トランジスタアンプの動作方式別特徴ハイファイ堂メールマガジン第825号大須本店

トランジスタアンプの動作方式別特徴
ハイファイ堂メールマガジン第825号大須本店

だいぶ肌寒さを感じる時期となりました。ついつい外に出るのが億劫になりオーディオの前に居座る時間も増えました。自宅でも目の前で演奏されているような迫力と臨場感で音楽を聴きたい。そのためにはプレイヤー（音源）、アンプ、スピーカーが必要です。良質なアンプがあれば、スピーカーの能力を引き出し、よりリアルな音質を聴かせてくれます。

オーディオ・アンプは主に電気信号を真空管で増幅する「真空管アンプ」とトランジスタで増幅する「トランジスタ・アンプ」2種類があります。更に同じトランジスタ・アンプでも増幅の動作方式によりA級（CLASS A）、B級、AB級、C級、D級等分類されています。A級/B級の意味は製品の優劣ではなくて、増幅素子の動作点における分類です。今回はトランジスタ・アンプ動作方式の、それぞれの特徴を簡単に話します。大須本店　王　展

A級アンプは音質重視のパワーアンプです。電流が熱に変わってしまう量が多いため、電気をたくさん喰ってしまうのに出力（パワー）は小さいです。その代わりに小音量でクリアな音を出すのが可能。大音量というより音質重視な方には、A級アンプがおすすめです。A級アンプは音質が良いですが、電力効率の悪さと発熱の大きさは欠点です。結果的にトランスの容量や出力トランジスタや放熱器も大型になります。 ※上の写真左はAccuphase /A-50 純A級　50W＋50W（8Ω）サイズW475×H239×D545mm　重量45.1kg 　右はMark Levinson /ML-2L 純A級　定格出力100W（2Ω）、50W（4Ω）、25W（8Ω）、200W（4Ω、ブリッジ接続時）、100W（8Ω、ブリッジ接続時）サイズW483×H216×D546mm　重量30kg/台
B級アンプは増幅効率は高くて（70％くらい）、やや音質を犠牲にすることで、より大出力を得ようとする方式です。大音量に向いているアンプですが、どうしてもクロスオーバー歪みを回避できないと言うのが欠点です。現在ほとんどの市販のアンプの増幅方式はAB級を採用しています。B級はあまり見かけません。
	AB級は、入力信号の小さい時にはバイアス電流を上げ、大きい時にはバイアス電流を下げることで、電力効率を高めたものです。 A級動作とB級動作のメリットを併せ持った方式でバランスよく音量をアップできます。音質と能率のバランス重視ならAB級アンプがおすすめです。
YAMAHAのCA-1000/3とCA-2000には、フロントのスイッチによって電力増幅段の電源電圧が切り換わると自動的にA級/B級動作の切替えができるように、画期的な機能が付いていたプリメインアンプです。※CA-1000/3は20Wまで、CA-2000は30WまでA級動作できます。（写真はYAMAHA/CA-2000）
C級は高周波数の通信用など無線機の送信部分に使用されます。効率は高いですが、歪みも大きく、オーディオ・アンプには実用性が低いです。
D級アンプ（デジタルアンプ）は、低電力、コンパクトなサイズ、低放熱といった特徴があります。最終出力段トランジスターON/OFFのスイッチング動作方式を採用、効率が良くて大パワー！値段も安くて、使い勝手が良いです。業務用アンプ、サブウーファー内臓アンプ等ハイパワーが必要な場合によく採用されています。D級アンプが出た頃、スイッチングノイズや歪みの影響で、A級やAB級などのアナログオーディオアンプと比べると音質が劣るという悪いイメージがありました。最近、D級アンプでも音質面で進化しているモデルがどんどん増えています。