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解体新書 vol.14 SME トーンアーム 3009篇 解説近藤賢二・佐竹裕行、写真撮影佐竹裕行 SMEはもともと精密模型製作からスタートしたイギリスの会社である。SMEの社長だった精密工作技術の達人、アイクマン氏は独創的で画期的なトーンアームを作り上げて、1959年に一般販売に踏み切った。最初のトーンアームはロングタイプの3012であった。3012の素晴らしさは、そのような画期的な内容を美しい工業デザインと仕上げで製品化したことである。ほとんどの日本トーンアームメーカーにこのアームは強い影響を与えた。間もなくして、ラテラルバランサー、糸つり型インサイドフォースキャンセラーがつけられた。一般的にロングタイプは、プレーヤーケースが大型化する。そこで短いサイズの3009モデルが発売された。(近藤) |
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vol.12でortofon MC20、vol.13でDENON DL-103と2回にわたってカートリッジを取り上げたが、外せない存在がトーンアームである。トーンアームはカートリッジの女房役のような存在であるから、通常、カートリッジよりも話題になることが少ないし、トーンアームを何本も持つ多妻の方は少数派である。しかし、レコードプレーヤーを眺めて目に入るのはまずトーンアームである。トーンアームに触れて、操作して始めてカートリッジからアンプへとオーディオ信号が流れるのである。(近藤) リクエストの多かったトーンアームを解体します。 今回解体した3009は細かい欠品が多かったのですが、解体にはむしろ好都合です。(佐竹) |
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色んなパーツが組み合わさっています。 分解しがいがありそうです。(佐竹) |
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まず、下からバラして行きたいと思います。(佐竹) |
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まず重たくてジャマなウェイトを外します。ウェイトは回せば簡単に外れます。(佐竹) |
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ヘビーウェイトは真ん中にネジが着いていてこれで止まっています。(佐竹) |
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針圧調整の方のウェイトも簡単に外れます。 外すとこんなL字の部品が出てきます。 この辺は簡単です。(佐竹) |
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接続部分を外すとこうなります。 アースは左側のネジの裏につけられています。(佐竹) |
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シリアルは一番底の部分に付いています。 両端のネジを外すとこの黒い筒状のカバーが外れます。(佐竹) |
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写真真ん中の長いネジで止まっています。 写真左側の金属の細い筒に長いネジが通る形でネジ止めされています。(佐竹) |
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カバーを外すとこうなっています。ケーブルが非常に細いです。(佐竹) |
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インサイドフォースキャンセラーのおもりが通っているプーリーを外します。 根本の目立つ大きなネジを外すと外れます。手で簡単に回せます。このネジは下のアームベースの固定ネジも兼ねているのでこのネジを外すとアームベースも外れます。(佐竹) |
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外れたアームベースです。(佐竹) |
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上から見たときSMEのロゴの付いているプレートですが、これは裏から見て黒い二つのネジを六角レンチで外すと外れます。(佐竹) |
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このプレートには裏側に紙の様なものがくっついています。滑り止めか、ハウリング防止のためではないでしょうか?(佐竹) |
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次はアームレストを外します。写真のようにリフトの左のネジをゆるめて外します。(佐竹) |
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3009は中央に円柱状の柱がありその先にアームを受ける部分が付いてます。そして円柱に2つのリングが付いている構造をしています。 上のリングにはアームリフトやアームレスト等が付いています。下のリングは高さを調節する役割です。(佐竹) |
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円柱の下の方に付いているストッパーを外すとリングを外すことが出来ます。(佐竹) |
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上のリングは円柱に切られたネジで高さの微調整ができるようになっています。(佐竹) |
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一番上のとんがっている部分を外したところです。 ネジを外せば簡単に外れました。 てっぺんから出ている棒にインサイドフォースキャンセラーのおもりの糸が掛かります。左の黒いプラスチックとは接触しないように作られています。(佐竹) |
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とんがっているパーツの内側は以外とすかすかです。(佐竹) |
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受け皿の方です。 左の金属パーツのV字に切れているところにアームの黒いプラスチックパーツのが当たって支点になっています。 線で接触しているようです。(佐竹) |
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こんな感じでバランスを取っているようです。(佐竹) |
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受け側真ん中に穴があってここがケーブルの出口になっています。またここが柱とこのパーツのくっついている部分でもあります。(佐竹) |
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ネジが切ってあって回せば取れます。(佐竹) |
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上のパーツが外れると円柱の軸が外れます。(佐竹) |
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ボールベアリングは柱の両端に付いているようです。 こちらが上側です。(佐竹) |
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下側です。(佐竹) |
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アームのとベースの接点部分のプラスチックを外したところです、真ん中のアーチ上のパーツのネジを外すとこんな風にバラバラになります。(佐竹) |
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アームの先側です。少し左右に回しながら引っ張ると外れます。アームの切れ目がオルトフォンと互換性を持たせるための調節部分です。(佐竹) 聞くところによるとSMEの社長だったアイクマン氏が大のオーディオマニアで、とりわけオルトフォンSPUカートリッジの愛用者だったという。(近藤) |
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トーンアームのアースはどこからとっているか気になったことはないでしょうか?SMEの場合はなんとこのネジ穴からとっています。3つの穴の一番左側の穴の下に金属パーツがあこれが上の写真の真ん中のパーツのネジの受け皿になっていてアームと密着しています。ここから黒いフォノケーブルが始まっています。(佐竹) |
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線が細すぎて上手く映っていないのですが、黒のケーブルの被覆が取れてしまって銅線がむき出しになっています。 アームの付け根とベースの間でこすれていたようです。(佐竹) |
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アームレストのメカですが、以外とシンプルな機構でした。 かまぼこ上のシャフトの上に油圧の部分へ続く軸がのっているだけです。 これだけシンプルだと壊れにくそうです。(佐竹) |
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アームレストのレバーです。 真ん中当たりが平になっていてアームレストを上げ下げしています。(佐竹) |
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オイルダンパーの部分です。アームレスト自体は上に乗っかっているだけなのですぐ取れます。 上のカバーも特にネジなどなく引っ張れば抜けます。(佐竹) |
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上の写真の黒い部分の両端にネジがありこれを外すと中からバネが出てきます。 写真の金色の部分全体が上下する仕組みです。(佐竹) |
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バラしたパーツ達です。 以外と少ない気がします。 無駄なものが一切ありません。 どれか一つ欠けても動かなくなってしまいます。(佐竹) |
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今回のSME 3009はどこを撮っても絵になるアームでした。しかし全ての部分が必然で組まれているのが分かります。見た目に説得力があります。音の通り道はとても繊細で細いフォノケーブルがシェルの接点からずっと続いていて、とても危うそうです。今回解体した物もアームの可動部分でこすれて断線寸前になっていました。ここまで細くしないと理想の音にならないのでしょう。細部までこだわって作っている感じがしました。(佐竹) 3009のユーザーが多かったそうである。1977年に発売された3009/S2 improvedは最大0.5gの針圧印加型で大ヒットした。月2000本生産していたというから驚きである。ステレオレコード時代となって、海外製トーンアームの影響を受けた日本メーカーは、次々と素晴らしい製品を登場させてきた。工作精度の素晴らしさと、とことんつき詰める日本人の技術者気質は、世界に誇ってよい傑作トーンアームを作り出してきた。CD時代の到来とともにトーンアームの需要は激減して、廃業ないし、部門を廃止するメーカーが多い。時代の流れとして仕方ないが、このところアナログレコードを楽しむ方々が増え、持ち直してきているようだ。最近でのトーンアーム改良復刻モデルの発売は、オーディオテクニカAT-1503 3aの例がある。これはうれしい限りである。精密加工は日本の得意分野であるから、販売数量に頼らず、小量生産でも採算が取れるようにして、過去の名トーンアームを復刻して欲しいし、トーンアームと関連商品は作り続けて欲しいものだ。(近藤) |
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