|
「オーディオ風味 名曲アラカルト」 2006-1-27 音迷人 *********** 祝 W.A.モーツアルト生誕250周年 1756年1月27日 午後8時 誕生 ********** 4.アントニオ・ビバルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」ほか 先週の雪です。 |
|
四季といえばビバルディ、ビバルディといえば四季というほど有名な曲ですね。当然春夏秋冬それぞれの季節を持つ4つのヴァイオリン協奏曲が集まって「四季」と呼んでいます。始めて名前を聞いた時は、1楽章「春」2楽章「夏」というように4つの楽章に付いた名前と思ってしまいました。まもなく独立した12分ほどの曲に付けられた名前で、それぞれ急緩急の3楽章から出来ていることを知りました。そして「和声と創意への試み」と称された12曲の中の始の4曲なのです。さらにこれらには短い詩が付いていてそこに現れる自然を描写した箇所が楽譜に示されているのだそうです。そういえば鳥の声や、雷鳴、風などを思わせる所があります。楽譜が読めたらきっと面白いでしょう。 |
|
|
彼の名前のスペルからするとヴィヴァルディ(1676〜1741)と書くべきでしょうか。ベネツィア生まれでヴァイオリニストの父に当時当然のように手ほどきを受け立派なヴァイオリニストになりました。15歳で修行僧となり後に司祭になったそうです。男性版「赤毛のアン」で「赤毛の司祭」が愛称だったそうです。更に女の子の孤児院で音楽の先生として教育に携わりました。孤児院の演奏能力が格段に進歩し有名になったので、礼拝のある日曜などの定期演奏会用に彼は多くの曲を作曲したそうで、「四季」もそのうちの曲です。Vn協奏曲だけでも100曲を下らないそうですし、色々な協奏曲を数えると4〜500曲もあるというのを今度知りました。後日何かの折話しますが、ベネチィアは世界初の木戸銭を取って聴かせる歌劇場の発祥の地でもあります。彼も少なからず歌劇を書いたそうですが、現在聴く事は稀でしょう。きっと音楽様式の変化もあって例えば後のイタリア歌劇の劇的なオペラに比べたら、かなり幼く学芸会風ではないでしょうか?そして面白いのは先に取り上げた大バッハとほぼ同じ時代を生きたのですが、曲を聴く限り、見事に文化、環境、気質の違いが音楽に現れていませんか。渋いドイツの哲学的なバッハさん、底抜けに明るく軽快な響きのヴィヴァルディさんです。さりながらバッハさんは先駆的な彼の協奏曲に学んだそうです。 イタリアに旅行されサン・マルコ大聖堂に入られた読者の方も居られるでしょうが、Vnの響きが聞こえませんでしたか?彼はここで弾いた事があるんですと。 |
|
さて、オーディオ的に聴いてゆきますと、合奏協奏曲というだけに後のVn協奏曲のようにVnがさほど独立しておりません。それでも合奏、ソロとより分けて進めたそうです。時代背景を考慮してか、教会や宮殿ホールなどでレコーディングされている場合が多く、残響の長い煌びやかで、艶やかな音です。この雰囲気を再生できることが重要でしょう。恐らく小編成20人弱ですから、割とオンマイクな録音のようですが如何でしょうか?従って色々な場面でVn族の色々な音色を聴く事が出来ます。それにバロック音楽ですからかなり自由に、かなり勝手?に表情をもって弾かれています。まあ各奏者が顔を見合わせて掛け合いをして楽しんでいるような感じがします。そしてリード役で、チェンバロが絶えず弾かれています。これが良く判別できるといいですね。LP時代も良く聴いたのですが、Vnが通して綺麗な盤は少なかったように覚えています。高音がハイレベルで録音され、始から歪んでいたり、内側で歪んだり、ごみが針に掛かったりで、意外と再生が難しかったです。名盤はイ・ムジチ合奏団のでしょう。何回かの録音があるようですが、私は1958、9年のが気に入っています。アーヨのVnが艶やかで温かみもあり総ての章で表情豊かです。そして楽団員の自発的な音楽を創る意思が無理なく集中しているようです。 チェックポイントを下表にまとめてみましたのでご参照下さい。貴方の再生はどれだけ満たしているか?どこに問題があるか解りましょう。ここで陥りやすい錯覚?にご注意下さい。それはVnの基音は196〜3136Hzということで中音の下から高音の倍音まで幅広く鳴っています。とかくツーイターに神経が行きますが、基音の大半を占める中音に十分目をいや耳を向けてください。 何度も申し上げますが「オーディオ風味」ですからこんなことを書いてゆきますけれど、基本は音楽を楽しむことですよ。誤解の無いように。 |
|
|
|
|
|
私の好きな彼のVn協奏曲にイ・ムジチの「四季」とカップリングで作品271「恋人」というのがあります。曲想からして胸の膨らむ豊かな響きと甘い優しさで一杯です。イ・ムジチの演奏がまたまた素敵です。美しい中音域のしっかりした神経質に成らないVnの音色が特筆ものです。いわゆるハイファイ調では無いのですが、艶と残響のバランスのいい録音です。 他の楽器の協奏曲でお薦めはフルート協奏曲集で「海の嵐」とか「ごしきひわ」など1〜6番を入れているランパル盤です。そしてオーボエ協奏曲です。「2つの・・・」で始まる協奏曲も良いですよ。 フルートのランパル/エラート盤は何と1966年録音でADDのCDですが、録音センスが良く私のリファレンスCDです。深い柔らかい低音、きめ細かで明るい高弦、大きくならない適度なフルート。LP時代エラートのバロック物は響きが濁らず綺麗で、線が細い感じの録音が特徴だったと思います。しかしこの録音は細々しい感じはなく低音がどっしりしています。さらに演奏も極め付け。この録音を100としたら大半の盤はどこかに問題があり70〜95点です。 つづく |
|
|
|
|
|
おまけ:◆海上に築かれ運河が張り巡らされた都市ベネチィアはどうやって長い間水上に建っているのでしょうか。私も初めて聞いた時ビックリしたのですが、「木の杭」を沢山打ち込んだその上に建てられているそうです。水に漬かりっ放しの木は強いのですね。初めに建てたころは今のような学問や材料が無かったので、経験的に木(恐らく松ではないか)を選んだのでしょうが、上手くいったものですね。(木の杭には手抜きする「鉄筋」は入っていませんよね!ヒュー○ーさん!)何事も基礎が大切といいますが、オーディオでもしっかりしたBOXからの低音がこの杭ですな。 ◆上の肖像画に出てくるバイオリンを見てください。胴の尻の方に「あご当て」が描いて有りませんね。画家がミスしたのではなく当時は付いていなかったのですって。19世紀になって考案され、それからは楽器を支えない分左手が楽になり、速弾きなどが可能となり表現力が上がったそうです。(時代考証など油断できませんね) |
|
|
|
|
|
◆LP時代に見つけた珍品?フォンタナ盤「四季」、ジャズとクラシックの対話というのがありました。レイモン・フォル・ビッグバンドがジャズ風な四季を担当しています。クラシックとジャズは同じ音楽でありながら音楽の話法というか、言葉というか、まあスタイルが違います。ガーシュインやショスタコさん方が融合を試みていますが、どちらかというと成り切っていません。この盤はジャズスタイルでクラシックを「演奏」し様とした物です。現在は作曲家の技量も上がり上手くまとめたのもあるようですが、中々難しいですね。このLPを聴くと頑張っているがやはり・・という感じです。 |
|







