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こんにちは、大須本店の佐々木二朗です。最近、私は宇多田ヒカルさんのニューアルバム「初恋」にめっきりヤられています(笑)一日に聴かない日はないほどのハマりようで、自分でも驚いています。 |
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アルバム「初恋」に関しましては各方面で話題になっております。色々な賞賛がありますが、個人的には現代ジャズの最重要人物であるクリス・デイヴがドラムで参加している事に言及したい。 |
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クリス・デイヴ(dr)はロバート・グラスパー(p)と共に、現代のジャズシーンにおいて、次々と新しい改革をおこなっているミュージシャンの一人です。 どのように革新的か、と言う話はすべてはここでは書ききれません。ヒップホップのリズムを取り入れた、とよく言われていますが、そういう捉え方だけでは理解が難しいでしょう。なぜならジャズにとっては何も新しいことはないからです。ハービー・ハンコックが1983年にFuture Shockというアルバムで既に行なっていますし、マイルス・デイビスも1992年のDoo-Bopでそれを行なっています。 ここで分かって欲しいのは、若者の音楽の象徴のようなヒップホップといえども1980年代に誕生してから現在までにほぼ40年は経過した音楽だ、ということです。ジャズでいえば、1950年代のモダンジャズから様々なスタイルの変換を遂げ、1990年代のコンテンポラリージャズまで発展した時間なのです。ヒップホップもそれと同じぐらい進化しています。そして、もう一つ、1990年代にDJとクラブを中心とした機械による打ち込み音楽が劇的に進化した、ということです。ヒップホップも打ち込み音楽の一つですが、彼らはそういった機械による最新の音楽の影響のもと更なる進化を遂げたミュージシャン達です。乱暴な例を挙げれば、将棋界における藤井聡太さんのような存在です。人間以上の強さを持つコンピューター将棋から影響を受け、従来とは全く異なるアプローチの将棋で戦う藤井さんのごとく、ロバート・グラスパーもクリス・デイブも1990年代のコンピューターミュージック全盛期後に生まれた、人間だけでは思いつかなかったであろう様々な音楽から、全く新しい音楽を創造しています。 |
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(上段左、 Herbie Hancock/future shock(1983年) 上段右、 Miles Davis Doo-Bop(1992年) そして左、 Robert Glasper Experiment/Black Radio(2012年) ※ドラムでChris Daveが参加しています。 この三枚を順番に聴けばその進化の様子がわかります。) |
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話は脱線しましたが、宇多田ヒカルさんがその流行をちゃんとキャッチして取り入れていることに、すっかり感心してしまいました。 宇多田ヒカルさんというと、16歳でデビューしたときからR&B調の打ち込みの黒人音楽をJ-POPに取り入れてヒットを飛ばしてきたので、生演奏ではなく、打ち込みの機械のリズムで構成されているイメージが強かったのですが、今回のアルバムはバンドの生演奏の色が濃くなっています。本場アメリカのR&Bやヒップホップにおいてもジャズの素養のあるミュージシャンによる生演奏を取り入れるのがトレンドとなっている面もありますので、宇多田さんのこの変化もごく自然な流れといえます。(ちなみに4曲目の「誓い」に特徴的で斬新なリズムが、あまり前衛的になりすぎない程度に使われています。) |
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先日、宇多田ヒカルさんのドキュメンタリーを拝見しましたが、作曲時に使われている機材を見てこれまた「おっ!」と思わされました。モニタースピーカーにFOCALのパワードスピーカー(CMS50)が使われていました。FOCALというと、ビンテージ推しのハイファイ堂にとっては、比較的新興メーカーに位置づけられ、入荷もやや稀です。その為なかなかじっくり聴く機会がなかったので、個人的にはあまり馴染みがなかったのですが、PAなど音響屋の知人からはFOCALが良いよ、と評判を聴いていました。そういう訳で宇多田ヒカルさん、機材面でもトレンドを取り入れ、さすがだなぁ。。。とまた感心してしまいました。 |
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FOCAL/CHORUS 806V 定価:120,000円 中古売価:49,800円 広がりよく鳴り響く見た目もオシャレなブックシェルフ型スピーカー。繊細ながらも伸びのある高域にバランスの取れた中低域です。女性ボーカルやクラシック等、幅広いジャンルに対応してくれます。 |
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実はこのFOCALのスピーカー、かつてはJM LABというブランド名でも販売されていました。FOCAL社はユニット、ドライバーなどの製造、販売を主としていましたが、FOCAL社の創設者のジャック・マユールが自社のユニットを使用して開発したスピーカー・システムにはJM LAB(※ジャック・マユールの頭文字J・M)のブランド名が冠せられていましたが、現在はFOCALに統一されています。 |
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JM Lab/MICRO UTOPIA 定価:650,000円 中古売価:278,000円 ラミナーフローバスレフ方式により、小型ながら豊かな低域再生を実現したJM Labの2ウェイブックシェルフ型スピーカー。全体的にクセがなくフラットな音質で、オールマイティにお使いいただけます。 |
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FOCAL/JM LABの醍醐味ですが、特に小音量でも大音量でも音のバランスが崩れない点にあると思います。大音量だと良い音だけど、小音量では物足らない、または適当な音量だと気持ち良い鳴りでも、大音量だとうるさく感じると言った要素が少ない様に感じられます。また、FOCAL社があるフランスという芸術的なお国柄と同様にセンスの良いサウンドです。高い解像度とバランスの良い音質ですが、冷たかったり、色付けのないつまらない音、という事がありません。 |
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JBL、ALTEC、TANNOYの3大スピーカーブランドとは一線を画す、高性能、ハイセンスなサウンドは従来のオーディオファンの方にも是非聴いて頂きたいサウンドです。フランスのFOCAL以外にもドイツにはELAC、イタリアにはSonus faberといった斬新なサウンドのスピーカーがございます。異論はあるとおもいますが、ALTEC/JBL/TANNOYをスピーカー界の御三家とするならば、FOCAL/ELAC/Sonus faberを新御三家としたい! 。。。といった所で今回のメルマガを終えようと思います。新御三家のそれぞれの違いにつきましては、もう少し聴き込んで別の機会にお話したいと思います。 |
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