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私のお宝 溝の数よりしわの数 スピーカー遊び(その1) 2005-12-9 音迷人 |
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スピーカは私たちに音楽を聴かせてくれる最終段の道具です。電気信号を受け、空気を振動させる仕組みですが、皆様ご存知のようにいろいろなタイプがあります。私が実際に触れたり、聴いたスピーカーはマグネチック型、ダイナミック型、セラミック型、コンデンサー型などがあります。物心が付いた子供の頃、戦前のラジオの裏を覗いたとき見えたのが、馬蹄形磁石の付いたマグネチック型でした。戦後暫くして家で買い換えたラジオが三菱ダイアトーンラジオで、そのスピーカーがかの有名なP-610の前身P-62Fでした。これは丸くアスファルトピッチを固めたような磁石(粉末磁性体でフェライトの前身?)のダイナミック型でした。現在も主力スピーカーはダイナミック型ですね。振動板材質や磁石のタイプは変わってもまずこれに変わる変換方式は早々出ないでしょう。後は聴覚か脳に、より直接的に作用する方法しかないでしょう。(空気振動を経ないので感覚的にHIFIかどうか疑問ですが) |
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その後はBOX入りのパイオニアPE-8やPAX-12B、MH-300等を使い、だんだんオーディオ的になって(楽しい泥沼?)来ました。PIM-8のネームプレートや古いチラシが残っていました。(写真)NPはチラシの写真とは配色が違いますね。 |
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深夜放送が民放で始まり、キングレコード提供志鳥栄八郎さんの解説で名曲コーナーがありました。確かヴィヴァルディーの四季から「秋」の一楽章で始まったと思います。これが当時大変良い録音盤でした。一般の家庭ではあの頃は夜更かしをまずしておりませんでしたので、聴きたい一身の私はコタツのやぐらを敷き布団の上に持ってきて、やぐら上面に裸SPを置き、最後に掛け布団を掛けました。やぐらの中に頭を突っ込んで聴いたものです。少々息苦しいも、今風に言うとニヤフィールドリスニングで中々のものでした。細かい音が空間に消える前に耳に届きますから大変リアルでした。当時ヘッドホンもあったのでしょうが、今のように一般向けには良いものが安く出ていなかったような記憶です。それより手っ取り早く安く解決するのに達者だっただけなのでしょう。思い出しましたが100円位の肌色のクリスタルレシーバ(イヤホン)をエアタイトで聴いた音は素晴らしかったですよ。今でも負けないでしょう。 |
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その後色々遊びましたが1970年代後半に差し掛かる頃、ふと気になったのがボチボチ情報のあった平面スピーカーです。それまで色々やって悟ったのは、「スピーカー工作というけれど、殆ど箱造りの事ではないか!勿論重要なことだが木工でしかない。ユニットを作って初めてスピーカー造りだ。しかし工作機械や、マグネットの事等考えるとそれも素人には無理。」と言うことでした。でも平面スピーカーなら理想的なことを言わなければ遊べるぞ。つまり振動板を自分流に造れば良いのです。そう考えたら居ても立ってもしておれませんで、まず何はともあれアルミハニカム材を入手せねばなりません。何を調べたか忘れましたが、「横浜タイヤ殿」で扱っていました。訳を話し可能な最低限のロットで売って頂き赤坂あたりの取り扱い商社に車で取りに行きました。そのときの話で、「航空機事業として壁や床に使うハニカム板と、あなたの様にどうもスピーカーに使うらしい需要がボチボチありますよ」との事でした。(写真)ところでこのハニカムを入れた半畳ほどのダンボール箱を撮影の為室外に出しておいたとき、CDを聴いたら「あら?音が良くなった」雑なものを置いておくと良くないと承知していましたが置く所が無いとずっとこの部屋に入れておりました。トホホ・・・しかしこのコラムのお陰で良い音に・・ |
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小型SP用に厚さ2.5mm大型用に6.5mmを購入しています。まだ余りがあるので、どこぞの土産に可能な幅一杯のスーパーウーファーを造って見ようかと考えています。当然4点ドライブくらいになるでしょう。 |
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平面スピーカーの良さはなんといっても音が率直なのです。これが逆に癖だと仰る方もいます。当然ピストンモーション範囲内で使用の場合です。普通の円錐的コーンSPでもピストンモーション内では率直ですが、比べると解るのですが、音が僅かに暗く、くぐもっています。違いは何かと言うと前洞(腔?)効果でしょうか。しゃべっている口の前に手で円錐的ホーンを作りますと声の質が変わります。このホーンによる伝達が変わったことや、空間共振?のような現象で色が付くのでしょう。(ただし音響変換機として正しく設計されたホーンとは区別して考えてください。)ダイナミック型平面スピーカーの主な欠点は一般的なSPに比べ、振動板が重くなり、効率が悪化しやすいし磁石でカバーするとコスト高となります。分割振動点を高くするのが大変で大型フルレンジタイプはまず困難などでしょう。 解決策はあるわけで、市販のものは色々対策されています。つまりボイスコイルから駆動点を決めて動かすタイプから、駆動点を散らし全面駆動タイプにしているのもありますね。しかしこれも固定側(マグネットサイド)の振動や振幅空間確保など問題が多いのです。 コンデンサータイプは固定極の振動が問題でしょう。可動フィルムと固定極間はHIFIでも固定極が振動すれば耳とフィルムはHIFIになりませんね。ですからダイナミックSPではフレームを丈夫にしたりSPボックスを補強したりするのです。 私の平面SP遊びのまたまた残像の写真を並べておきますので、参照してみてください。どれも実用に供したものです。 |
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スキン材としてアルミ箔を多用しました。何故か簡単に入手できるのは台所用品が多かったです。アルミハニカムコアにスキン材を貼ります。ハニカムコアの各部屋(六角)には一寸見難いのですが針を刺して穴が開けられており、気体が通過できます。これは接着剤の揮発ガスなど通すためや気圧の平準化のためです。遊んでみないと解らないことですね。勿論気密を保つ為穴の無いのも在るそうです。私は結局自己硬化タイプのアラルダイトを接着剤に使いました。細い棒が写っていますが何だかお解かりですか。スキン材の上でアラルダイトを練り、この棒で全面もれなく伸ばすのです。職人技ですぞ!工業的に出来ない為の素人工作です。この棒がまた大変なんです。真直ぐで、腰があり曲がりにくいことが条件です。あるのです!焼き鳥用の長めの竹串です。(-_-;)私は下戸ですがアンプ同様焼き鳥が良く出てきますね。 |
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ハニカムコアはそれだけではビラビラしています。均一に伸ばしスキン材を片面ずつ両面張ります。接着していない所があると音がビリビリするのでどこもかしこもコアとスキン材が触れ合うように薄いクッション(タオルなど)を敷き全面に重さを掛けて硬化させます。この辺が腕の見せどころです。それにドライブコーンを平面板のどこに当て駆動するかです。振動モードなど高級な数学解析と実験が必要でしょうが出来ませんので、我流の理屈と感です。私はドライブコーンの当たるドライブ周の内側と外側の面積が等価になるようにしました。それは周を境に同じ重さと空気圧を受けるからです。それと距離の積分でやるのでしょうが、複雑です。更にエッジ部の作用もあります。概ね半径の7:3(内:外)としました。 ヴァーモントのターシャお婆さんはいいました。「経験こそは良い先生だよ!」 |
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上の写真は購入したハニカムコアで造ったSP例です。初めのは10cmのフルレンジ兼中音用、次がクローズアップした12cmと16cmメカニカル2ウェイです。真ん中のハニカムはボイスコイルから伸ばした円筒に接着し高音用とし、外側のハニカムは厚手にし、円錐ドライブコーンを出して接着してあります。16cmの方はコーンの根元にブチルゴムを入れ高音をメカニカルカットしています。音は2500Hzぐらいにピークが残り癖が有りますが、中低音は中々のものです。根元のゴムをもっと柔らかめにすればどんぴしゃだったかも知れません。メーカーのようにいくつも試作出来ないのが辛いところです。 |
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上の写真左はセラミックツーイターでカーオーディオ用です。ただ繋ぐだけの鳴らし方が良くないのか能率が低くとんがった音であまり良い音ではないです。右はサワフジユニットを使った中高音用です。ラウンドボックスが素晴らしいでしょう。厚手のゴミ箱を補強し逆さに使っています。これはユニットも補強だらけです。入力が入らずビビルので改善したのです。何だか面もゴミっぽいですね。(-_-;)マルチアンプで駆動しますが音質は素晴らしいです。高音はプリントコイルの平面です。 左下はビクターのポールSPです。サワフジのユニットの一部と似ています。いずれもコイズミさんで入手。これはウファーをつけてニヤフィールド的に鳴らそうと計画しています。そして右下はFPS社のユニットを中音用に作りました。能率が低いので使い難いですが密度のある音です。白いのはダンプ用の木綿テープ(スポーツ用)です。これで音が安定し聴けるようになったのです。これらはホーンと入れ替えて時々楽しんで聴いています。 絶えず使用している平面SPは次回のホーンSPで話します中低音用で、そのドライバー部です。 つづく |
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おまけのトピックス:いろんなへなちょこSPでの遊びを紹介しておりますが、アンプ製作講座の時、1台のアンプでフルレンジを再生する評価に足るSPシステムが無いと呻きました。この時の反省を踏まえ一組何とかしようと考えた処に、ハイファイ堂商品で下記DS−1000が飛び込んできました。 ダイアトーンSPはもう無くなったとは言え、かつて日本を代表する名スピーカー!です。今まで良く売りに出ていた中音ユニットがコーンタイプのは平凡と見送っていましたが、中音ユニットがドームで、それもボロンと言う珍しい材料の上、ボイスコイルボビンと振動板が一体成形と言うマニアをくすぐる奴なのです。更に更にこの項話題のハニカムコーンウファーなのです。と言うことで早速商談に入り無事札を取ることができましたところ、ハイファイドーの社長殿「このスピーカーは振動板が微妙な作りだけに大切に運べ(実は「割れやすい」と言う端的な表現だったとか・・)」と指示され私のところに丁重に自社便で扱いなれた方が届けてくださいました。やはり社長自ら商品を熟知され適切な対応をされていることは、正直大きな信頼になりますね。きっと店員の方も必死で勉強されていると思い、ありがたく感じました。国会中継の○村建設の社長殿とは月とすっぽん!です。 |
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私の役目はこのSPを可愛がることです。真っ先に旅の汚れを拭き上げ、ワックスを掛け、剥がれかけた木目を貼り付け、傷をタッチペンで隠しました。そして最後にサランネットのエンブレムを磨いてお化粧してあげました。 |
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