海外の名ブランドに負けない国産スピーカーハイファイ堂メールマガジン第751号大須本店

海外の名ブランドに負けない国産スピーカー
ハイファイ堂メールマガジン第751号大須本店

そこそこのオーディオに知識のある方に「スピーカーメーカーの名門」と言えば？と聞いて国産メーカーを挙げる方はどれくらいいるでしょうか？　海外の名門ブランドと比べ、国産スピーカーというとどうも印象が薄いイメージがありますが、そこは高い技術で答えるのが日本ブランド。ということで海外の名ブランドにも負けない個性をもった国産スピーカーを紹介します。

YAMAHA NS-30　定価138,000円　中古販売価格200,000円前後こちらは1960年代後期に発売された、ヤマハ初のスピーカーシステム。エレクトーン用に開発された、独特な形のウーファーをオーディオスピーカーに組み込んだモデル。ピアノの生音を再現することを目標に作られたものでしたが、この手のユニットを組み込んだ音はどれも温かみを感じられて中音の厚みと適度な響きがとても気持ちが良いものでした。後に登場するNS-1000M以降の音作りとは異にするものです。
スピーカーの背面側。背面側いっぱいに設置されている唯一無二の形をしたコーンとフレームがなんともいえません。後面向きに鳴らす仕様なっており反射音を考慮した設計のため壁から15センチほど離して設置するのを理想としましたが、一般家庭での設置環境に制約があるということでこのシリーズは6〜7年ほどで終わってしまいました。オーディオが昔よりも趣味性の強いものになった今だからこそ、そういうネガを含めて楽しんで鳴らしてあげる価値のあるスピーカーだと思います。

DIATONE P-610シリーズ ※写真はP-610MB　定価20,000円　中古販売価格30,000円前後 1950年代末頃から90年代後半まで断続的に発売されていた、名ユニット。アルニコ仕様とフェライト仕様があったりインピーダンス違いの仕様があったりと組み合わせるシステムやその予算に合わせて仕様が選べたのが良いです。もっとも、中古市場を見ている限り、圧倒的に支持されたのはP-610DB（アルニコ、8Ω仕様）のようですが…。
	最終モデルのオプションで専用エンクロージャーが発売されましたが組み合わされる音はまさに2S-305（R305）そのもの。小さなブックシェルフサイズのスピーカーからフロア型スピーカー張りのスケール感あるサウンドを聞いたときは鳥肌が立ちました。さしずめ、オーディオ界の「小さな巨人」?

SONY SS-9500　定価69,600円　中古販売価格未定 1970年代初期に発売された樽型スピーカー。写真でなら見たことあるスピーカーのNo.1じゃないかと思われるくらい印象に残るデザイン。 “無指向性スピーカー”を特徴としていますが、「絶対見た目だけだろ？！」と思われるデザインに“音は二の次”と考えがちですが（実際、内部構造も結構シンプルに作られています）これが実は侮れない澄んだ良い音がします。そしてこのスピーカー、左右にきっちり設置して鳴らすよりも広い空間に置き距離を置いて鳴らしたほうがキレイに響くことに驚きます。とても70年代の音とは思えぬほどクリアな音なのも印象的です。ちなみにほぼ同時期にオーレックス（東芝）よりSS-66という、正六角柱形の無指向性スピーカーを出してますが他にもビクターの球体スピーカーのGB-1Dといい、このころは無指向性スピーカーが流行った時期だったのでしょうか？
販売価格を未定としているのは現在、外装メンテナンス中のためです。入荷時はかなり傷が多かったため音に見合った外観に仕上げ直しています。近く仕上がってくると思いますのでご興味がありましたらご覧になってみてください。
こういったスピーカーの音を聞いていると今のスピーカーの音って一体何を求めているんだろう？と考えてしまいます。オーディオって万人が買うものじゃないのだからメーカーごとに音に個性があっても良いんじゃないのだろうかと常々思います。ハイレゾ対応だったり、フラットバランス志向などよりもっと純粋に心に響く音を求めたスピーカーをメーカーさんには作ってもらいたいなと思いました。大須本店　　小島　陽介