ハイファイ堂メールマガジン

大須本店の佐々木二朗です。最近は色々とコンサートに行っています。オーディオ店員の職業病とも言うべき、音の善し悪しから離れて純粋に音楽を楽しんでいます。
3月にはブラッド・メルドー＆マーク・ジュリアナの「Mehliana」 4月にはroot soul、5月にはRM JAZZ REGACY、Robert Glasper experimentと庄司紗矢香を観てきました。
上記のミュージシャンは主にジャンルで言うとJAZZになります。庄司紗矢香だけはクラシックになります。庄司紗矢香だけはハイファイ堂のお客様にも馴染みがある名前かもしれません。
庄司紗矢香のコンサートでは大変感動しまして、自分の音楽観を変えられました。
ジョン・ケージを代表する現代音楽において、偶然性の音楽とは、演奏に偶然性、即興性を取り入れているとすっかり勘違いをしていたのですが、そうではなくて、作曲時に偶然を取り入れているのであって、演奏時は楽譜にしたがって、しっかりと曲を寸分違わず再現しており、作曲時の偶然によって人間では演奏不可能な部分ができたとして、その部分に限り演奏者の判断に任せています。
それで演奏力などは実は年々進歩しており(オリンピックで記録が破られるかのごとく)作曲時には不可能とされていた演奏も現在では可能になっているかもしれない。最近のジャズで流行っている、まるで機械のような演奏を聴けばそういう想像は難しくない。
	ジョン・ケージ/易の音楽 3枚のコインを投げることでテンポや音の種類、音高、強弱などのどの要素を利用するかが決まり、それを一つ一つ五線譜に書き込むことによって生まれた曲。楽譜はその一部。未来の人間なら弾けるようになっているかもしれませんね。
それで、この演奏力の進歩っていうのは一時期のロックのようにいかに早く弾けるかっていうような単純なことではなくて、それこそ現代ジャズのドラムのように異常なまでにアタックの粒だちを揃えることによって、まるで打ち込みの様なドラムを表現するとか、バイオリンでノンビブラートで長時間音量を保ったままボーイングをするとか、ちょっと常人では思いつかないような方向でどんどん進歩している様です。
ジョン・ケージの偶然性の音楽の話に戻りますが、ジョン・ケージは偶然性を取り入れることによって通常では演奏不可能な曲を作曲し、それを演奏者に突きつけることによって、人間の可能性の希望を表現していたとは、これまで考えもしなかった。僕はオカルト的に偶然性を取り入れていたのだと勘違いしていました。
演奏力の進歩のせいなのか、、、初めて聴いたときはただ理解不可能だった曲が、現在の進歩的な演奏者による再現だと理解できるようになっていました。これって未来を見据えた作曲と、それを何百年も支え続けているクラシックのシーンがあってこそできることなんだろうな、と思う訳です。
今までは頑張ってもせいぜい自分が死ぬまでのことしか想像できなくて音楽と関わってきたけれども、もっと長い期間、自分が死んでから先のこと以上を考えて音楽と関わると、きっと色々聴こえてくるものが違うんだろうなぁ、と気付かされました。
それで、オーディオというものを改めて考えてみたわけですけど、私はすっかり訳がわからなくなってしまいました（笑）音楽については今まで気付かなかった観点が芽生えたのですが、オーディオに関して言うと、そういう新しい考えと、どうしても断絶してしまう。これはいったいどういう事なんでしょう？（今回ほとんどオーディオに触れなくてすみません”””）

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