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いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部の滝本です。 今回も普段なかなか見る事の難しいスピーカーの内部などを ここ京都商品部でメンテナンスを行なったものの中から選んで ご紹介させて頂きたいと思います。 |
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今回は JBLの4430です。 |
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まずは基本仕様を。 【JBL 4430】 [方式] 2WAY・バスレフ方式 [低域] 38cmコーン型(2235H) [高域] ドライバー(2421A) + バイラジアルホーン(2344) [周波数特性] 35Hz〜16kHz ±3dB [インピーダンス] 8Ω [出力音圧レベル] 93dB/W/m [許容入力] 300W [クロスオーバー周波数] 1kHz [寸法] W556×H908×D480mm [重量] 79.5kg |
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やはり特徴的なのは一番最初に目に入ってくるホーンの形状でしょうか。 バイラジアルホーン(Bi-Radial Horn)と名付けられているこのホーンは (Bi - ふたつの) (Radial - 放射状の) という名が示す通りのユニークな形をしています。 もちろん外見のユニークさだけで採用されているわけではなく これは厳密な計算の上でなされた指向性や位相のコントロールを実現するための形状です。 4430の構成はシンプルな2wayなのですが、 同じJBLの人気4way大型スピーカー4343や4344などと単純比較すると そのままではどうしても力不足なのは否めません。 しかしこの4430のような中・小型サイズのモニタースピーカーでも なんとか4343や44クラスの性能を出せないものかと試行錯誤した結果のひとつが、このホーンです。 そう思ってみるとこの流線形が美しい見た目も、より魅力的に感じてこないでしょうか。 |
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また、4430よりも大きめなサイズの4435(ダブルウーハーで横のサイズもほぼ倍)にも同じコンセプトでバイラジアルホーンが採用されています。 |
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それでは実際に見ていきます。 まずはエンクロージャー。 |
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上部、ホーンの位置に四角く窪みがありますが、ここにぴったりホーンがはまるわけではありません。 そこよりもひとまわり大きく、ちょうど窪みの周りに見えているネジ穴を隠すくらいの大きさでホーンが付きます。 |
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フラットなエンクロージャー前面にトーンコントロールとホーンの付くブロックが接着とネジ止めで固定してあるような作りです。 |
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下部、ウーハー装着位置ですが、裏側を見ると同じ高さにターミナルを取り付ける穴が見えています。 |
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エンクロージャー背側。 |
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→ 前面上部の開口部の写真。 梁(はり)が見えます。 (この梁は後述のドライバーとホーンを支える補強金具の取り付け場所にもなります。むしろそのための梁でしょうか。) |
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内部にきっちりと張り付けられた吸音材などからも分かるように全体的に強固な作りです。 |
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筒状のバスレフダクトが2本見えます。 丈夫な紙管です。 |
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続いてネットワーク、ユニット等を見ていきます。 まずはネットワーク。 |
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↑ 端子部分とコントロール・つまみ部分。 今回の個体は操作まわりの損傷が激しかったので、端子も一部変更されています。 参考までに別個体の端子周辺の写真も載せておきます。 かすれて見えない端子周りの表記などはこれで確認していただけたらと思います。 |
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裏側、→ ↓各部の拡大も。 |
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そのネットワークの取り付け場所です。 背中の開口部、ここに内部から固定します。 |
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内側から見ると、テープ状の縁取りがあります。 写真のものは正規のものかどうかわかりませんが、スピーカーの、何かを装着する開口部周りには密着度を高めそこから空気の抜ける隙間を作らないようにする為にこのような接着も兼ねた緩衝材的なものが付いていることが多いです。 |
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そこにプラス、内部からネジ止めでネットワーク基盤部を固定。 |
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作業の為に外していた 吸音材を戻します。 |
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取り付け後の端子部。→ |
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次にトーンコントロール部の取り付けですが、 |
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こちらは外からネジ止め、4点です。 |
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その前面にプレートが付くのですが、 裏に何らかの接着剤を付けて糊付けがされているだけの状態ですので 組み立て時などは最終、音のチェックなどが済んで万全の状態になった後で 付ける事になります。 逆にコントロール部を外してみたい時は、 このプレートを外してその下のネジを外してあげる、という手順になります。 |
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ユニットを見ていきます。 ドライバー 2421A 。 同JBL ドライバーユニット 2420の一部変更版でサスペンションなどが変えられています。 |
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裏にしてみると、ホーンとの取り付けのネジ穴3か所が確認出来ます。 |
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↑ ホーン側も見てみると、ホーンに直接接続されるのではなく、 その間に4つ穴から3つ穴へとアダプター的な金具を介しています。 4430、35に合わせて開発されていたホーンだと認識していたので この金具の存在に少し疑問を感じているのですが、 開発時間も長かったそうなので当初予定していたものとは違っていたりするかもしれませんし、取り付けなどの設計上の理由やコスト的な問題があったのかもしれません。 また今後その辺りの確認が出来れば別の機会に追記させていただきます。 |
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そしてこの金具側の3つ穴の一か所に、スリットのように切りかけが入っています。 |
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ここの一か所だけボルトを後で入れようとすると、写真(↑)でお分かりになるでしょうか、上側のホーンの傾斜が干渉して穴に入らなくなってしまうので、先に一か所ボルトを緩く留めておいてそこに切りかけ部分を滑り込ませていく、というような取り付け方になります。 |
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エンクロージャーへの補強固定になる金具もこの時点で付けます。 金具のL字の前後向き等ありますので注意が必要です。 |
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それではエンクロージャーへの取り付けも見ていきます。 まずはネットワークとの配線を済まし、 |
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上、下3つずつ空いているネジ穴を合わせて設置し、 |
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六角穴の低頭ボルトを締めていきます。 |
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そして前述していた梁の部分への補強の固定も行います。 |
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ウーハー用の開口部から覗き込むようにしてのボルトでの固定になります。 |
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最後はウーハー2235H。 4344にも使用されているJBLの代表的なコーン型ウーハーです。 |
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裏側と端子。 |
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開口部には背面の開口部で見られたのと同様にコルクシートでの縁取りが。 特にユニットまわりなどは振動予防の役割も。 |
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マウント用の爪(MA-15)で固定します。 |
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サランは青みが強めの紺色。 |
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↑ 裏側の角4か所にダボ用に穴が開いていますので それを本体のダボにはめ込んで装着します。 |
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最後に残していたトーンコントロール前のプレートを接着すれば組付け工程は完了です。 |
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↑ 底面も見ておきます。 フラットな底にカタカナの『コ』の字状の木枠が接着とネジで固定されていて、その4つ角に滑り鋲(びょう)が付いています。 そしてエンクロージャー本体底、フラットである部分に重量物吊り上げなどに使われるアイボルトが4つ付いています。 同じくJBLの重さ110kg以上ある4350なども底面にこのボルトが付いているのですが、それほど大きくなくて、尚且つ80Kgくらいの4430にこれは必要なのかなとも思いました。 ですのでこのモデルの場合はワイヤー固定用としての意味合いが強いのかもしれません。(話には聞いていても業務用以外で、アイボルトにワイヤー固定されているスピーカーを個人的には見たことないのですが) |
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最後に音の感想を。 開発が2WAYの構成から始まっていてユニットがシンプルだったおかげでしょうか、私にとっては良い意味でJBLぽさが薄い印象です。 よくJBLモニタースピーカーが、モニタースピーカーのはずなのに「JBLらしさ」が出てしまっている、と言われたりします。 これはむしろ誉め言葉であるのですが、私のように雑多に色んなジャンルの音楽を聴く者にとってはそれは時にネックにもなります。 なので普段は味付けの薄いモニター然としたスピーカーを好む傾向なのですが、 この4430はそうした私の嗜好に近いスピーカーのようです。 もちろん音色が平坦であるとかいう意味ではなく、 高域は計算された指向性で伸びやかに耳に届いてくれるし、 元々評価のある低域ユニットも十分な力強さを伝えてくれて、 そしてその二つを濁すことなく聴かせてくれるのはネットワークのチューニングと 本体設計の緻密さが成せるワザ、といったところでしょうか。 このサイズで十二分に力強い音を出してくれて あとの音の味付けは接続するプレイヤーやアンプの方でしてあげる、 といった楽しみ方を与えてくれるスピーカーだと思いました。 |
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今回の4430、いかがでしたでしょうか? 少しでも中の様子が分かっていれば故障などのトラブル時でも 何も分からないよりは対処や対応も取りやすくなるかと思い 毎回紹介させていただいています。 実際にお困りごとに遭われてしまった時は、 当店スタッフがより専門的に対処させていただきますので 是非お気軽にご相談下さい。 そして直しようもなく、どうしようもなくなってしまったり、 心機一転、新たな物を求めてみたくなってしまった時にも 是非、当店入荷商品情報をのぞいてみて下さい。 今回ご紹介の4430も含めて随時入荷がございますので よろしくお願い致します。 JBL 4430 過去の入荷情報 https://www.hifido.co.jp/sold/?M=&LNG=J&G=0201&KW=4430 それでは、また。 |
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