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いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部の滝本です。 世間は夏シーズン真っ盛り。 今年の夏は特別暑さが厳しいですが、 それでもせっかくのバケーションシーズン、 海へ、山へと季節を満喫していらっしゃる方も多い事かと思います。 それならば、という訳でもないのですが、 こんな山もいかがでしょうか? |
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今回はその名に山の名前を冠した こちらのスピーカーをご紹介させていただきたいと思います。 『JBL PROJECT K2 S5500』です。 |
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1993年発売のこのトールボーイ型のスピーカー、プロジェクトK2の”K2”は 同じくJBLの大型スピーカー”EVEREST”(1986年発売)にならって、 世界第二位の高さを誇る山”K2”から来ているものです。 ですが、これは世界最高峰のエベレストに対しての2番手、という意味合いではなく 同じく最高峰クラスの山というくくりで商品イメージの統一を図りつつも、 内容的には、登山の困難さで言うとエベレストをも凌ぎ、 世界一登るのが難しい山とされるK2の名を戴く事で 新商品開発のレベルの高さとそれを克服する(克服した) という意欲を示す意味合いであったようです。 S5500はプロジェクトK2シリーズの中では1989年発売の 「K2 S9500」に次ぐ物でシリーズでは中堅モデルと言えるものです。 ↓ 左写真:EVEREST DD55000 右写真:K2 S9500 |
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以下、主なスペックです。 『JBL PROJECT K2 S5500』 方式 2way・3スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型 ユニット 低域用 30cmコーン型(LE125S)x2 高域用 ホーン型(275Nd) 周波数特性 35Hz〜20000Hz 出力音圧レベル 95dB 公称入力インピーダンス 4Ω 最大許容入力 150W クロスオーバー周波数 800Hz 外形寸法 幅499 x 高さ1254 x 奥行412 mm 重量 89kg/1本 バイワイヤリング、バイアンプ対応。 色は、カリフォルニアウォルナット、ブラックハイグロスラッカー、グレイバーズアイメープル、マドローンバールの4種類のバリエーションがありました。 写真を見ながらもう少し細部を見ていきたいと思います。 |
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まずは組付け前エンクロージャー。 一見、ひとつの縦長の箱のように思えますが、実は3つの部位が縦に積み重なっているような構造をしています。 |
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公式マニュアルにあるこのイラストをご覧いただくのが分かり良いかもしれません。 ※「JBL Technical Manual K2.S5500」より |
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上からウーハー用のエンクロージャー。 その下、中部にドライバーユニットの入るエリア。 そしてさらにその下に二つ目のウーハーが入るためのエリアが重なっていきます。 ウーハー用エリアにはそれぞれパイプダクトがあり、 上下のウーハー用のエンクロージャーの容積とダクトの共鳴周波数を それぞれ適正に調整することで低域の最適な位相特性と音圧レベルを 実現しようとしていました。 |
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上部写真です。 |
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内部は吸音材でしっかりと覆われています。 パイプダクトも確認できます。 |
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→ 中部、ホーンユニットが収まる所です。 開口部に余分なスペースは無く、ホーンの大きさにぴったりと収まり、それである程度ホーンを固定している形になります。 |
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下部のウーハー用の場所は 全体の土台も兼ねているので重さがあり一番容積もある部位です。 内部は上部と同じようにバスレフポートと吸音材がしっかりめに見られます。 |
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正面下部にはJBLのロゴマーク。 金の光沢のある仕上げで、JBLの他のモデルの平均的なロゴ部分などと比べると高級感のある作りです。 |
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後ろから見てみるとダクトが思ったよりも大きく感じます。 前述のようにこの上下のダクトで理想の位相特性を生み出すような試みがなされているので、この位置、大きさ等も様々な試行錯誤の上でのものなのでしょう。 |
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次はユニットを見ていきます。 構成はウーハー×2に、ホーン型ドライバーユニット×1。 |
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→ ウーハー 『LE125S-12』 |
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裏から見て特徴的なのは磁気回路を覆っているアルミダイキャスト製ヒートシンクで、切込みが大きく、そして多く取られているので放熱性の良さを期待できます。 |
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端子の近くに"POLARITY"(極性)のステッカー。 製造(販売)年代が新しめのものになると、こういう商品としての丁寧さが多く見られようになっていきます。 |
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放熱加工の横にもエンクロージャにあるものと同様のロゴマークが。 |
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→ 次は高域用のドライバー 『275Nd』 ここにもありました金色のJBLロゴ。 |
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このホーンに 275Nd が取り付けられます。 ホーンの形状としては、内側の壁が曲面の処理をされたバイラジアルホーン。 このタイプのホーンは少し指向性は狭めです。 |
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鋳物のように上下同じ形で成形されたホーンのパーツが 綺麗にボルトで合わせられ、形作られています。 ホーンの素材は「JBL COMPII」というポリエステルをベースにした新素材で 共振の発生も少なく密度が高いので強度もあり、ホーンの素材としてとても優れているそうです。 ぴょこんと波打つように突起している三か所にある穴が 固定時、エンクロージャーとボルトで繋がる所です。 |
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→ ホーンとドライバー、取り付け。 |
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取り付け後写真です。 |
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次にターミナル、ネットワーク部を見ていきます。 |
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ターミナルの裏側はこのようになっており、 |
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更にこのモデルは、その内側というか裏側にもコンデンサー等の回路が配されています。 |
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← 別位置に取り付けられるネットワークの一部(低域) |
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端子部分拡大。 写真にはありませんが、通常、端子間を繋ぐジャンパープレートが付きます。 |
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端子部分の上に見えるこの丸みのある部分が蓋になっていて、取り外すと バイアンプ/ノーマル、バイワイヤとの切り替えスイッチと、 高域出力レベルの調整スイッチがあります。 電池の交換もここで行なえます。 この電池は高域のネットワークのコンデンサに直流バイアスをかけるためのものですが(チャージカップルド・リニア・ディフィニションと呼ばれるゼロクロス歪を防ぐ為のプロジェクトK2で開発された方式。)、 電池が無くても音は鳴ります。 電池交換の推奨の目安も2年毎くらいの様です。 それではこれから紹介してきた各パーツを 取り付けていきたいと思います。 |
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リアから見た下部の開口部。 ここに、 |
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ターミナル部分を ネジ止めしていきます。 |
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電池は角形です。 |
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→ 蓋は、アーチがかっている蓋の下部分を 端子の少し上辺りにある溝になった部分に刺し込み、 |
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そのまま上部分もエンクロージャー側に密着させて、上側を2か所ネジ止め。 この蓋を留めるネジはそのままターミナル部の上部分を固定する為のネジでもあります。 |
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エンクロージャー下側、 開口部の背面(内側)に、 |
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ネットワークの一部をネジで止め、コードもインシュロックで留めておきます。 ちなみにこのコードはモンスターケーブルのものが使われています。 |
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→ エンクロージャー、下側の内部、 奥の方を上へと覗き込むと このようにコードの通し穴が見えます。 |
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こちらはホーンユニットが収まる場所ですが、ここにも上下にコード通しの穴が。 上記写真の穴からこの場所へと、そして更にここを通過して上のエンクロージャーへとコードを配線していきます。 |
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写真のように一組はそのままドライバーへ接続(黄色テープのコード)。 上のウーハー用にもう一組はそのまま通過。 |
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下のウーハーの開口部を下側から覗き込んだ写真。 ホーンユニットが中央の開口部に綺麗に収まったので、あとは下側の内部から覗き込んだところに見える穴三か所から固定します。 |
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穴三か所拡大と、固定の大きめのボルト。 |
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↑ ウーハーも接続。固定は六角穴のボルトで。 上下ともに固定したら組付け完了です。 |
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このスピーカーにあった曲面のデザインのプラスティック製フレームのサランです。 裏、4か所にダボが見えます。 |
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ダボ、拡大。 少し長めに出てるせいか、とても破損しやすい箇所です。 |
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ここに差し込みます。 |
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サランを付けて、完成。 ウォルナットのS5500。 少し遅れて色違いも入荷していました。 カリフォルニアウォルナット(上写真) と、ブラックハイグロスラッカー(左写真)。 |
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音の印象ですが、 ダブルウーハーに気圧されて、どれほどどっしりとした音が来るのかと待ち構えていると少し拍子抜けするかもしれません。 むしろホーンの音色の方が生かされていて、重低音響かせて−、というよりも、 しっかりと安定した力強い音を鳴らしてくれる、といった印象です。 ホーンの指向性を絞っている事からも言える事かもしれませんが、 部屋中に大音量で響き渡るような音作りではなく、 オーディオセットの前のチェアに座ったあなた一人に スケール豊かな安定した音を届けますよ、 という音を目指したスピーカーのように思えます。 |
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夏休みという、社会人にとっては夢のような、自由時間を持つ事が出来た小さい頃には、誰しもが山に行ってその自然に触れ、夢中になって遊んだ楽しい思い出を持っているのではないかと思います。 けれど大人になるにつれ、そこまで夢中になって楽しむことは、 時間的にも体力的にも、なかなか難しくなってきます。 現実の山遊びが難しいとなれば、 いっそこちらの山の方を楽しんでみてはいかがでしょうか? あの夏の日の山遊びにも負けないくらいの素敵な思い出を こちらの山も作ってくれると思いますよ! そんな山々へはこちらからどうぞ。 ハイファイ堂 トップページ http://www.hifido.co.jp/ 検索キーワード K2 S5500 EVEREST などをご入力の上、お願いいたします。 それでは、また。 |
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