|
横浜長者町FRIDAY クレイジーケンバンドCLASSIX定例演奏会レポート 日本橋店 渡辺正 横浜長者町にある老舗ライブハウス「フライデー」のクレイジーケンバンド定例演奏会に行ってきた。テーブル席とカウンターで約80人、立ち見を合わせても100人ほどのハコに全国から好き者たちがやってくる。電話による完全予約制でちょっとやそっとで電話は繋がらないというのが定説。のはずが予約開始当日、仕事を終えて携帯から電話をするとなぜか普通に繋がり、逆にこちらが慌てふためいた。10数年来の夢であった聖地FRIDAY詣ではこうしてあっけなく決定した。 |
|
|
“Honmoku Graffiti -エリア1の角を曲がれば-” 今回の相棒は東海在住者。仕事を終えて難波からアーバンライナーで名古屋へと向かい、サウナで一夜を過ごして早朝相棒のクルマで一路本牧を目指す。 昼前に横浜入りし、まずは本牧神社で参拝をする。腹ごしらえは間門のブギーカフェ。横浜界隈ではブルースロックでゴールデンカップスと人気を二分したパワーハウスのCHIBOWさんのお店だ。店舗横にアメリカンなガレージが隣接し、つや消し黒塗り32’フォードT型ロードスターが鎮座する。店内はヴィンテージスカや塩辛いR&Bが流れる。僕は本牧チャウメンを相棒はチーズバーガーコンボをオーダー。2人で1700円は安い!うまい!しかし遅い(汗)。ボソボソ麺にスパムと切りイカや干しえびが入ったホノルルテイストな焼きソバは病みつきになる。食べ終えた頃にシボレーV8エンジンのエキゾーストノートを轟かせCHIBOWさんが店に帰って来ると、そのまま店の外のテーブルで幼児たちとおもちゃで遊んでいる。この幼児たち、CHIBOWいつ帰ってくるの〜とずっと大きな声で喋っていた。これが本牧か・・と妙な感慨に更けながら会計を済ませ、我々はCHIBOWさんに会釈をして次の目的地へと向かう。 ブギーカフェからは車で2〜3分の距離にあるムーンアイズ。旧本牧ベースキャンプ・エリア1にあるカスタムカー・カルチャーの総本山とも言えるお店だ。我々のお目当てはそこのカフェのアップルパイ アラ・モード。 https://www.youtube.com/watch?v=Mn9KuUNZGxU かつて根岸にあった三橋レストラン直伝の素朴で豪快なアップルパイ。米兵達に故郷のママの味と言わしめたそれはちょっと余所では味わえない。店内をくまなく回りお土産にステッカーを購入しガレージのクラシッククラウンやムーンバギーの前で写真を撮っていると既に3時を回っている。そう言えば高速を降りて最初に向かったのが実は新港埠頭の赤レンガ倉庫だったことを今思い出した。75年のCOOLSの1stアルバム『黒のロックンロール』に写る昭和のフィルムノワールな空気はもうそこには無く、バラエティ番組のロケハンでタレントさんが修学旅行の中学生に絡んではしゃいでいた。 |
|
|
![]() |
|
![]() |
|
“タンシヌルサランへ-長者町の夜 I-“ 長者町フライデーの入場受付までにホテルのチェックインを済ませたかったのでエリア1から桜木町へとクルマを走らせる。 三浦海岸行きの赤い車両が今 緑の高架 通過してく 熱い夜が今始まる 目の前の光景がそのままクレイジーケンバンドのミディアムスロウの名曲True Colorsの歌詞と重なり無邪気にはしゃぐ我々。 それにしたって興奮しちゃうよ なんだか今日は叫びたい気分 宵の口からこの調子だあ 黒いバイクで登場シンヤ さあ今夜は騒ごう 長者町で遊ぼう! 黒いバイクではないが、今まさに白いクラウンを運転するクレイジーケンバンドのベース奏者洞口信也が我々のクルマの前に入ってきた。さらに興奮は増し、必死で手を振るがむこうは気付かず〜残念。これが横浜か・・と妙な感慨に更けながらチェックインを済ませてクルマをホテルに預けてタクシーで伊勢佐木長者町へと向かう。その日はクレイジーケンバンドブランニューシングル「指輪」の発売日でもあり、運転手さんに最寄りのCDショップまでと告げたのだが降ろされたところはレンタル専門のTSU◯◯YAだった〜残念。CDショップを探し求め伊勢佐木モール界隈を彷徨く頃には、脳内をグルグルしていたTrue Colorsから伊勢佐木町ブルースに切り替わり、相棒と2人でアンアン歌うお上りさんぶりを十分に周囲にアピールした。CDを無事GETしてアワヨクバサインヲなどと期待しながらハングル文字のネオン管が輝く長者町の最深部へと近づいてきた。初夏の夕暮れの甘さとこれから始まるワクワクが再び脳内にTrue Colorsをグルグルと駆け巡らせる。ちなみにTrue Colorsという楽曲、クレイジーケンバンド発足当時の港湾労働とバンドの掛け持ちで活動していた時代を歌っている。 さあ終わりだ 顔を洗って 白いつなぎをスーツに着替えて そう今夜はFRIDAYだ 長者町へ飛んでけFry Awey 夕陽はオレンジ 雲はライトブラウン 横浜ベイブリッジ 混じりあうTrue Colors |
|
|
![]() |
|
![]() |
|
“タンシヌルサランへ-長者町の夜 II-“ ハングル文字のネオン管が輝く長者町の雑居ビルの3階にフライデーはあった。 電話で予約した際に席が言い渡され、順番に名前を呼ばれて店内に入るシステムだ。その時電話番号とIDカードの提示を求められる。100人程しか入れないプラチナチケット故に入場チェックは厳格だ。写真で見ると古臭くヤニ茶けた感が半端でない店内は、 実際入ると意外にも掃除が行き届いているし、店員さんのサービスも素晴らしく見事な客さばきで取りこぼしはない。我々は幅1メートルもない通路での立ち見で目前をバンドのメンバーが通り、段差の無いステージでスタンバイする。 クレイジーケンバンドは発足以来幾度かの増員をして現在11人の大所帯となったが、ここでのライブはCLASSIXと呼ばれる6人編成のミドルコンボとなる。演奏陣の準備が整い、主唱横山剣が我々の前を通りステージ中央のマイク前に立ちライブが始まる。 ドラムス廣石恵一のカウントでボーカルと演奏が間髪入れずに飛び出す。曲はフライデー演奏会のテーマソング「長者町ブルース」。シャッフルするドラムと重いルート弾きのベースが カッチョ良い。 噂通り大会場の歪んだダンゴのようなPAの音とは桁違いに音が良い。 次の曲は大好きな3rdアルバムから「太陽のプレイメイト」。トム・ジョーンジーなテイストをロックバンドな演奏に置き換えた溌剌とした楽曲だ。ジャンセンの海パン、ボンドガール浜美枝、尾崎紀世彦な凛々しいもみあげ等々グッとくるキーワードがちりばめられた歌詞もグッド。 ビーチサイドなハッピーチューンから一転、長者町臭プンプンな「女のみち〜妻になりたい」の2連発。オネエ言葉の歌詞は男が歌うことでさらに女々しさが増すと言うムード歌謡の伝統芸は長者町に良く似合う。2年連続オリコン年間シングルチャート第1位ぴんからトリオと愛たかしとナイト・プラザ6というインディーズGS転じてムード歌謡の超マイナーグループの曲を続けて お聴き頂きましたとのMCで括られる。今の時代にライブハウスで聴くこの2曲はどっちにしろ超どマイナーですよ〜剣さん〜と思わず心の中でつっこみを入れる。 続いてまたまた大好きな3rdアルバムから「本牧仕様のサーファーガール」。哀愁のメジャーセブンス系のメロウチューン。PA通さない抜群の音で聴くシンプルな演奏と男だけのスイートなコーラスに絡む横山剣のボーカルは絶品だ。メロウでグルーヴィー、爽快感の中にアジアの湿った風が含まれる。我々の一番テンションが上がるタイプの曲だ。ジーンと身体が熱くなる。 ここで客席に対し背を向ける形で配置されるキーボードに向かう横山剣。ファンキーなインストキラー チューン「肉体関係」。叩きつける鍵盤さばき。繊細ではないがキーボードをまるでパーカッションに見立てたようなプレイがカッチョ良過ぎる。映画「ジェー ムス・ブラウン〜最高の魂を持つ男〜」でのJBがバンドメンバーに言い放つ「おまえらは全員ドラムだと思え」の言葉を思い出す。 その後リクエストで2曲演奏するがどちらも11名のフルバンドでの演奏を前提としているがそれでもやってしまうのがフライデーのライブの醍醐味だろう。ちなみにリクエストはテーブルに置かれた紙に曲を書き店員さんに渡す昭和のミュージックパブ形式だ。 一旦横山剣とアルトサキソフォン中西圭一がステージを捌け、残りのメンバーで和製インストサーフロック「ブラック・サンド・ビーチ〜俺たち海坊主」。 再び横山剣、中西圭一がステージに戻り必殺「プリーズ」が始まる。横山剣がその昔在籍していた早過ぎたコンセプトの歌謡ソウルバンド・ダックテイルズの甘茶ソウルナンバーだ。 http://blog.fmyokohama.jp/ckb/2010/12/post-9490.html この場所で、この音で、この距離で、この曲・・・すすり泣く者も数名(だったらしい)。 ここでまた往年のカバー曲平山みきの「ビューティフルヨコハマ」。マニアックな話をすると平山みきがコロンビアからCBSソニーに移籍後のセルフカバーバージョンの「ビューティフルヨコハマ」の完コピ。BPMが早く蓮っ葉度が増す。 狭いステージゆえにアクションが少なくハコバン感が濃厚に出る。ステージを飛んで跳ねて走り回るより、こんなクレイジーケンバンドがやっぱり良いと思う。 さらにディープ横浜の真骨頂「まっぴらロック→ゲバゲバ90秒→釜山港へ帰れ→ムジョコン」ファンキーなボッサからアジアンディープファンクに大韓ロックの怒濤のメドレーへなだれ込む。やはりこの場所で、この音で、この距離で、この曲・・・多幸感としか言いようが無い。その後2曲でギター、ベース、ドラムスの3人が残り、ベースと叫び担当洞口信也が歌う「横浜ホンキートンクブルース」で全演目終了。手慣れたお客さんは横山剣が退場した時点で会計をして店を出る。我々は直球ど真ん中小手先なしのシンプルなブルースロックを聴き終えて会計の列に並んだら、結局最後尾であった。 CDにサインをもらうタイミングも逃した我々は、そこからタクシーで再び本牧に移動。向かった先はIGと言うバー。店の前にはオーナーの愛車フォードファルコンが停まっている。これが本牧か・・と相変わらず妙な感慨に更けながら店に入る。有名な四角いパリパリのピザとビールをオーダーし目眩くディープ横浜のお上り体験を締めくくった。 |
|
|
|
|
|
SET LIST 横浜長者町FRIDAY クレイジーケンバンドCLASSIX定例演奏会 2015/6/29(月) 長者町ブルース 太陽のプレイメイト 女のみち〜妻になりたい 本牧仕様のサーファーガール 肉体関係 Barrio Chino(リクエスト) 太陽のモンテカルロ(リクエスト) ブラック・サンド・ビーチ〜俺たち海坊主 プリーズ ビューティフルヨコハマ まっぴらロック -> ゲバゲバ90秒 -> 釜山港へ帰れ 透明高速 アメ車と夜と本牧と 横浜ホンキートンクブルース |
|







