ROKSANのアナログプレーヤー：TMS ハイファイ堂メールマガジン第755号大須本店

ROKSANのアナログプレーヤー：TMS
ハイファイ堂メールマガジン第755号大須本店

梅雨明けと同時に猛暑が始まりました。とにかく朝から信じられない気温になっており良くないと分かっていながらエアコンに頼りきっております。こんにちは、大須本店の佐々木です。

今回は非常に入荷の少ないイギリスROKSANのアナログプレーヤー、TMSに触れる機会があったので記事にしたいと思います。恐らく触った事のない方が多いと思いますので写真を多めにお伝えしていきます。

まず最初に思ったのが、この３層になっている不思議なベース、どういった構造になっているのでしょうか。せっかくなので分解して見ていきたいと思います。ちなみにフロントのスイッチの右側がスタートストップ、左側が33/45回転の切り替えでした。

外すためには３箇所についているこの留め具を取る必要があります。底に２つのネジで止まっているので計６つのネジを全て外します。何だか３枚のベースがパティで銀色の留め具がバンズのハンバーガーのように思えてきました。

３箇所の留め具を外し１番上のベースを外してみると２層目はプーリーのみと意外とシンプルでした。逆に言うとこの階層はこれだけ広いベースをプーリーだけのために作られており非常に贅沢に思えます。

そして2枚目も外し３層目を見てみるとここに電源口と基盤がついております。実際に開けてみると余計なものは何も付いておらず分かりやすい構造でした。

音出しする前にアームの高さを調整してみます。上の写真のアームの根元のリングを回せば調整出来るのでしょうが、どうやら底面でしっかりロックされておりここでは回せません。またリフターも今の状態では上に上げてもアームに触れず機能しておりません。

底面を見てみます。アームの付け根の裏側にもリングがあるのが分かります。

底面側のリングは３箇所の六角ネジで止まっておりましたので外します。すると上面のリングが回せるようになり高さ調整が出来ました。残すはリフターの問題です。

今回は専用MCフォノイコライザーが付いていたためデノンの定番MCカートリッジで試聴します。ですがDL-103だとどうしてもリフターとアームが先ほどの問題のように触れることが出来ず、リフターを一番上まであげて調節してみても針は上がりませんでした。今回はカートリッジ部分に上記のようにスペーサーをかますことにより解決させました。

最後に針圧の調整です。珍しいタイプのウエイトでした。左の画像のようにリングを回し調整します。ちょうど良いところで右の画像のようにウエイトをかける形です。メモリがありませんので針圧計を使用します。

最初はアルミのスペーサーをつけておりウエイトを一番奥にしても4.5gの針圧で驚きましたがプラスチックのスペーサーに変更し適正な針圧を取ることができました。

最後にオーバーハングを調整し待ちに待った音出しです。非常に繊細でクリアなサウンド。ベルトドライブらしい心地良い音の揺らぎで癒されます。ガラードのような力強さとは真逆で優しい音、暖かい音というのが正しいのでしょうか。DL-103の良さも十分に出してくれています。音を出すまでの調整に苦労しましたがそれに見合う音を聞かせてくれました。まさに「ここまでしてでも聴きたい音」で楽しませてくれます。
普段はお店でもダイレクトドライブを扱うことが多く、あまり手間をかけずにセッティングしておりました。 ROKSANはアームも特殊でセッティングには少し手を焼きましたが実際に触ってみると音出しまで楽しく調整できました。中々出会う機会のない機器ですが、一度は触って聞いて見て欲しいレコードプレーヤーです。最後までご覧いただきありがとうございました。ハイファイ堂　大須本店　佐々木　将太