズマ溶射法」といっていかにも高い工業技術力が求められそうな製法が用いられています。ピュアボロン振動板が採用されたスピーカーは数機種音を聴いた事がありますが、中でもDS-20000を聴いた時の印象は忘れられません（画像はDS-20000のツイーターです）。アンプとの組み合わせにもよりますが、聞き慣れた曲なのにいつもは聞こえなかった微細な音（というより楽器が発するノイズのようなもの）が聴こえてきて、「凄い高解像度だな」と驚きました。現在ではピュアボロン振動板は「プラズマ溶射法」からさらに進化した「新常圧焼結セラミックス製法」という、文字を見ただけでは想像もつかない新しい製法でつくられ、さらに性能が向上しているようです。受注品のDS-MA1や車載用スピーカーの現行品等には、この新製法でつくられた振動板が採用されていると思います。
次回は圧電型スピーカーを取り上げる予定ですので、次回も宜しくお願い致します。

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