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日本橋店の永井です。
今年もよろしくお願いします。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、「レコードプレーヤーの針圧」についてです。
最近「またレコードをはじめた」「またレコードを聴きたくなった」とおっしゃるお客様が増えました。
昨年のオーディオショーなどの感想のなかでも最新のオーディオ機器のお話は少なく、
「レコードプレーヤーをつないで試聴させていたメーカーが多くて、そのレコードの音がすごく良かった」といったお話もたくさん伺いました。
DJや初心者の方向けにいろいろな解説サイトもあり、レコードプレーヤーの調整の仕方などはすぐにお調べいただけると思いますので、今回は「針圧調整の細かい技」などを書いていこうと思います。
まず、カートリッジの針圧には「0.××g〜1.△△g、最適なのは1.○○g」などといった数値が書かれています。
ほとんどの方はこの幅の真中の最適な値で合わしていらっしゃるかと思います。
ではこの針圧の軽い方や重い方は何のために書いてあるのでしょうか?
一般的に針圧が軽い場合は低域があっさりめになってスカッとした音になり、重い場合はズッシリとした低音が目立ってきて高域があっさりしてきます。
「聴きたい音質に合わせるために針圧を調整する」というのももちろんですが、実は別の理由もあるのです↓
スタイラス(針先)が付いているカンチレバーという棒の部分は、本体にゴムの様な弾力のある材質の部品で取り付けられているものが多いです。このダンパーという弾力のある部分は「夏は柔らかく/冬は硬く」というふうに気温によって堅さに変化が生じます。
なので、
・気温の暖かい夏や逆にとても暖房のきいたお部屋では柔らかくなるので→針圧を軽めに
・気温の寒い冬や逆にとても冷房のきいたお部屋では硬くなるので→針圧を重めに
調整するとちょうど良い針圧がキープ出来るという訳です。
これは温度の差だけではなく、古くなって弾力がなくなってきたカートリッジの音の歪みが針圧を重めにかけることによってある程度解消出来た、という例もありますので、「針圧がかかる部分が硬くなったら少し重めに」という使い方も出来ると思います(→経年劣化による硬化はどんどん進みますので、この場合はあくまでも応急処置ですが)。
*あと、反りのあるレコードをかける場合に針圧を重くすると針とびしなくなるという例もありますね。
「真冬にレコードを聴く時は、部屋をなるべく暖かくして、カートリッジをストーブの前ですこし温めてからにしている」というお客様もおられました。
そんな面倒な、と思われるかもしれませんが、こういう気持ちがオーディオを楽しむ時の大事な心構えなのかもな、と思い心に残っています。
もうひとつ、頭の隅っこに置いておかれると便利かもしれないのが、
「ゼロバランスがとれなくても、適正針圧がかかれば良い場合もある。」という考えです。
これは「付けたいカードリッジやシェルが少し重すぎて、持っているプレーヤーで針圧が合わせられない」という場合のひとつの考え方です。
通常レコードプレーヤーの針圧は「ゼロバランスを取ってから、ウェイトを動かして適正値に合わせる」という大原則があるため、
「あ、ゼロバランスが取れない!」となった時にあきらめがちなのですが、よく考えると「ゼロが取れなくても、適正針圧になれば良い」のです。
つまり、ここであきらめずに針圧計など使って針圧を取れば、場合によってはサブウェイトなど無くてもぴったり合う場合もあるかと思います。
(「前が重すぎてゼロバランスが取れなくても、その重すぎる部分が最終的にかける針圧分より少なければOK」ということですね)
*もちろんトーンアームにはそれぞれ適正なカートリッジ重量が設定されており、
厳密にいうとそれを超える場合はそのトーンアームの能力を出し切れなくなりますので、お気をつけ下さい。
最後に僕の好きなカートリッジ(とその針圧)をご紹介しておきます。
ORTOFON/SPU CLASSIC GE (針圧 3.0〜5.0g/適正針圧 4.0g)
言わずとしれた名作シリーズ。中でもこの復刻版はオリジナルよりも良い意味で軽やかで、新しい録音のレコードにもフィット。幅広いジャンルを楽しめます。
ORTOFON/MC20 (針圧1.5〜2.0g/適正針圧 1.75g)
軽量・軽針圧ながら、SPUのまろやかさ、繊細さが感じられるモデルです。MC20のサウンドバランスには今の軽針圧モデルにはないビンテージ感があり、その豊かな音楽性は貴重なのものだと思います。
SHURE/M3D (針圧3.0〜6.0g/適正針圧 4.5g)
その後の軽量・軽針圧の時代への過渡期に生まれた名作。現在のMMカートリッジの味わいとはまた別の繊細さ・暖かさがあります。
SHURE/V15[TYPE1](針圧0.75g〜1.5g)
TYPE2以降とは全く違った設計で、サウンドキャラクターも違います。より濃いい味わいがたまりません。滅多に出ませんが、ぜひ一度お試しいただきたいモデルです。
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