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お世話になっております、京都商品部の八木です。 今年の冬は暖冬と言われておりましたが、それでもやはりここ最近は身が切り刻まれるような寒さで参っております。 インフルエンザも大流行の最中、皆様無事にお過ごしでしょうか? |
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今回のメルマガではJBLが大躍進を遂げるきっかけとなったスピーカーの一つ「L100 Century」、そしてその一族について触れてみたいと思います。 下写真引用:オーディオの足跡 https://audio-heritage.jp/JBL/speaker/l100century.html |
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まず、「L100 Century」とは、ですが、1971年に発売されたJBLの家庭用ブックシェルフ型スピーカです。 サイズ的には幅370×高さ600×奥行き350mmといった大きさで、近いものでは2段ボックス?くらいなのかなと思います。 当時プロ用モデルとして成功を収めていた「4310」というスピーカーのデザインを変更し発売したそうで、デザインを担当したのはあのPARAGONで有名なアーノルド・ウォルフ氏だそうです。 縦横に溝を刻んだフォーム製のフロントグリル(スカルプチャード・カドレックス)が非常に特徴的で、今でもそのデザインは古臭さを感じないように思います。 (悲しい事に、現在中古市場に出回っている大半は劣化してその原型を留めていません) 当時のスピーカーは家具調デザインが当たり前でこのデザインは非常に斬新だったらしく、また音質面でも当時の若者文化を象徴するロックミュージックによく合っており、それらが相まってとても人気のあるスピーカーになりました。JBLの存在感を飛躍的に高め、ブランドアイコンの一つとなったそうです。 そんな「L100 Century」も時代と共に少しずつ変化していきます。 まずは「L100 Century」の前期モデルと後期モデルを紹介したいと思います。 |
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左が前期モデル、右が後期モデルです。 前期モデルのユニット構成は、ウーファーに「123A-1」、ミッドに「LE5-2」、ツイーターに「LE20」という構成になっています。 個人的に「LE20」は好きなツイーターユニットの一つでもあります。 後期モデルにはおそらく1973年に変更されたように思われます。 この時期に元となるプロ用モデルの「4310」も「4311」にモデルチェンジをしており、後期モデルはこの「4311」のコンシューマー版として共にマイナーチェンジしたのではないかと考えられます。 縦一列だったユニットの並びが逆「く」の字になり、バスレフポートの位置が変更されました。 またユニットも、ツイーターがアルニコモデルの「LE20」からフェライトモデルの「LE25」に変更されました。 前期モデルはオールアルニコという事もあり、マニアの方々の間では特に人気があるようですが、フェライトといえど「LE25」も大変素晴らしいツイーターです。 それもあってか「LE25」はその後も10年程JBLのメインツイーターにユニットとして販売され続けます。 |
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上写真引用:LansingHeritage http://www.audioheritage.org/vbulletin/showthread.php?12675-L100-Century-help ネットワークも大きく変更されていました。 左が前期モデル、右が後期モデルです。 前期モデルはコンデンサー以外にも抵抗やコイルといった部品が使用されていますが、後期モデルはコンデンサーのみといったシンプルな構成に変更されています。 ツイーターの変更も大きなポイントですが、ネットワークの仕様変更も中高域の鳴り方に大きく影響しているので、一聴して前期と後期の違いが判別できます。 そういった意味ではマイナーチェンジというより、モデルチェンジとして考えても良いかもしれません。 |
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地味にATTプレートの表記も変更されています。 (左:前期、右:後期) それから「L100 Century」ではありませんが、「L88Plus12」という冗談みたいな名前(=L100?)の同等モデルもこの当時販売されていました。 「L88Nova」というモデルの後継機で「L88Plus」というモデルがあり、それに「M12ExpanderKit」というキットを装着すれば「L100 Century」になれるよというようなものだったようです。 (左下:L88Plus、右下:L88Plus12) |
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左下はフロントグリル装着時です。 これも「L100 Century」と同じく経年劣化でボロボロになってしまっているものばかりです。 引用:オーディオの足跡 https://audio-heritage.jp/JBL/speaker/l88plus.html 右下が「M12ExpanderKit」です。 引用:AudioVintage https://www.audiovintage.fr/leforum/viewtopic.php?t=50776 |
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その後、今度こそ?マイナーチェンジして「L100A」というモデルが1976年に(この頃からカタログ上ではCentury表記がなくなったのと、プロモデルの4311が4311Aになったのでおそらく)発売されました。 |
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見た目上では大きな変更点はありませんが、細かく言うとサランネットのダボが白から黒に変わり、フロントバッフルのエッジに溝が入るようになりました(溝はL100Aの後期から) サウンド面では、ウーファーが「123A-1(左下)」から「123A-3(右下)」に変更され、以前より図太い低域を鳴らしてくれるようになりました。 「JBL」のロゴもこの頃にはオレンジバックの白抜きになっています。 |
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ちなみにこの「L100A」というモデル、本体のどこにも「L100」の「A」の表記はありませんし、STEREO SOUNDのJBLの年表にも「L100A」発売の明記がありません。にも関わらず、業界やマニアの方々の間ではなぜ「L100A」と呼ぶんだろうと思っておりました。76年に山水から発表されたJBLのカタログに「L100A」と記された「L100 Century」の写真のページがありましたので、当時としては周知されていたものなのかなと思いました。 |
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続いては1996年にJBL50周年記念モデルとして発売された「Century Gold」。 JBLの記念すべき50周年モデルという事で、今まで作られたブックシェルフ型で最高の性能を目標として作られた渾身のモデルだったようです。 このモデルには「L100」という表記はありませんが、以前の「L100 Century」のように、JBL黄金期を代表するブックシェルフ型スピーカーのようになってほしいという気持ちと半世紀記念モデルというところから「Century Gold」と名付けたのかな?と勝手に解釈しております。 |
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そしてそんな「L100 Century」シリーズも昨年11月に再びJBLから発売されました。 その名も「L100 Classic」。 今度は「L100 Century」を彷彿とさせるような音を、というところが基本になっているようです。 実際にそのサウンドはまだ聴いておりませんが、「L100」のシンボルでもある、縦横溝のフォーム製フロントグリルが装着されております。 下写真:JBLより https://jp.jbl.com/L100+CLASSIC.html?cgid=premium-speakers&dwvar_L100%20CLASSIC_color=Black-GLOBAL-Current#start=1 他社でもこの時代の製品の復刻モデルが近頃よく発売されています。それはやはりこの時代の製品が如何に良いものであったか、オーディオ全盛だったあの時代をもう一度!といったところがあっての事かもしれませんね。 |
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いかがだったでしょうか? 1971年の発売から約50年、途切れ途切れではありますが未だに製品のラインナップとして存在し続けるあたりに、JBLの「L100 Century」への思い入れを感じます。 皆様もそういった観点から、改めてこの「L100 Century」を聴いていただけると、また新たに感じていただけるものもあるかと思います。 それではまた! |
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