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いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部の滝本です。 今回ご紹介させて頂くのはALTECのModel 14です。 |
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【ALTEC Model 14】基本仕様 [方式] 2WAY 2スピーカー・バスレフ方式フロア型 [ユニット] 低域、30cmコーン型 高域、ホーン型 [周波数特性] 35Hz〜20kHz [インピーダンス] 8Ω [出力音圧レベル] 95dB [許容入力] 75W [クロスオーバー周波数] 1.5kHz [寸法] W533×H762×D419mm [重量] 35kg 1979年発売 ¥248,000/台 |
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ALTEC Model 14は低域に30cmのコーン型ウーハー、 高域にホーン型ユニットを搭載した2ウェイスピーカーです。 見た目は、それぞれユニットが入った箱がふたつ、 上下に分かれてくっついているような そんな外観が特徴的なスピーカーですが、 実は連結部分は空洞で中は繋がっています。 先行モデルで同様な形状をしたModel 19がありますが、 そちらがALTECの代表的なシステム、ボイスオブザシアターのA7を ユニット構成もそのままに家庭用に落とし込んだものであるのに対して、 Model 14は構成ユニットも専用のものでそれとは異なり、 位置付けとしては小型化されたModel 19といったところです。 ↓「Model 19」 |
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Model 19のサイズが幅763×高さ990×奥行533mm、 Model 14のサイズは幅533×高さ762×奥行419mmですので、 前から見てみると19より、ひと、ふた回り分くらい小さな印象でしょうか。 とは言っても、このモデルの肝であるタンジェリンドライバーや 中・高域分割してコントロールする為の新設計のネットワークの採用は変わらず、 加えて高域の指向性を一定方向に定める為のマンタレイホーンの使用など、 サイズの小型化と共に音も小型化、などという事は全くありません。 それでは、その辺りの紹介も加えつつ、 いつものように各部を見ていきたいと思います。 |
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まずエンクロージャーです。 メンテナンスの都合上、上下分離しています。 この状態だと前述で「連結部が空いている」と言った様子が 分かっていただけると思います。 |
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黒い連結部は木材が繋げられて一体型の木枠のようになっています。 |
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ひっくり返した上部。→ |
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下部、内側。 |
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さて、ばらしてしまった上下を再び連結します。 まずはひっくり返した上部に5cmくらいの長めなネジで 連結部の黒木枠を固定します。 木枠の四角形のそれぞれの一辺の真ん中辺りにネジ穴があります。 |
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枠が固定出来たものを上下元に戻して、 |
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その中をのぞいて見ると左右の辺の真ん中辺りに穴が確認できます。 |
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エンクロージャー下部にも同様な穴がありますので、両方の位置を合わせてボルト、ナットで繋ぎます。 |
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←内部から見ると、このように繋がっています。 |
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連結して見慣れた形状になりました。 |
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各開口部を見ていきたいと思います。 上部左側の開口部はマンタレイホーンが収まる場所です。 「MANTARAY」(イトマキエイ)と変わった名ですが、 その由来は当時、定指向性ホーンとしてその開発に苦心する中で、 ホーンの後方に指向性が集まりそれがなかなか解消せず、 その時のポーラーパターンがエイのように見えたことから名付けられたそうです。 ※ポーラーパターンは指向感度を円状の図で示したもので、 中心点から360°、そこに近いか遠いかでその感度の強さを表しています。 下図はModel 14に搭載されたホーンとは別の物ですが、 ALTECのホーンカタログに記載されていたポーラーパターンです。 |
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ポーラーパターンの例 → ALTEC LANSING MANTARAY HORN [MR931-12]のカタログより |
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変わって、右側の穴はネットワークの取り付け部。 |
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そして下部になりまして、 ウーハーの取り付けられる円形の開口部と、 その右手に開いているのはバスレフポートです。 |
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さて、Model 14ですがこの製品のスピーカー入力端子は本体の底面部にあるので スピーカーケーブルを繋げる時は本体を寝かせるなどしなければなりません。 |
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当然、内部では底の部分に端子の金具がのぞいています。 |
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しかしこの仕様だと見栄えという点では確かに良いのですが、 それ以上に使いづらさが否めません。 ですのでこの個体の場合は背面に新たに 端子を増設させていただいております。 |
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取り付けに入っていきます。 まずはネットワーク。 |
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Model 19開発時に専用設計された、 2ウェイでありながら中域と高域を別々にコントロール出来る新ネットワーク。 それと同様のものがModel 14でも採用されています、且つ、 過剰な入電があった場合にそれをブレイカーのように落とすのではなく、 音を止めることなくシステム的に過負荷を減らすという少し面白い仕組みも 組み込まれています。 その際、制限を超えている時に「OVERLOAD」のランプが点滅します。 |
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開口部に基盤部を差し込むように入れていき、 |
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(内部では浮いているように収まります。) |
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角4点を六角穴ボルトで固定。 |
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今回は背面の入力端子にのみ接続しました。 |
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続いてホーン、ドライバーの取り付け。 ネットワークに続いて、このモデルの肝となる マンタレイホーンとタンジェリンドライバーです。 ドライバーからの高域音が高くなるほどその音の指向性が前に狭まり、 結果、可聴領域が狭くなるというのは周知のことだと思いますが、 このマンタレイホーンではその指向性を定められるように調整するという 定指向性ホーンというコンセプトで設計が成され、広い視聴エリアを確保しています。 確かに、構造がシンプルなホーンや ディフューザーを通してないドライバーからの音などと比べてみると、 スピーカーを前にしてより広い範囲、より側面の方まで 高音が聴こえる位置が広がっているように感じます。 |
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ALTEC Driverカタログより ←↓ |
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同心円状のスリットが入ったフェイズプラグ |
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一方、タンジェリンドライバーですが、 これまでに使われていた同心円状のスリットが入ったフェイズプラグから 放射状のスリットになったフェイズプラグを使用する事によって 高域を20KHzあたりまで延ばす事に成功しているそうです。 このタンジェリンフェイズプラグ、 ジェームス・B・ランシングが ランシング・マニュファクチュアリング社の時代に 同心円状のフェイズプラグの使用を特許侵害だとして ウェスタン・エレクトリック社に訴えられたのをきっかけに 開発したものではあったのですが、 結果的により一層、位相の整合性が取れて、 高域のレンジを広げる事にも成功したわけです。 タンジェリンフェイズプラグの名の由来は そのスリットの形と当初使用されていた素材のオレンジ色が 柑橘のタンジェリンを思わせたからだそうです。 マンタレイといいタンジェリンといい 遊び心を感じさせるネーミングセンスです。 ※ちなみに、フェイズプラグの特許辺りの話は複雑多岐に渡るようで、 例えばこの時も、同心円状のスリットの特許は 結局その後の裁判でウェスタン・エレクトリック社にあるとは認められていなかったりします。 当時は会社が入れ替わり立ち代わりしていた情勢であったり、 訴訟が(特に技術特許は)数多かった米国の事情を考えると 色々と一筋縄ではいかなかったようです。 |
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あらためてドライバーを繋いでいきます。 まず配線を済ませ、定位置にセットしてから固定。 |
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これで上部は済んだのであとは下部のウーハーだけです。 |
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↑ 低域、30cmのコーン型ウーハー。 Model 19で採用されていた38cm型の416-8B(後期型では416-8Z)とは違って ウレタンエッジになっていたり、(フレームの形は後期の方と似ているかもしれません)相違点も多いですが、専用ユニットゆえか仕上がりのバランス感は良いように思えます。 |
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結線を済ませた上で、配置、固定。 固定箇所が8か所と多めです。 |
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これでひとまず組付け完了です。 |
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サランは上下で別々にあるのですが、 |
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下部のサランの右下には、ALTEC LANSINGのロゴバッチが付いています。 |
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ロゴの付け方です。 サラン生地に直接バッチの裏の突起を差し込んで、↑ |
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裏からプラ製の丸いパーツをあてて、スピードナットで固定します。 |
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サランを4隅にあるダボにはめ込んで装着し、すべて完了です。 サイズ感や欧州レトロモダンな形や色合いなどが 部屋でのレイアウトの自由度を感じさせてくれます。 |
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それでは音の感想です。 A7などの、ホーンの力強さを前面に感じられるようなイメージのアルテックサウンドを想像していたら少し驚かれるかもしれません。 それらに比べるとModel 14の音は細やかで全体が整った様子で、 そしてやはり専用設計ホーン、ドライバー、ネットワークシステムからの恩恵でしょうか、、高域の伸びがとても気持ち良いです。 音圧、という観点だともちろんA7クラスのものには及ばないところですが、 それも決して力不足で物足りないという事ではなくて、 むしろこのサイズからは十二分以上の音圧を得られ、 なおかつ(繰り返してしまいますが)高域が気持ちよく出てくれているなあという印象です。 ドライバーユニットの改良にあたってクロスオーバーポイントの変更も随分と煮詰めたそうですので、 その辺りもこの全体がそろった感じと高域の聴感の気持ちよさに繋がっているのかもしれません。 全体として、長時間の鑑賞にも疲れないようなバランスの良さを感じるスピーカーです。 現在の(過去分も)Model 14の当社取り扱い状況を 下記リンクからWebページ上でご確認いただけます。 色んな面でバランスの取れたお薦めしやすい優等生スピーカーですので ご興味をお持ちいただけましたら是非一度ご覧になって下さい。 よろしくお願いいたします。 現在取り扱い中 Model 14 ↓ https://www.hifido.co.jp/?M=&LNG=J&G=0201&KW=model14 過去の取り扱い ↓ https://www.hifido.co.jp/sold/?M=&LNG=J&G=0201&KW=model14 それでは、また。 |
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