ハイファイ堂メールマガジン

あの音にもう一度出会いたい第14話「JBL スタジオモニター M9500」　2006年4月7日　近藤賢二　スタジオモニターの歴史に名を残す旗手M 9500は4インチ振動板ドライバーを搭載した、まさにモンスター的存在。永遠の憧れで名機といわれたスピーカーは数多いが、JBL M 9500もその一つであった。何時も行くオーディオショップに3年ほど前まで（JBL S9800が誕生するまで）試聴用に設置してあった。当時プロジェクトK2 S9500も存在しており、フェース的にはK2 S9500の方が好みであったが、何しろ大型スピーカーが好きだったので、ショップに立ち寄ると必ずと言っていいくらいM 9500の勇姿を眺めずには帰れないくらい気に入っていた。
「ザ・グレートジャズ・トリオ/枯葉」VRCL-6008のCDを持ち込み、よく試聴もさせてもらった。ハンク・ジョンズのピアノとエルヴィン・ジョンズのドラムスの音が、まるでカリフォルニアの澄みきった青い空のように、乾いた空気を運んで来てくれるような音場空間であった。その音は濃くバリバリと再現される感じである。その音を聴いては興奮し、シビレていた。M 9500を駆動する強力アンプ群はもちろんマークレビンソンだった。その独特のモジュール、ネットワーク、エンクロージャ構造の凄いこと、音楽の無限のエネルギーを余すことなく再現して見せるのには感服した。（写真は過去情報データベースより引用　JBL M9500）
	今もって思う。JBLの持てる限りの技術と情熱を投入し、原音再生の能力を究極レベルまで追求した、音楽本来のもつ強大なエネルギーに触れたような、その美しさと強さに底知れぬ感動を覚えた。これからのモニタースピーカーに求められる「音楽再生」というものを真っ直ぐに見つめることから始まったといって過言ではないと思う。JBLだからこそなし得たもので、わずかな陰りもない理想的な再現能力を実現するため、この時代持てるだけの英知技術を結集してM 9500 を誕生させたのだと思う。（写真は過去情報データベースより引用　JBL S9500）
音質的に特筆すべき点は、強力な磁力を持つネオジウムマグネットの採用により、駆動エネルギーの圧倒的な大きさとそれらが生み出すダイヤフラム制動能力の高さ、加えて再生帯域の大幅な拡大であった。中音域から超高域までカバーする優れた周波数特性を実現したことが大きい。こうしてJBL最先端の技術はスタジオモニターM 9500に生かされ、優れたトランジェント特性を獲得し、どの音楽信号に対しても優れた反答・追随性で、すばらしい音楽の音を忠実に再生してみせる、正確な位相と明確な音像定位を実現してくれた。まさに音楽のもつ優しさ、美しさを見事に再現した。またダイナミックでエネルギッシュな強さにも感動を覚えた。　エネルギッシュでモンスター的な「あの音にもう一度出会いたい」

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