ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 |
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なかなか暇がとれず長い事先送りになっていたのですが、我が家にドルビーアトモスを導入しました。 ドルビーアトモスとは現時点で家庭用に導入できる最高のサラウンドシステム。詳しく説明すると長くなってしまいますのでここでは割愛しますが、簡単に云うとスピーカーを何組も設置して、通常のステレオよりも音の広がりを拡張するというサラウンド方式の一種です。 従来のドルビーデジタルやDTSサラウンドと違い、天井にもスピーカーを設置する必要があります。 スピーカーの天吊り・・・、設置が大変そうですし、ちょっとハードルが高いなと感じるのは間違いありません。そのせいかドルビーアトモスの導入に二の足を踏んでいる方も多いようです。 わたしもそのひとりでしたが、「とにかくやってみよう!」という事で遂にチャレンジ。ひとりでの作業で難儀でしたが、無事に取り付けを完了する事ができました。 サラウンドに興味は無いがスピーカーの天吊りはやってみたいという方もいるでしょう。今回のメルマガは私の実作業を例にとって「スピーカーの天吊り作業」をご紹介します。 |
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まずは今回天吊りするスピーカーをご紹介(写真上)。 MONITOR AUDIOのMASS10。 小型ながら中低域に勢いのある鳴り方は同系統の他社製品よりもスケールが大きく聴こえます。 重量は1.65kg。この程度の重さなら、DIYでの天吊り作業も問題なくできるでしょう。バスレフポートの下にあるのがブラケット取り付け用のネジ穴。 |
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こちらが天井・壁面への専用取り付け金具(ブラケット)。 こういったブラケット類は武骨な見た目の物がほとんどですが、こちらは一風変わったデザインになっています。 この金具はMASS10専用という訳ではなく、MONITOR AUDIOの他のいくつかのスピーカーにも適応しています。スピーカー側の取り付け穴が共通しているという事でしょう。 |
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取り付け金具一式のリスト。 棒状の金具がスピーカーに取り付けるパーツです。用途に合わせた2種類が付属していました。 この金具を「Wall Plate」「Fixing Dial」で挟み込んで固定する仕組みになっています。 ドルビーアトモスではスピーカーを真下に向けるよう推奨されていますので今回は「Wall Arm」を使用します。 |
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天吊りは天井の材質によって方法が異なります。私の部屋の天井は石膏ボードのような材質のようなので、直にネジ止めは不可能(石膏ボードは木材と違いネジでささえられるほどの強度が無い)。 今回は中空用アンカーを使用した方法をご紹介致します。 |
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まずはスピーカーを設置する位置を決めましょう。 床置きと違い、天吊りは設置場所に完全固定となります。一度設置したら動かす事はできないので、あらかじめ完成形をよくイメージして、失敗のないようにしましょう。設置位置を図面に起こしたりしておくと後が楽です。 今回はドルビーアトモスで云うところの4.1.4ch構成にチャレンジするので、天井に2組4つ(!)ものスピーカーを天吊り設置する事になります。 |
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天井内部には天井板をとめるための柱があります(野縁“のぶち”と呼ぶそうです)。 この柱のある位置に中空用アンカーは打てないので、「下地探し」を使って天井内部の柱の位置を確認します。 |
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この下地探しは、壁向こうの見えない柱を探す道具です。石膏ボードにこの針を刺すと普通に貫通しますが、柱のある位置に刺すと柱に当たり貫通しません。 また、石膏ボードの厚みの分だけは針が刺さるので、メモリを見ればボードの厚みが計測できます。 この厚みの数値は使用するアンカーのサイズを決めるのに必要となりますので、忘れずにメモする必要があります。 |
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今回は中空用アンカーを使用するので柱を「避けて」設置場所を決めますが、他にも柱に直にネジ止めするという方法もあります。この場合は下地探しで柱の「中心」を探し、確実にネジ止め固定が出来る位置を決めます。 天井が針で穴だらけになるのがイヤだという方には「下地センサー」という便利なアイテムがあるのでオススメです。これは天井をなぞるだけでセンサーが柱の位置を感知してくれるという優れもの。 今回は下地探しと下地センサーを併用し、より確実な位置決めを実施しました。 |
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設置場所を決めたら、天吊り用の取り付け金具を設置する場所にマーキングをします。取り付け金具の取扱説明書はこの作業からのスタートでした。 実際に金具をあてがってみて、ネジ穴の部分に印をつけます。今回はマジックで印を付けてみました。この位置に、アンカーを入れるためドリルで穴をあけます。 穴のサイズは使用するアンカーに合わせる必要があるので、あらかじめアンカーのサイズは決めておく事。 |
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今回使用するのはこの石膏ボード用の中空用アンカーです。 アンカーのサイズは先程下地探しで計測した厚み「適応板厚」に適した物を用意。「下穴径」がドリルであける穴のサイズ。耐荷重はアンカー1個に対し10kgfと表示があります。 MONITOR AUDIOの天吊り金具は取り付けネジ穴が4つ。スピーカー自体の重量は1.65kgなので必要十分な強度と言えるでしょう。 今回のような小型軽量な物なら問題ありませんが、重量物を天吊りする場合は天井の補強工事が必要となる場合もあるので、必ず専門の業者に問合せましょう。 |
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説明書に従い、アンカーを取り付けます。 |
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実際に目で見ることはできませんが、天井の内部では隣の図のように傘が広がり、ガッチリと固定されます。 |
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ここまでくれば、あと少し。アンカーのネジで天吊り金具を固定します。 固定できたら、試しに金具を掴んで力を入れてみます。 うん、ビクともしない。これなら大丈夫。 ここでグラつきが出るようでしたら、アンカーやネジの締め方が緩い可能性があるので、必ずチェックしましょう。 |
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天吊り金具にスピーカーを取り付ければ完成! ケーブルは配線用モールを使って壁を這わせれば綺麗に仕上がります。私はケーブル好き人間なのでそのままにしていますが。 今回は天井に穴をあける方法でしたが、賃貸住宅などではそうはいきません。 その場合は、突っ張りポールを利用した疑似天吊りなんてどうだろうか…。部屋の構造にもよりますが、アイデア次第で解決できるかもしれません。 |
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★さらに・・・ |
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万全を期すため、追加で落下防止策を施します(写真上)。 天吊り金具と壁をワイヤーで繋ぎ止めます。これで、万が一アンカーが外れたとしてもいきなり床に落ちる心配はありません。もし頭上にでも落ちてきたら、痛いじゃ済みませんからね。 こういった落下防止用のワイヤーやストラップはもともと天吊り金具に付属していたり、取り付けられるように設計されていたりするモデルもあります。今回のMONITOR AUDIOにはそれが無かったので工夫して取り付けましたが、これはちょっと不親切な設計と言えるかも。 |
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汗だくになりながら、完全に私ひとりでの作業。かかった作業時間は、位置決めから取り付け完了まで、4カ所全部で4時間ほどでした(小休止含む)。 サラウンド用途という事もあり位置決めをシビアに追い込んでいったので時間がかかってしまいましたが、実際の取り付け作業自体は1ヵ所20〜30分くらい。ステレオ2chだけなら1時間ちょっともあれば済むと思います。 2ヶ所目からは手順を把握しているのでスムーズにいくかと思いきや、体の方がついていけず。天井が相手という事で、常に手を上げっぱなしのバンザイ状態。腕の血の気が引いてしまい、なかなか思うように力が入りませんでした。 可能であれば、助手を付けての作業をお勧め致します。 |
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DIY作業が苦手な方は、ホームセンターで入手できるガイド冊子が大変参考になりますのでオススメです。 下準備や作業手順など、とても分かりやすく解説されています。 |
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作業完了後は待望の音出し。 天吊りスピーカーだけで音を鳴らしてみると、これは床置き時とは別物の響き方でおもしろい。音像が膨らみフォーカス感は後退しますが、ふわりと部屋に広がる音のシャワーは天吊りならではのサウンドでしょう。 肝心のドルビーアトモスの効果は、じっくりと調整の済んだ後、またの機会にご紹介できればと思います。 |
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さて、天吊りといえばBOSEのスピーカーが有名ですね。市中のお店でも店内BGM用で天吊りされているのをよく見かけます。 ハイファイ堂でもBOSEの天吊り用金具が時々入荷します。実際手にとって見ると、しっかりとした作りで信頼性があります。 また、スピーカーの角度が変えられるモデルもあるので要注目です。適合するモデルがあれば、スピーカーとあわせてご検討下さいませ。 それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 ●ハイファイ堂秋葉原店:〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1階 TEL (03)5818-4751 |